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【線形代数】3 2次正方行列のn乗

こんにちは、これが389本目の記事となったすうじょうです。今日は、大学数学の解説記事です。今回の内容は、線形代数より2次正方行列のn乗を解説します。本記事はかつて高校数学Cに含まれていた内容ですが、大学数学の記事として書いています。

この記事は、以下の記事の続きです。

2次正方行列のn乗

2次のケーリー・ハミルトンの定理

2次正方行列に対して、以下の等式が成り立ち、これを2次のケーリー・ハミルトンの定理という。

$$
A=\begin{pmatrix}
a & b\\
c & d
\end{pmatrix}
に対して,  A^2-(a+d)A+(ad-bc)I=O
$$

[証明]

$$
\begin{aligned}
&A^2-(a+d)A+(ad-bc)I\\
&=\begin{pmatrix}
a^2+bc & ab+bd\\
ac+cd & bc+d^2
\end{pmatrix}
-
\begin{pmatrix}
a^2+ad & ab+ad\\
ac+cd & ad+d^2
\end{pmatrix}
+
\begin{pmatrix}
ad-bc& 0\\
0&ad-bc
\end{pmatrix}
\\
&=\begin{pmatrix}
0 & 0\\
0 & 0
\end{pmatrix}
\hspace{25em}\Box
\end{aligned}
$$

ケーリー・ハミルトンの定理を用いた求め方

先ほど説明したケーリー・ハミルトンの定理を用いると、2次正方行列のn乗を求めることができる。

ここからは、ケーリー・ハミルトンの定理の等式の形に応じた解法を説明していく。

[1]$${A^2-kA=O \therefore ad-bc=0}$$のとき

※$${ad-bc}$$は$${A}$$の行列式である。ただし、行列式については、後でこのシリーズで説明する。

この場合、ケーリー・ハミルトンの定理の等式を用いて次数を$${n}$$から下げていくことにより$${n}$$乗を求めることができる。

例題1

$$
A=\begin{pmatrix}
2 & -1\\
-2 & 1
\end{pmatrix}
のとき, A^nを求めよ
$$

[解答]

$$
\begin{aligned}
&ケーリー・ハミルトンの定理より\\
&A^2-(2+1)A+(2\cdot1-(-1)\cdot(-2))I=O\\
&A^2-3A=O\\
&A^2=3A\\
&n \geq 3のとき\\
&A^n=A^2A^{n-2}=(3A)A^{n-2}=3A^{n-1}=3A^2A^{n-3}\\
&=3(3A)A^{n-3}=3^2A^{n-2}=\cdots=3^{n-1}A\\
&=3^{n-1}\begin{pmatrix}
2 & -1\\
-2 & 1
\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}
2\cdot3^{n-1} & -3^{n-1}\\
-2\cdot3^{n-1} & 3^{n-1}
\end{pmatrix}\\
&これは, n=1,2のときも成り立つ
\end{aligned}
$$

※次数を下げるときは、法則性に注目する。この問題の場合、$${3}$$の指数と$${A}$$の指数を足すと$${n}$$になるという関係を保ちながら次数を下げている。

[2]$${A^2+lI=O \therefore a+d=0}$$のとき

この場合、$${A^2,A^3,A^4,\cdots}$$を具体的に考えて、その規則性をもとに$${n}$$乗を場合分けとして求めることができる。

例題2

$$
A=\begin{pmatrix}
-1 & 2\\
3 & 1
\end{pmatrix}
のとき, A^nを求めよ
$$

[解答]

$$
\begin{aligned}
&ケーリー・ハミルトンの定理より\\
&A^2-(-1+1)A+(-1\cdot1-2\cdot3)I=O\\
&A^2-7I=O\\
&A^2=7I\\
&A^3=AA^2=A(7I)=7A\\
&A^4=A^2A^2=(7I)(7I)=7^2I\\
&A^5=AA^4=7^2A\\
&\vdots\\
&以上より\\
&n=2m-1(m \in \N)のとき A^n=7^{m-1}A=\begin{pmatrix}
-7^{m-1}& 2\cdot7^{m-1}\\
3\cdot7^{m-1}& 7^{m-1}
\end{pmatrix}\\
&n=2m(m \in \N)のとき A^n=7^mI=\begin{pmatrix}
7^m&0\\
0& 7^m
\end{pmatrix}\\
\end{aligned}
$$

