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真実と事実の違いを教えてくれる「流浪の月」

失敗した。

このタイミングで本を開くべきじゃなかった。
でも、読み出したら止められない。
早く、続きが読みたい。

2020年に本屋大賞にノミネートされた「流浪の月」はそんな一冊だった。

映画化もされていますね。


夕飯を作っているときも
食べている間も
お風呂に入りながらも

「更紗と文はどうなるのか」

そのことばかり考えてしまう。

これは中途半端にチマチマ読み進めたらダメだと観念して、平日真っ只中なのに夜更かしして読了させた。

読み切れてよかったと思う。

このラストの読後感に安心して、眠りにつくことができたから。

—-

愛ではないけど、そばにいたい。

こういう前例のないもの、今まで出会ったことのない感情や物事に名前をつけるのは難しい。

そして、名前がないということは、存在しないことと同じにされやすい。だって、呼びようがないから。それをなんと言い表せばいいかを知らないから。

でも、名前がないからといって、存在しないわけじゃない。

この世には、自分が知らないものなんて、ごまんとある。知ろうとするか、しないかなんだろうな。

『事実と真実はちがう。世間が知っているつもりになっている文と、わたしが知っている文はちがう。文は相手が嫌がることを無理強いする人じゃない。わたしは、それを、真実として知ってるの』


このセリフは、強い。
事実と真実の違い。


—-

更紗が鍋で炊いたご飯を焦がすシーンがある。私もこの感想を書いているうちに夢中になってしまい、ご飯が焦げる匂いに慌ててしまった。

やってしまったと落ち込む一方で、どこかでこの状況をおもしろがっている自分がいる不思議。

さて、今日の朝ごはんは、食べれるのだろうか。




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