⑴溺れる
昔、空を見上げると自由に生きれる気がした
風の音も気持ちが良くて
その瞬間だけは嫌な自分を忘れられた
上京してきた2年前は
上すら見上げなくなって息苦しさを覚えた
田舎者の私はネオン街に惹かれて
夜な夜な外に出ては
あの頃の青空とは無縁な生活を送っていた
夜の闇に溺れて窒息しそうな日々。
全てを捨ててきた私に
救いなどはなかった
救われたいとすら
思ってもなかったように思う
朝帰りに高校生を見ては
異次元の人種を見ているようで
過去の記憶を捨てている自分がそこにいた
この先の事なんて1mmも考えず
電車に揺られ
ただ空っぽの覇気の無い顔が
車窓に映っていた
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