[3]$${A^2-kA+lI=O}$$に対して、行列を変数におきかえた方程式$${x^2-kx+l=0}$$の判別式$${D>0}$$のとき

この場合、解法①と解法②の2通りの求め方が考えられる。

[解法①]
$${A,I}$$は可換($${AI=IA=A}$$)であるので、方程式$${x^2-kx+l=0}$$の異なる2つの解$${\alpha, \beta}$$を用いて、
$${A(A-\beta I)=\alpha(A-\beta I),A(A-\alpha I)=\beta(A-\alpha I)}$$と表せ、
$${A^n(A-\beta I)=\alpha^n(A-\beta I),A^n(A-\alpha I)=\beta^n(A-\alpha I)}$$が成り立ち、これを連立して求めることができる。

※可換であるときのみ、数と同様の因数分解ができる。

[解法②]
$${A,I}$$は可換($${AI=IA=A}$$)であるので、ケーリー・ハミルトンの定理の等式を用いて、
$${A^n=(A^2-kA+lI)(A^{n-2}+a_1A^{n-3}+a_2A^{n-4}+\cdots+a_{n-2}I)+aA+bI}$$と表せる。そして、$${A^n=aA+bI}$$となるので、定数$${a,b}$$を求めればよいことになる。これを求めるために、$${x^n}$$を$${x^2-kx+l}$$で割った式、$${x^n=(x^2-kx+l)(x^{n-2}+a_1x^{n-3}+a_2x^{n-4}+\cdots+a_{n-2})+ax+b}$$を考える。

例題3

$$
A=\begin{pmatrix}
1 & -1\\
2 & 4
\end{pmatrix}
のとき, A^nを求めよ
$$

[解答①]

$$
\begin{aligned}
&ケーリー・ハミルトンの定理より\\
&A^2-(1+4)A+(1\cdot4-(-1)\cdot2)I=O\\
&A^2-5A+6I=O\\
&式を変形して\\
&A(A-3I)=2(A-3I),A(A-2I)=3(A-2I)\\
&よって \\
&A^n(A-3I)=2^n(A-3I)\cdots\textcircled{1},A^n(A-2I)=3^n(A-2I)\cdots\textcircled{2}\\
&\textcircled{2}-\textcircled{1}より\\
&A^n(A-2I)-A^n(A-3I)=3^n(A-2I)-2^n(A-3I)\\
&A^n=(3^n-2^n)A+(3\cdot2^n-2\cdot3^n)I\\
&=\begin{pmatrix}
3^n-2^n & 2^n-3^n\\
2(3^n-2^n) & 4(3^n-2^n)
\end{pmatrix}
+\begin{pmatrix}
3\cdot2^n-2\cdot3^n & 0\\
0& 3\cdot2^n-2\cdot3^n
\end{pmatrix}\\
&=\begin{pmatrix}
2^{n+1}-3^n & 2^n-3^n\\
2(3^n-2^n) & 2\cdot3^n-2^n
\end{pmatrix}
\end{aligned}
$$

[解答②]

$$
\begin{aligned}
&ケーリー・ハミルトンの定理より\\
&A^2-(1+4)A+(1\cdot4-(-1)\cdot2)I=O\\
&A^2-5A+6I=O\\
&A^n=(A^2-5A+6I)Q(A)+aA+bIとおく(Q(A)は行列Aの多項式)\\
&A^n=OQ(A)+aA+bI=aA+bI\\
&ここで, x^n(n \geq 2)をx^2-5x+6で割った商をQ(x), 余りをax+bとおく\\
&x^n=(x^2-5x+6)Q(x)+ax+b=(x-2)(x-3)Q(x)+ax+b\\
&x=2,3を代入して\\
&\begin{cases}
2a+b=2^n \\
3a+b=3^n
\end{cases}\\
&これを解くと, a=3^n-2^n, b=3\cdot2^n-2\cdot3^n\\
&よって\\
&A^n=aA+bI=(3^n-2^n)A+(3\cdot2^n-2\cdot3^n)I\\
&=\begin{pmatrix}
3^n-2^n & 2^n-3^n\\
2(3^n-2^n) & 4(3^n-2^n)
\end{pmatrix}
+\begin{pmatrix}
3\cdot2^n-2\cdot3^n & 0\\
0& 3\cdot2^n-2\cdot3^n
\end{pmatrix}\\
&=\begin{pmatrix}
2^{n+1}-3^n & 2^n-3^n\\
2(3^n-2^n) & 2\cdot3^n-2^n
\end{pmatrix}\\
&これは, n=1のときも成り立つ
\end{aligned}
$$

