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2019-07-10 APP DIVE 〜急成長アプリの「しくじり」から学ぶユーザー視点のプロダクト改善とは〜 #APPDIVE

2019/07/10 に開催された APP DIVE 〜急成長アプリの「しくじり」から学ぶユーザー視点のプロダクト改善とは〜 のイベントレポートです。

●イベント概要
APP DIVEはアプリのグロースに大切な要素を(お互いに)学ぶ場を企業横断的に提供する場です。アプリユーザーとの向き合い方・ユーザー視点のアプリ施策およびプロダクト改善に主眼を置くイベントとなります。

他社の成功事例を踏襲したとしても、事業の性質や取り巻く環境が違い、参考にならないということは、アプリを運営されているほとんどの方が既にご存知かと思われます。
登壇者の皆様の話を聞いていただき、対話し、相互に刺激を受け合う場を創出できればと考えております。

第一回のテーマは「しくじり」にフォーカスしました。失敗があることを当然と捉え、その「しくじり」から何を学んだのか、どう変えたのか、その結果はどうだったのかを対話します。参加された方にとって、自社のアプリグロースのヒントやきっかけが生まれる場となることを目指しております。

今回はPairs、FiNC、マネーフォワードと現在急成長しているアプリの担当者を迎え、パネルディスカッションを行います。異業種ではありますが、サブスクリプションモデルという共通項を持つそれぞれのアプリが実際に直面した「しくじり」を中心に議論を行います。


■LT: エウレカさん

●エウレカ
・2008年 創業
・couples
・pairs

●施策共有の時間十分取れてますか?
・とある時期
  月一回の全社会議
  成果が出た施策にフォーカス
  一部の施策だけを共有
・成功も失敗も試行錯誤が組織の学びになっていない

●社内のあらゆるチームが参加する場を用意
・施策のことだけ話す時間
・成功も失敗も施策を網羅

●ネガティブイメージの失敗事例を共有してもらう工夫
・失敗をシェアしてくれたら
  成功したときよりも大きな拍手

成功するまでの失敗は、失敗じゃなくて学び
という価値観へ変化してきた


■LT: FiNC Technologiesさん

●FiNC Technologies
・予防ヘルスケアxテクノロジーに特化した
  ヘルステックベンチャー
・FiNC
  ユーザのライフスタイルに寄り添って健康を管理

●こんな経験ありませんか?
・ギャンブルをやって一回あたった、から一年後にはマイナスに
・ガチャを引き続けて、壮大な課金に
・なぜこんな事が起きるのか?
  人は成功体験に依存してしまう
  物事を単純な法則にしてしまいがち
  無意識の指向や癖には気づけない

●問題
・プッシュ通知とチュートリアル最強説が生まれた
  アプリチュートリアル改善で、アクセス数が爆増
  プッシュ通知で、ライフログ取得数が爆増
  -> なんでもプッシュ通知とチュートリアル改善すれば良い

●原因
・アプリKPI向上の理由が正しく伝わってない
  手段ではなく、結果として生み出した価値が重要
・外部要因の影響が考えられてない
  祝日の効果だったり

●対策
・成功した施策、カイゼンのナレッジはwhyで伝える

盲目的にカイゼンをし続けているツールや手法があったら
なぜそれをやるのかを考えてみましょう


■LT: マネーフォワードさん

●マネーフォワード
・mission
  お金を前へ。
  人生をもっと前へ。
・法人向け、個人向け両方進めてきた

●第二次成長を目指して
・お金の見える化で堅調に伸びてきたが
  チームで新しい価値の種を生み出せない
  サービスとしては攻めが必要
  既存のプロダクトを良くしていく守りも必要

●急激に人が増えたり、メンバーが入れ替わったり
・組織でも個人でもばらつきが出てきてしまった
  -> 腹落ちしないからコミットしきれない など

●打破するために
・役割分担
  一人の人が担っていると、目の前のタスクに忙殺
  守る人、先を考える人に分けた
・サービスとして実現したい世界観を議論
  チーム全体で向かうべき方向性の認識を揃える
  社長を含めてワークショップ

飛躍的な第二次成長を成し遂げたいフェーズでは
  方向性をチームで共有
  守りながらも攻め続ける組織
が大切


■パネルディスカッション

棚橋 寛文さん [プレイド]
金田 悠希さん [エウレカ]
犬飼 敏貴さん [FiNC Technologies]
駒口 哲也さん [マネーフォワード]

●ビジネスと開発の横断や組織について
・金田さん
  アライアンスのチームが協業案件を持ってきてくれる
    ビジネス側がストーリーを組んで持ってきてしまう
    設計的には嬉しくなかったり
  バランスをとるのが難しい
    ユーザーとビジネス
    男性と女性
  「どっち側」をはっきりさせると会話が難しい
  社員の男女割合は男性が多め
    男性の意見に揺さぶられてしまうこともある
    女性ユーザの友達から話を聞いたりしている
  本当に良い体験をすると卒業してしまうw

・犬飼さん
  できないことを約束してきてしまう問題
  女性の方が多いサービス
    意識の差が大きい
    熱量の差が交わると、負が生まれる

・駒口さん
  いる人のタイプや会社によって変える方法は2つ
  人を変える or インセンティブ構造を変える

  組織としては分けずに
  共通のKPIに向かうようにしている
  MAUを上げれば良いは共通

  お金をかけると薄い人が入ってきてKPIが下がる
  MAUに向かえば共通

●今まで一番印象に残っているしくじり
・駒口さん
  創業当時はfacebookが流行りだした頃
    moneybookをつくった
    ヒトは自分の資産情報を公開したくなかったw
  ビジネス観点だと、電力会社に送客したら良いのでは?なども出る
    家計簿つけてて電力会社を変えようにはならない
  正しさ x 儲かる のバランスが必要
    ミッション、ビジョンとマッチしているかで考えている

