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聴いたよ新譜2021 vol.8

聴いてたよ新譜。本当だよ。
本当です

久しぶりの投稿となりました。
とは誰に対して言っているのか…烏滸がましくも週ごとに積み重なる新譜のリリースに対してなかなか更新されないこのnoteに見切りを付けたりつけなかったりしている方がいる前提で話し始めておりますが、あくまでこのnoteは僕の満たされえぬ充実感の担保のために行っていることなので、ゲームや作曲活動等で個人的満足を得ている期間は書かなくてもいいと勝手に言い訳しながらやっている次第であります。

ようはモンスターハンターライズとサガフロンティアリマスターに熱中するがあまりnoteを書くのを面倒くさがっておりました。

しかし花火のような一時的なゲーム熱中も良いのですが、今後のライフワークとしても音楽について考え解釈していく作業も続けていきたいので、とりあえず今回は書いていなかった期間…4月最終週〜5月末までの間で僕が気に入った作品を10枚ほど紹介したいとおもいます。
聴いてましたよ…ちゃんとね。

誰に対してのちゃんとなのかわかりませんが。

01. Bruno Pernadas - Private Reasons

正直これを書くってなってもう一度このアルバムを聴いた時、こんなに前から書いてなかったか…と思ってしまったりしたんですがそれは僕が悪いんでまあ関係無いとして…

「ポルトガルのスフィアンスティーヴンス」というキャッチコピーで売り出されていた彼ですが、まず最初に思うのはBruno Pernadasのアルバムジャケットアートが好きすぎるってことです。全アルバム部屋に飾りたいレベルで好きです。今作もジャケからして良作の雰囲気を醸し出しているのですが、5年前の作品の持つリフ押しのグルービーなテイストとは違うサイケ感を持つアルバムだと思います。

ここ1ヶ月で1番聴いているかもしれん

5月の間ちょっとした買い出しなどでもそうですが、家族でのドライブ中などに1番流しているアルバムがこのアルバムです。1人でも運転中や作業中にヘビーローテしています。それくらい僕の日常のリズムに溶け込む作品でした。

「未来的アフロビート」というテーマで作られた今作とのことだが、一般的にアフロビートから連想するフッドのうねりは控えめで、電子音を巧く絡めたスペイシーな飛び道具と懐かしさすら感じるサイケデリックポップの絶妙な融合を楽しめる作品だと思います。土っぽさと浮遊感のかなり良いニュアンスが、現代の休日に射す光になんとなくマッチしていく気がします。

02. Iceage - Seek Shelter

5月頭に受けた衝撃。
Iceageといえば2014年発売のPlowing Into The Field Of Loveで初めて出会い、「デンマークのパンクバンドか…どれどれ」という入り口だったのだが、叫びの中にあるその絶妙な色気に圧倒された記憶がある。ファッションデザイナーのHenrik VibskovをはじめSleep Party Peapleなど、デンマークのクリエイターに凄く印象を強めた時期だったりした。
正直当時から自分も年を取り、パンクバンドの新譜にはめっぽう疎くなっしまったり手が伸びなくなった現在でも、Iceageならちょっと気になる…という気持ちがまだあるほどにそれは鮮烈だった。

「暴力的で美しい」
とんでもない所に行き着いた

Iceageの新譜はこれまでの疾走感よりもグランジの持つリフ性やビートの質感を持っており、はたまたstoogesのような狂気とモリッシーのような美しい内省を同時にもっているような魅力的な楽曲が多く驚かされた。アプローチも多彩ながらダサく感じさせないセンスもあり、落ち着いた楽曲も「落ち着いた楽曲も作っておこう」感が無くメソッドの中でしっかりと機能していてとても好感が持てました。

全体的に言えばパンクバンドとしての質感は鳴りを潜めたように感じるテイストながらしっかりと不気味な演出は残っており、そこに這うように絡む叫びの飛沫のような部分に痺れっぱなしのアルバムでした。

ラストのThe Holding Handはグラムロックのような艶やかさ、Stoogesのような危険さ、CCRのようなノスタルジー…全て持っているような。そんな狂気と美しさがクロスオーバーした「ないまぜの美しさ」を感じるアルバムを象徴する白眉の1曲だと思います。