※$${A^n(A-3)=\cdots}$$などのようにして、単位行列を書くのを忘れないように注意する。

[4]$${A^2-kA+lI=O}$$に対して、行列を変数におきかえた方程式$${x^2-kx+l=0}$$の判別式$${D=0}$$のとき

この場合、$${A,I}$$は可換($${AI=IA=A}$$)であるので、方程式$${x^2-kx+l=0}$$の重解$${\alpha}$$を用いて、$${(A-\alpha I)^2=O}$$と表せ、$${B=A-\alpha I}$$とおくと、$${A^n=(\alpha I+B)^n}$$となる。ここで、$${B,I}$$は可換($${BI=IB=B}$$)であるので、$${n}$$乗の展開に二項定理を用いることができる。
よって、$${A^n=(B+\alpha I)^n=\displaystyle\sum_{k=0}^n{}_nC_k(\alpha I)^{n-k}B^k}$$となる。このとき、$${B^2=O}$$であることを利用する。

例題4

$$
A=\begin{pmatrix}
2 & 1\\
-1 & 4
\end{pmatrix}
のとき, A^nを求めよ
$$

[解答]

$$
\begin{aligned}
&ケーリー・ハミルトンの定理より\\
&A^2-(2+4)A+(2\cdot4-1\cdot(-1))I=O\\
&A^2-6A+9I=O\\
&(A-3I)^2=O\\
&B=A-3Iとおくと, A=3I+B\\
&A^n=(3I+B)^n\\
&={}_nC_0(3I)^n+{}_nC_1(3I)^{n-1}B+{}_nC_2(3I)^{n-2}B^2+{}_nC_3(3I)^{n-3}B^3+\cdots+{}_nC_nB^n\\
&=(3I)^n+n(3I)^{n-1}(A-3I)+O+O+\cdots+O(\because B^2=O)\\
&=3^nI+n3^{n-1}I(A-3I)\\
&=n3^{n-1}A+(3-3n)3^{n-1}I\\
&=\begin{pmatrix}
2n3^{n-1} & n3^{n-1}\\
-n3^{n-1} & 4n3^{n-1}
\end{pmatrix}
+\begin{pmatrix}
(3-3n)3^{n-1} & 0\\
0& (3-3n)3^{n-1}
\end{pmatrix}\\
&=\begin{pmatrix}
 (3-n)3^{n-1}& n3^{n-1} \\
-n3^{n-1} & (n+3)3^{n-1}
\end{pmatrix}
\end{aligned}
$$

[5]$${A^2-kA+lI=O}$$に対して、行列を変数におきかえた方程式$${x^2-kx+l=0}$$の判別式$${D<0}$$のとき

この場合、$${A^2,A^3,A^4,\cdots}$$を具体的に考えて、初めて$${A^i=kI}$$となるとき、その規則性をもとに$${n}$$乗を$${i}$$個の場合分けとして求めることができる。

※[2]は[5]の$${i=2}$$の場合と考えることができる。

例題5

$$
A=\begin{pmatrix}
-1 & 1\\
-5 & 3
\end{pmatrix}
のとき, A^nを求めよ
$$

[解答]