・犬飼さん
  今はアプリを開くと記事がたくさん
  はじめはライトな記事で、気になるねにしたかった
  効果は出たが、続けられない
    ヘルスケアはすぐにネタ切れ
    ユーザー側も見たいネタがなくなる
  新しいことに飛びつきたくなる瞬間とどう付き合っていくには?
    未来を考えていかないといけない

・金田さん
  レコメンドアルゴリズムの問題は本番でしか見つけられないこともある
    新規ユーザーのリテンションをあげようとしたが
    最近アクセスしていないユーザが表示されてしまったり
  うまく行ったことも、失敗したことも「学び」に変えた
  効果が出なかったことも学びにできるはず
    当たるだろうで施策を出す
    ユーザーストーリーもない
    だと
    効果が出なかったら学べない
  ストーリーと結果の蓄積が必要
    しばらく使ってなかったが
    久しぶりにプッシュ通知が来たから開いたなど

●ユーザーの声を拾い上げるプロダクト改善
・犬飼さん
  企画会議に集まるのは全員おじさん
    表現やデザインでは意識して、社内の女性の声を聞いたり
  ニーズがねじれているので、ユーザーの声を聞ききれない
    改善したいけど、何もしたくないのがヒト
    声を聞きすぎることでずれた施策になってしまったり
    ユーザーは何を望んでいて、何ができないのか

・駒口さん
  twitterでエゴサして社内に流すbot
  アンケートを出すと、数時間で数千人回答がもらえたり
  非ユーザーの意識を変えて、どうユーザーになっていくか
    勘に頼ってしまっている部分が多い
    どう定量化していくか
  どうキャズムを超えていくか
    アーリーアダプターとアーリーマジョリティで考えが変わる

・金田さん
  ノンユーザー ≒ 恋人つくろうと思っていないヒト
    その人ががpairs使うか?
  ユーザーの声をそのまま機能をつくってみような時期があった
    そのまま実現すると、一方のユーザーに不利
    機能をしぼってローンチしたら、全然使われなかった
    振り切って試してみればよかったのかもしれない

・駒口さん
  カードと連携したら怖い
  -> 不正利用に気づける が刺さった
    60日以内でないとカード会社が対応できない

●ブランドデザインのリニューアル
・駒口さん
  リニューアル自体が目的になりやすい
    ワンマンだとプロダクトと自分の
    アイデンティティと同一視してしまったり
  経営と現場で視座が違う
    どうバランスをとっていくかが難しい
    どっちが正しいということではない
    見えている景色と粒度が違う
    どちらも全体最適ではない

・犬飼さん
  顕在ニーズ:痛い など
  潜在ニーズ:健康になっていきたい など
  リニューアルで「どう浸透させていくか」が言語化された
    社内の意識を統一していくのに便利だった

・金田さん
  もともと感じていたベネフィットに合わせて変えた
    違いに気づきにくいが、並べるとわかる
  クリエイティブから入って、プロダクト側では徐々に
  古臭いと出会い系に見えてしまったりする
    フロントをつくるメンバーのモチベーションが上がった
    インナーブランディングで成功
  空気感をつくっていった
    ロゴリニューアル以外に
    交通広告をはじめたり
    近くに使っている人がいるよ を伝えていくメッセージ
    なぜ使い始めたかのインタビュー
    など

●健康意識がぜんぜん違う人、両者に満足してもらうには?
・犬飼さん
  ぜんぜん違う人がいることを意識して、パーソナライズしている
  クラスタリングは、パターン数が膨大
    協調フィルタリングの様にきれいに出ない
    機能や施策で切る軸が変わる
  別れているけど、混ざってもいいよの場所をつくる
    一箇所に集まることで熱量になる

・金田さん
  コミュニケーションリテラシーをどうサポートしていくか
    男性のイケてない自撮り など
  なかなか動かない
    自分は「こういう人と出会いたい」

●既存のユーザの満足を守りつつ、グロースさせていくには?
・駒口さん
  BSを見たい人、PLを見たい人でバッティング
  既存ユーザに満足してもらう、新規ユーザーに入ってきてもらう
  総数を把握することは大切
    使用 / 非使用
    認知 / 非認知
  認知しているけど使っていない人に、使ってもらうより
    他にやることあるのでは?

●プロダクトを良くしていく、終わらない旅は辛くないですか?
・駒口さん
  まだまだ改善の余地がある
  良くしていくのは必要なこと

・犬飼さん
  このバージョンが出ると、何が起こってほしいのか
  ストーリーがあれば、長い旅も辛くないのかもしれない

・金田さん
  やりたいことはすべて実現するには何年かかるのだろう
  その先にもやりたいことはあるはず
  試行錯誤を楽しんでいく


■感想

・成功するまでの失敗は、学び
・盲目的にカイゼンには、なぜそれをやるのか
・方向性の共有と、守りと攻めの役割分担
・組織を変えるには、人を変える or インセンティブ構造
・正しさ x 儲かる のバランス
・ストーリーと結果の蓄積
・使用/非使用 x 認知/非認知

などなど、たくさんの共感と学びをいただきました!
登壇者の皆さん、運営の皆さん ありがとうございました!!


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