03.  Anchorsong - Mirage

ロンドン在住、日本人のエレクトロニカプロデューサーでTru Thoughtsに所属。これまでのアルバムも評価が高かったので期待して新作を聴きました。

ジャパニーズライクなツボも抑えつつ
最新でクールなトライバルエレクトロニカ

馬の蹄の音や民族楽器のサウンド、ポルトガル語の詩などそれぞれ各地の土着的ながらアーティスティックな部分をボーダレスに組み合わせた遊び心ある試みが光りつつ、それによって作られたルーティンの反復にしだいに気持ちよくなっていく。発想の新しさが光りながらもとにかくとっつきやすく、しっかりと日本人がピンとくるラインのある種親しみのあるエレクトロの質感を保った作品で多国籍で無国籍ながらなぜかとてつもない安心感を持つアルバムだと思う。

暑い夏の夜、屋外でこのアルバムを流しながら友人達とビールを飲んで過ごしたい。今はそんなイメージの実現を楽しみにしています。

04. Current Joys - Voyager

アメリカのシンガーソングライター、
ジャケとジャンル付けから聴かずともよくある脱力いいメロ系のインディポップでしょ〜なんて思って聴き始めたところからの中毒性と絶妙な引き出しにやられてしまった作品。

ありがちなインディポップの皮を被った
センスのいいサブカル男子のノートにある
グラフィティのような絶妙な懐かし憧れ感

一曲目の時点からシンプルながら細かい所にリズムの遊びや小技が光り、一口にインディポップと片付けるのも気が引けるような気持ちの良い異物感を持っている。ポストパンクを感じさせる

The Bandを思わせるオーセンティックなナンバーから、ゴリゴリポストパンクなテイストの楽曲まで…幅広い発声域を活かしていて「とにかく歌がいい」と結果気付かされる。

アルバムにも入っている、Nick Caveの在籍したBoys Next Doorのカバー曲のShiversをしわがれ声で歌い上げるCurrent Joysのこちらのライブ映像もなかなか見応えがあって素晴らしい。この親和性たるや…って感じです。

05. Colleen - The Tunnel And The Clearing


MumやAu Revoir Simone大好きな僕としては一聴して最高なアルバムでした。
ミニマルなシーケンスにレトロシンセなサウンドが折り重なる内省的なエレクトロニカで、それでいて線がブレない気持ち良さがしっかりとあるのが印象的でした。

ミニマルエレクトロニカ
だけどちゃんと現代のそれ

夜に聴きたいアルバムとしてはまさに最近はこれで、残業しながら1番聴いているアルバムかもしれない…とにかくどの曲にもストリーム感があって、いい感じに波に沈ませてくれる作品なので浸っているうちに最後までいってしまう。個人的にはImplosion-Explosionの間奏の引っ張りと渦のように飲み込んでいくあのシークエンスがとにかく好き…Night Sky Rumbaとかも最高。

全部最高。5月発売アルバムの中でベスト3は入ります。

06. Noémi Büchi - Prismic Passages


この冷たさと不親切さこそエレクトロニカ

昨年11月にデビュー作をリリースした、スイスはチューリッヒの電子音楽家。ということだけはわかっていてそれ以外は何も知らない。正直SNSのタイムライン上で誰かがつぶやいていたオススメでなんとなくこの作品と出会いましたが、この無機質でミニマルで凍てついた空気感こそ僕が純正のエレクトロニカに求めるなんとなくのイメージとしてあって、4月だとAndy Stottの時に感じた「これだよこれ」をなんとなく待ってしまっている自分にマッチしたアルバムでした。

予備情報が無いのですが、サブスクのおかげでスイスの新人電子音楽家を自宅で自らDigできるなんてそれが改めてすごい。

07. Theo Alexander - Sunbathing Through A Glass Screen

ロンドンをベースに活動するコンポーザーということしかわからない。Theo Alexanderと検索しても有力な情報は対して得られなかった。ただ僕はBright-Eyed Hangerという楽曲で完全に好きになってしまい、このコンテンポラリークラシックな世界観に没入してしまった。

