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『今夜、世界からこの恋が消えても』感想

一度眠るとその日の記憶をなくしてしまう彼女。そんな彼女に仕掛けた嘘の告白から始まる恋物語。よくあるパターンの始まり。だが、どの作品よりもあたたかく優しいお話でした。


彼女と出会ったことで変わっていく彼、そして彼によって変わっていく彼女。

一度しかない時間。それは誰にでもある時間。

そして、思い出を紡ぐ彼と未来を作る彼女。

当たり前のことが当たり前でない二人の世界は互いに思いやり、愛あふれる世界。


そして、衝撃的な展開が訪れる。愛する人のために……それでいいのかともやもやを抱えながら流れる日々。奇跡が輝き訪れた未来ある世界。優しさに包まれ生きた先に訪れる事実に涙が止まりませんでした。


『お金には力が宿っている。それは人を幸せにする力だ。だからこそ慎重に使う必要がある。』

たしかに、私達はお金によって幸せを得ている。いちど手に入れるとそれが当たり前に、もっとその先をとなるのが人の常である。

けれども、彼は、主人公は、そうは生きていない。目の前にいる彼女と、彼女と人生をともに過ごす時間に一生懸命である。だからこそ、記憶のない彼女の心に残るものがあったのではないか。

そうなふうに思わせてくれる作品でした。



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