$$
\begin{aligned}
&ケーリー・ハミルトンの定理より\\
&A^2-(-1+3)A+((-1)\cdot3-1\cdot(-5))I=O\\
&A^2-2A+2I=O \therefore A^2=2A-2I\\
&A^3=AA^2=A(2A-2I)=2A^2-2A=2(2A-2I)-2A=2A-4I\\
&A^4=AA^3=A(2A-4I)=2A^2-4A=2(2A-2I)-4A=-4I\\
&A^5=AA^4=A(-4I)=-4A\\
&A^6=AA^5=A(-4A)=-4A^2=-4(2A-2I)=-8A+8I\\
&A^7=AA^6=A(-8A+8I)=-8A^2+8A=-8(2A-2I)+8A=-8A+16I\\
&A^8=AA^7=A(-8A+16I)=-8A^2+16A=-8(2A-2I)+16A=16I\\
&A^9=AA^8=A(16I)=16A\\
&\vdots\\
&以上より\\
&n=4m-3(m \in \N)のとき\\
&A^n=(-4)^{m-1}A=\begin{pmatrix}
-(-4)^{m-1}& (-4)^{m-1}\\
-5(-4)^{m-1}& 3(-4)^{m-1}
\end{pmatrix}\\
&n=4m-2(m \in \N)のとき\\
&A^n=(-4)^{m-1}(2A-2I)\\
&=(-4)^{m-1}\begin{pmatrix}
-4 & 2\\
-10 & 4
\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}
(-4)^m & 2(-4)^{m-1}\\
-10(-4)^{m-1} & -(-4)^m
\end{pmatrix}\\
&n=4m-1(m \in \N)のとき\\
&A^n=(-4)^{m-1}(2A-4I)\\
&=(-4)^{m-1}\begin{pmatrix}
-6 & 2\\
-10 & 2
\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}
-6(-4)^{m-1} & 2(-4)^{m-1}\\
-10(-4)^{m-1} & 2(-4)^{m-1}
\end{pmatrix}\\
&n=4m(m \in \N)のとき\\
&A^n=(-4)^mI=\begin{pmatrix}
(-4)^m & 0\\
0 & (-4)^m
\end{pmatrix}\\
\end{aligned}
$$

数学的帰納法を用いた求め方

$${A^2,A^3,A^4,\cdots}$$を具体的に求めて、$${A^n}$$を推測し、それを数学的帰納法を用いて証明する。この求め方は、他の方法と異なり、汎用性がなく、$${n}$$乗の形が推測できるときしか用いることができない。

例題6

$$
A=\begin{pmatrix}
1 & 3\\
0 & 1
\end{pmatrix}
のとき, A^nを求めよ
$$

[解答]

$$
\begin{aligned}
&A^2=\begin{pmatrix}
1 & 3\\
0 & 1
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
1 & 3\\
0 & 1
\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}
1 & 6\\
0 & 1
\end{pmatrix}\\
&A^3=AA^2=\begin{pmatrix}
1 & 3\\
0 & 1
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
1 & 6\\
0 & 1
\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}
1 & 9\\
0 & 1
\end{pmatrix}\\
&A^4=AA^3=\begin{pmatrix}
1 & 3\\
0 & 1
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
1 & 9\\
0 & 1
\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}
1 & 12\\
0 & 1
\end{pmatrix}\\
&以上よりA^n=\begin{pmatrix}
1 & 3n\\
0 & 1
\end{pmatrix}
と推測できる\\
&[\mathrm{I}] n=1のとき\\
&A=\begin{pmatrix}
1 & 3\\
0 & 1
\end{pmatrix}よりn=1のとき成り立つ\\
&[\mathrm{II}] n=kのときA^k=\begin{pmatrix}
1 & 3k\\
0 & 1
\end{pmatrix}が成り立つと仮定する\\
&n=k+1のとき\\
&A^{k+1}=AA^k=\begin{pmatrix}
1 & 3\\
0 & 1
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
1 & 3k\\
0 & 1
\end{pmatrix}(\because 帰納法の仮定)\\
&=\begin{pmatrix}
1 & 3k+3\\
0 & 1
\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}
1 & 3(k+1)\\
0 & 1
\end{pmatrix}\\
&よって, n=k+1のときも成り立つ\\
&[\mathrm{I}][\mathrm{II}]より\forall n \in N, A^n=\begin{pmatrix}
1 & 3n\\
0 & 1
\end{pmatrix}
\end{aligned}
$$

2×2の対角行列のn乗

$${2\times2}$$の対角行列の$${n}$$乗については、以下のようになるので、公式として覚えておくとよい。証明については、数学的帰納法で行うことができるが、ここでは省略する。

$$
A=\text{diag}(\alpha, \beta)=\begin{pmatrix}
\alpha&0\\
0&\beta
\end{pmatrix}
のとき, 
A^n=\begin{pmatrix}
\alpha^n&0\\
0&\beta^n
\end{pmatrix}
$$

このような対角行列の$${n}$$乗を公式として、行列の対角化と組み合わせることで行列の$${n}$$乗を求めることができる。ただし、行列の対角化については、後でこのシリーズで説明する。

演習問題3

問題6 次の行列に対して、行列の$${n}$$乗を求めよ。

$$
(1)\begin{pmatrix}
2&3\\
2&-2
\end{pmatrix}
(2)\begin{pmatrix}
2&1\\
4&2
\end{pmatrix}
(3)\begin{pmatrix}
1&1\\
-1&2
\end{pmatrix}
(4)\begin{pmatrix}
2&0\\
5&1
\end{pmatrix}
(5)\begin{pmatrix}
3&1\\
-1&1
\end{pmatrix}
$$

