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【日常数学】「損して得取れ」を数学で証明

1.はじめに

「損して得取れ」                           初めは損をしても、それをもとに大きな利益を得るようにせよ。
出典:Goo辞書

目先の利益ではなく将来の利益を考える、個の利益ではなく全体の利益を考える、ということですよね。投資やビジネスシーンなどで、よく耳にします。今日は、2つの事例を用いて、「損して得取れ」を数学的に検証したいと思います。

2.囚人のジレンマ

次の場合、あなたならどちらを選択しますか?

損して得取れ_囚人のジレンマ1

まず、相手が「自白」する場合、自分が「自白」なら懲役10年、「黙秘」なら懲役30年。よって、「自白」したほうがよいですね。

逆に、相手が「黙秘」する場合、自分が「自白」なら無罪放免、「黙秘」なら懲役1年。よって、「自白」したほうがよいですね。

相手がどちらにするにせよ、自分は「自白」したほうが罪は軽くなる、、、相手も同じことを考えるはずなので、結局、両者「自白」して、懲役10年が確定です。

損して得取れ_囚人のジレンマ2

しかし、上の図を見ればわかるとおり、よくない選択(左上)ですよね。両者「黙秘」すれば、懲役1年で済みます。なので、ベストな選択(右下)は「黙秘」なのです。(図では、2人の容疑者をそれぞれA、Bとしました。)

このように、自分の利益を追求すると、結局自分が損をすることになります。全体の利益を追求すれば、全体も自分も得をするのです。

3.他人に思いやりを

次の場合、あなたならどう行動しますか?

損して得取れ_他人に思いやりを1

まずは、全員が快適に勉強することがどういうことか曖昧なので定義しましょう。

損して得取れ_他人に思いやりを2

いかがでしょうか?得点化することで、快適度が可視化されました。数学では、議論するために定義することが大切になります。

「自分さえよければいい」軍団と「ゆずり合い」軍団で、「損して得取れ」が本当かどうかを検証したいと思います。すなわち、「自分さえよければいい」軍団がよい結果なら「得して得取れ」が本当で、「ゆずり合い」軍団がよい結果なら「損して得取れ」が本当ということになります。

「自分さえよければいい」軍団は、カフェで勉強して2点ゲットできたら、次の日もいい思いをすべく、カフェで勉強。家で勉強して1点ゲットできたら、次の日もいい思いをすべく、家で勉強。

「ゆずり合い」軍団は、カフェで勉強して2点ゲットできたら、次の日は他人にいい思いをしてもらおうと、家で勉強。家で勉強して1点ゲットできたら、次の日は他人にいい思いをしてもらおうと、カフェで勉強。

どちらの軍団でも、得点できなかった人の半数以上は、次の日は勉強場所を変えることにします。

そして、初日に、9人(A、B、C、D、E、F、G、H、I)のうち                                      パターン①カフェ4人、家5人→カフェで勉強がよい               パターン②カフェ5人、家4人→家で勉強がよい                          の2パターンでどちらの軍団が得点が高いかを実験したいと思います。

パターン①カフェ4人、家5人→カフェで勉強がよい

損して得取れ_他人に思いやりを3

「ゆずり合い」軍団のほうが、圧倒的に得点が高いですね。

パターン②カフェ5人、家4人→家で勉強がよい

損して得取れ_他人に思いやりを4

得点差はあまりないものの、「ゆずり合い」軍団のほうが得点が高いです。今回は1週間でしたが、1日ごとの得点を比較すると、続ければ続けるだけ、得点差が開くことがわかります。

よって、どちらのパターンでも「ゆずり合い」軍団のほうが得点が高いので、「損して得取れ」が本当と言えますね。ただし、全パターンを実験していないので、気になる人は、ぜひ自分で確かめてみてくださいね。

注意:今回は、カフェか家かの選択肢がある人に対して、単純にアルファベットが前の人がカフェ、後ろの人が家になるようにしました。そのため、「ゆずり合い」軍団で、個人で見ると得点が低くなってしまう人がいますが、実際はカフェか家かの行動をバランスよくとることになると思います。

4.おわりに

このように、「損して得取れ」は、経験だけでなく、論理的にも正しいと言えるのです。

よし、「損して得取れ」!


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