内省的にも解放的にもなり得る
写鏡のような作品

ピアノベースの楽曲って、個人的には敬遠してしまうことが多くてそこに理由はないんだけど、この作品の持つシークエンス感というか…ピアノを軸にエレクトロ含めさまざまな音が錯綜していくミニマルながら壮大な世界観についついのめり込んでしまった。自然の中にいるような狭い部屋の中で内省に浸っているような…どちらとも取れる鏡のような音像がまくしたてるようなシークエンスが波になって脳内を占領していくような。ついついそんな比喩も飛び出ちゃうくらい入り込んでしまいました。

今年は本当にFloating Pointsのプログレッシブジャズアルバムをはじめとして普段聴かなかった音楽に驚きや感動を感じることが多い。Theo Alexanderのことをまだ何も知らない僕ですが、詳しい方彼がどんなアーティストなのか教えてほしいです。

そしてこのアルバムからBright-Eyed Hangerのリミックスバージョンが最近配信されているのですが、これがさらに素晴らしい…オススメすぎます。

08. Bachelor - Doomin' Sun

Jay SomとPalehoundがバンドをやるってなったらどうしても期待せずにはいられない。とはいえあくまでエキシビジョンな雰囲気かと思って聴いてみたところ完全にやられた…

こんな感じね…?
とナメてかかってからの
ツボ押され続ける感じ

この2人の歌声の相性や重なりがこんなにも気持ち良いとは思わなかったし、なによりギターサウンドが好みだった。しっかりローファイでしっかりコーラスから間奏でブワァ〜ッってボトムから倍音してくる…jaysomの青さのある声にpalehoundの落ち着いた声がこの90年代ライクな乾いたサウンドに重なるってこんなに気持ち良いのかと。よりドリーミーにリバーブを効かせた楽曲もまた範疇内で気持ちよく、徹頭徹尾ツボを逃さないアルバムでした。

09. Black Midi - Cavalcade

昨今のUK新世代のバケモン

今年こんだけUKの新人バンドが出てきて、Black Midiもまだ2枚目なわけだけど、実は1stはカッコいいと思いつつもロキノン感あるエッジィなギターのサウンドなどが個人的に軽く感じてそこまでハマっていなかったのだが、もう今作John LのMVが出た瞬間からBlack Midiのイメージは僕の中でかなり好意的に好きなバンドになっていた。

ダークでプログレッシブなアプローチ、ギターのサウンドとしてもエッジよりも破壊力重視のディレクションで不気味で最高。ホーン隊も本当最高。最近のトレンド気味ではあるけどめちゃくちゃ相性が良いです。King Krule感あるボーカルエフェクトも全体的に合ってるし、とにかく個性が暴れまくっているアルバムだと思う。落ち着いたテンポの楽曲も飽きない作りであっという間に聴き終わってしまう。

好みや観点はそれぞれかもしれないけど僕はシンプルに好きでした。
まあとにかくJohn LのMVはみんなに見て欲しい。大好き。


10. Georgia Anne Muldrow - VWETO III

僕個人はラッパーのISSUGIさんがやっている16flipとのコラボで知ったアーティストですが、「現代のニーナシモン」と呼ばれるほどの圧倒的存在感とセンスを感じさせる歌とビート。

今作はほぼインストのビート中心で、チルなR&Bサウンドはトレンドではありますが、骨太なものなども織り交ぜて全体的に夜に聴いていてとにかく気持ち良かったのでご紹介させていただきました。

MVにもなっているMafaro's Gerdenなんかも気持ちよくて。ビート集としてもオススメです。


ライフワークとして

改めて書こうと思って聴き直したらまたまたたくさんの発見がありました。他にもポールウェラーやSt.Vincentなど好きだったアルバムはまだまだありましたが、特に好きだった10枚を紹介させていただきました。

Theo AlexanderやNoemi Buchiなどサブスクだから出会えたようなアルバムもあったりして、とにかくそんな出会いが楽しくて今やってるというか。そしてBlack MidiやSquid、Easy LifeもですがUKはとにかく熱いですね…追いつけないくらいです。

そんなこんなでゲームも良いですが、6月はアウトプットも忘れずにやっていきたいと思います。もし読んでくれた方がいたなら本当にありがとうございました

またお願いします

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