[方針]
ケーリーハミルトンの定理の等式を作り、その形によって解法を決める。
(4)については、解法が2つあるので、解答①と解答②でそれぞれ示した。

[解答①]

$$
\begin{aligned}
&(1)\\
&ケーリー・ハミルトンの定理より\\
&A^2-(2-2)A+(2\cdot(-2)-3\cdot2)I=O\\
&A^2-10I=O\\
&A^2=10I\\
&よって\\
&n=2m-1(m \in \N)のとき A^n=10^{m-1}A=\begin{pmatrix}
2\cdot10^{m-1}& 3\cdot10^{m-1}\\
2\cdot10^{m-1}& -2\cdot10^{m-1}
\end{pmatrix}\\
&n=2m(m \in \N)のとき A^n=10^mI=\begin{pmatrix}
10^m&0\\
0& 10^m
\end{pmatrix}\\
&(2)\\
&ケーリー・ハミルトンの定理より\\
&A^2-(2+2)A+(2\cdot2-1\cdot4)I=O\\
&A^2-4A=O\\
&A^2=4A\\
&n \geq 3のとき\\
&A^n=A^2A^{n-2}=(4A)A^{n-2}=4A^{n-1}=4A^2A^{n-3}\\
&=4(4A)A^{n-3}=4^2A^{n-2}=\cdots=4^{n-1}A\\
&=\begin{pmatrix}
2\cdot4^{n-1} & 4^{n-1}\\
4^n & 2\cdot4^{n-1}
\end{pmatrix}\\
&これは, n=1,2のときも成り立つ\\
&(3)\\
&ケーリー・ハミルトンの定理より\\
&A^2-(1+2)A+(1\cdot2-1\cdot(-1))I=O\\
&A^2-3A+3I=O \therefore A^2=3A-3I\\
&A^3=AA^2=A(3A-3I)=3A^2-3A=3(3A-3I)-3A=6A-9I\\
&A^4=AA^3=A(6A-9I)=6A^2-9A=6(3A-3I)-9A=9A-18I\\
&A^5=AA^4=A(9A-18I)=9A^2-18A=9(3A-3I)-18A=9A-27I\\
&A^6=AA^5=A(9A-27I)=9A^2-27A=9(3A-3I)-27A=-27I\\
&以上より\\
&n=6m-5(m \in \N)のとき\\
&A^n=(-27)^{m-1}A=\begin{pmatrix}
(-27)^{m-1}& (-27)^{m-1}\\
-(-27)^{m-1}& 2\cdot(-27)^{m-1}
\end{pmatrix}\\
&n=6m-4(m \in \N)のとき\\
&A^n=(-27)^{m-1}(3A-3I)\\
&=(-27)^{m-1}\begin{pmatrix}
0 & 3\\
-3 & 3
\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}
0 & 3(-27)^{m-1}\\
-3(-27)^{m-1} & 3(-27)^{m-1}
\end{pmatrix}\\
&n=6m-3(m \in \N)のとき\\
&A^n=(-27)^{m-1}(6A-9I)\\
&=(-27)^{m-1}\begin{pmatrix}
-3 & 6\\
-6 & 3
\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}
-3(-27)^{m-1} & 6(-27)^{m-1}\\
-6(-27)^{m-1} & 3(-27)^{m-1}
\end{pmatrix}\\
&n=6m-2(m \in \N)のとき\\
&A^n=(-27)^{m-1}(9A-18I)\\
&=(-27)^{m-1}\begin{pmatrix}
-9 & 9\\
-9 & 0
\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}
-9(-27)^{m-1} & 9(-27)^{m-1}\\
-9(-27)^{m-1} & 0
\end{pmatrix}\\
&n=6m-1(m \in \N)のとき\\
&A^n=(-27)^{m-1}(9A-27I)\\
&=(-27)^{m-1}\begin{pmatrix}
-18 & 9\\
-9 & -9
\end{pmatrix}
=\begin{pmatrix}
-18(-27)^{m-1} & 9(-27)^{m-1}\\
-9(-27)^{m-1} & -9(-27)^{m-1}
\end{pmatrix}\\
&n=6m(m \in \N)のとき\\
&A^n=(-27)^mI=\begin{pmatrix}
(-27)^m & 0\\
0 & (-27)^m
\end{pmatrix}\\
&(4)\\
&ケーリー・ハミルトンの定理より\\
&A^2-(2+1)A+(2\cdot1-0\cdot5)I=O\\
&A^2-3A+2I=O\\
&式を変形して\\
&A(A-I)=2(A-I),A(A-2I)=A-2I\\
&よって \\
&A^n(A-I)=2^n(A-I)\cdots\textcircled{1},A^n(A-2I)=A-2I\cdots\textcircled{2}\\
&\textcircled{1}-\textcircled{2}より\\
&A^n(A-I)-A^n(A-2I)=2^n(A-I)-(A-2I)\\
&A^n=(2^n-1)A+(2-2^n)I\\
&=\begin{pmatrix}
2(2^n-1) & 0\\
5(2^n-1) & 2^n-1
\end{pmatrix}
+\begin{pmatrix}
2-2^n & 0\\
0& 2-2^n
\end{pmatrix}\\
&=\begin{pmatrix}
2^n & 0\\
5(2^n-1) & 1
\end{pmatrix}\\
&(5)\\
&ケーリー・ハミルトンの定理より\\
&A^2-(3+1)A+(3\cdot1-1\cdot(-1))I=O\\
&A^2-4A+4I=O\\
&(A-2I)^2=O\\
&B=A-2Iとおくと, A=2I+B\\
&A^n=(2I+B)^n\\
&={}_nC_0(2I)^n+{}_nC_1(2I)^{n-1}B+{}_nC_2(2I)^{n-2}B^2+{}_nC_3(2I)^{n-3}B^3+\cdots+{}_nC_nB^n\\
&=(2I)^n+n(2I)^{n-1}(A-2I)+O+O+\cdots+O(\because B^2=O)\\
&=2^nI+n2^{n-1}I(A-2I)\\
&=n2^{n-1}A+(2-2n)2^{n-1}I\\
&=\begin{pmatrix}
3n2^{n-1} & n2^{n-1}\\
-n2^{n-1} & n2^{n-1}
\end{pmatrix}
+\begin{pmatrix}
(2-2n)2^{n-1} & 0\\
0& (2-2n)2^{n-1}
\end{pmatrix}\\
&=\begin{pmatrix}
 (n+2)2^{n-1}& n2^{n-1} \\
-n2^{n-1} & (2-n)2^{n-1}
\end{pmatrix}
\end{aligned}
$$

