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【大学数学】無限の定義

1.はじめに

困難が少ない者は、無難な人生                                 困難が多い者は、有難い人生

どこかで見て、心に残っている言葉です。

数学の歴史を見ても、困難が多かったのです。しかし、その困難を乗り越えたとき、数学は飛躍的な発展を遂げてきました。今日はそんな数学の困難を乗り越える物語を紹介し、一人でも多くの人に勇気を与えられたらと思います。

2.負の数・無理数・虚数

1、2、3、4、5、、の自然数の中では、3-2=1だけど、2-3=?できない! じゃあ、その数を-1と定義しよう。といって負の数が定義されました。

しかし、当時は、実生活で負の数を考えることがなく、人々になかなか受け入れられませんでした。そのため、負の数は、英語で"negative number"(否定的な数)といいます。

ちなみに、インドでは7世紀に負の数を用いて計算が行われていましたが、西洋では受け入れられたのは、17世紀。なんと千年もの壁があります。その壁を乗り越えたのは、数学者デカルトです。

デカルト

次に、2乗して4になる数は2だけど、2乗して2になる数は?そんな数ない!         じゃあ、その数を√2と定義しよう。といって無理数が定義されました。

しかし、無理数も受け入れられるのに相当な時間を要しました。この世のすべては整数比で表せると信じていたピタゴラスは、無理数を発見した弟子を殺したといわれています。。。人を殺してしまうくらい、受け入れられなかったのですね。そんな無理数は、英語で"irrational number"(不合理な数)といいます。

ピタゴラス

ちなみに、ピタゴラスは紀元前500年頃の人物ですが、紀元前400年頃、プラトンが無理数の存在を認めます。そして、プラトンの弟子、アリストテレスが紀元前350年頃、円周率πを無理数と予想します。そして、無理数をきちんと定義したのは、デデキント。1872年のことです。

デデキント_切断

そして、2乗して2になる数は√2だけど、2乗して-2になる数は?ない!    そもそも、2乗してマイナスになる数がなくないか、、、                 プラスを2乗したらプラス、マイナスを2乗したらプラス、、、                  ない!ない!ない!2乗してマイナスになる数。               じゃあ、2乗してマイナスになる数を作っちゃおう!その数を i(=√-1) と定義しよう。といって虚数が定義されました。

しかし、これもなかなか受け入れられませんでした。みなさんの中にも受け入れられない方がいらっしゃるのではないでしょうか。そんな数、実際にないしって思いますもんね、2乗してマイナスになる数なんて。だから、虚数は、英語では"imaginary number"(想像上の数)といいます。

2次方程式_解の公式

ちなみに、16世紀頃では、ルートの中がマイナスになる場合は無視されていました。例えば、2次方程式の解の公式などで、ルートの中がマイナスになるとき、解なしとして扱われてしまいました。負の数の壁を乗り越えた、あのデカルトさえも"imaginary number"と名付け、実世界での恩恵はないと思っていたほどでした。ですが、18世紀、オイラーが世界一美しい数式を発見。そこに i が登場し、数学で必要なものとして認められたのです。そして、現代では、i は物理学でなくてはならない最重要な存在なのです!!!

オイラー

このように、新しい概念を生み出すまでには、壮絶な物語があります。あらゆる壁を乗り越えて、新しい発見がなされているのですね。

3.無限

いよいよ無限の定義についてお話しします。まずは、それを理解するために、1対1対応について説明します。

2つの集合に対して、集合の元からもう一方の集合の元への対応を考えます。

全単射

一番右が1対1対応(全単射)です。                              1対1対応の場合、両方の集合の元の個数が等しいですね。

では、次の場合はどうでしょうか。

全単射_例

1対1対応だから、自然数と平方数の個数は等しい。           あれ?おかしいですよね。平方数は自然数の一部ですから、自然数のほうが平方数より個数が多いです。なのに、1対1対応。。。どういうこと!?

そこで、17世紀、

無限集合では、1対1対応が存在したとしても個数が等しいとはいえない

と考えるようにしました。元が無限個の場合を、特例としたのですね。

しかし、19世紀、デデキントは違いました。無理数を定義した、あのデデキントです。

デデキントは、

無限とは、全体と部分との間に1対1対応が存在するもの

と無限を定義したのです。つじつまが合わないものを除外するのではなく、改めて定義したのです。

デデキント_無限

5.おわりに

このように、数学では、様々な困難にぶつかってきました。しかし、何百年、何千年という時を経て、その困難を乗り越え、飛躍的な発展を遂げてきたのです。人生においても、成長には困難が必要不可欠ということですね。

困難が少ない者は、無難な人生                                 困難が多い者は、有難い人生

問題が解けない、仕事が上手くいかない、人間関係が上手くいかない。。。そんなときは、困難を乗り越えた先の、自分の成長を見据えて、数学者たちのように頑張ろうと思います!




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