花組公演「冬霞の巴里」感想ーミッシェルとエルミーヌ編-

ミッシェル


オクターヴを観ているとミッシェルが映り込んでくる。ミッシェルは真正面から私たちに向かってくる。

ミッシェルはすべてを知っていたのではないのか。オクターヴがすること、ギョーム達の罪。それらは知らなくても、オクターヴの心の中は見えていたのではないのかな。

ミッシェルがオクターヴに向ける目、オクターヴにかける言葉。

無力だけど、何もできないけど、この世界は素晴らしいと、この世界にも救いがあると伝えようとしていたのではないのか。

ミッシェルの優しい目、声。好きです。


エルミーヌ


エルミーヌはミッシェルのその気持ちを知っていた。だからこそ、オクターヴを救いたかった。それがミッシェルのためになるから。ミッシェルが笑顔になってくれるから…

まぁ、結構妄想が過ぎているが…

ミッシェルとエルミーヌ


二幕はじめ、エルミーヌが心配してオクターヴの家に行くときの二人の会話。あそこに何が隠されていたのだろうか?

オクターヴがエルミーヌと仲がいいから嫉妬したのか?

オクターヴが闇に落ちたあの現場にエルミーヌしか居なかったから、感覚の問題なのか?

あの二人の会話はとても考えさせられる。

エルミーヌはきっとミッシェルが大好きなんだと思う。最後にミッシェルの事を悪く言うことに反発している。きっと二人はこの世界の暗い部分を知っている。でも、それだけではないこともわかっている。誰かに伝えたいけどみんな冥界と現実とに板挟みで気が付かない。みようともしない。独りぼっち。そんな世界で二人は出会った。似た者同士の二人。そんな気がする。

エルミーヌにとってミッシェルは必要で、ミッシェルにとってもエルミーヌが必要であったに違いない。二人で一つ。

冥界への扉が開きまくっているあの世界で、この腐ったパリで、二人は希望の光であったのではないか。暗闇に浮かぶ小さな光る星のように。

最後、あの町で二人によってみんなが幸せになれる。正しいこと、正しくないこと、真実、薄れていく事実、その世界の中で二人と関わりあい、希望を見つけ生きていく、みんなの姿が見える。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?