[解答②]

$$
\begin{aligned}
&(4)\\
&ケーリー・ハミルトンの定理より\\
&A^2-(2+1)A+(2\cdot1-0\cdot5)I=O\\
&A^2-3A+2I=O\\
&A^n=(A^2-3A+2I)Q(A)+aA+bIとおく(Q(A)は行列Aの多項式)\\
&A^n=OQ(A)+aA+bI=aA+bI\\
&ここで, x^n(n \geq 2)をx^2-3x+2で割った商をQ(x), 余りをax+bとおく\\
&x^n=(x^2-3x+2)Q(x)+ax+b=(x-1)(x-2)Q(x)+ax+b\\
&x=1,2を代入して\\
&\begin{cases}
a+b=1 \\
2a+b=2^n
\end{cases}\\
&これを解くと, a=2^n-1, b=2-2^n\\
&よって\\
&A^n=aA+bI=(2^n-1)A+(2-2^n)I\\
&=\begin{pmatrix}
2(2^n-1) & 0\\
5(2^n-1) & 2^n-1
\end{pmatrix}
+\begin{pmatrix}
2-2^n & 0\\
0& 2-2^n
\end{pmatrix}\\
&=\begin{pmatrix}
2^n & 0\\
5(2^n-1) & 1
\end{pmatrix}\\
&これは, n=1のときも成り立つ
\end{aligned}
$$

最後に

今回は、大学数学・線形代数の解説記事として、2次正方行列のn乗の求め方を複数のパターンに分けて解説しました。今回の内容は、かつて高校数学Cに含まれており、大学入試にも出ていました。しかし、大学数学の範囲になって以降、大学の授業ではあまり扱われていない印象です。面白い内容なので、独学してこのシリーズに含めました。次回は、行列の基本変形とランクの解説記事となる予定です。では。

この記事の続きは以下の記事です。

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