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聴いたよ新譜2021 vol.5
少し日にちが空いてしまいました。
毎週金曜日の新譜UPをたのしみにしているわけですが、ついつい他のメディアに時間を割いてしまい、まとめられるほどの枚数を聴くのに時間がかかっていしまいました。
そういえばここ近年ジャズを用いたアプローチのアーティストがインディミュージックでも顕著だなあと、自分もまたそれが好きで聴いているのですが、ここであえてKing Kruleのアルバムを聴き直してライブ映像なども観たりしまして、改めてその音楽性とライブの高いクオリティに圧倒されました。今このご時世が落ち着いて機会があったら一番観たいアーティストですね…そんな2週間でした。
さて今回も多種にわたる作品と出会うことができました。待望のあのコラボレーションアルバムもついに発売されましたね・・・度肝抜かされました。早速書いていきましょう。
1. Pino Palladino & Blake Mills - Notes With Attachments
数々の著名ミュージシャンのサポートを務めてきたジャズベーシストのPino Palladino、初のソロ名義でのアルバムを発売。しかも共作&プロデュースで今シーンの最重要人物にして一番話題のBlake Mills。さらにはつい先日52曲のアルバムをリリースしたサックス奏者のSam Gendel、グラミー賞にも数年前ノミネートされたジャズドラマーのChris Dave…
参加メンバーの紹介だけで今作のすごさを語ることに等しくなってしまうというのはある意味残念だけどそれくらいパッケージが豪華すぎるんだよね…
作品自体は30分ちょいと短めですが、一曲一曲がそれぞれ聴きどころもしっかりしていて「セッション感」と「作り込まれた感」が同居したスリリングでありながら完成された素晴らしいニュアンスの中で作り上げられています。グルーヴの渦の中で聴いててヘロヘロになってしまう。しかしながら作品そのものに緊張感を持たせすぎず、あくまでジャジーなBGMとしても楽しめる絶妙な塩梅がたまりません。僕はハードリスニング以外にBGMとしても楽しめる作品のほうが聴く機会が多いので、今年一年で一番聴くことになるアルバムかもしれません。
Pino、Blakemills、Sam Gendelの三人でセッションした動画も公開されています。この特別感よ・・・この時代によくぞ集まったと思うメンツですね。
最高
2. IAN SWEET - Show Me How You Disappear
勉強不足ながらIAN SWEETの作品を聴くのは今回が初めてでしたが、とても素晴らしいですね・・・めちゃくちゃ好きな雰囲気でした。
解放感のあるサウンド、ドリーミーなエフェクトはもちろんシーンとしてままある手法だが、このIAN SWEETの正常なものを壊すやり方とINDIE POPSとして形を留めていく残し方というか・・・そのバランス感覚が自分にすごくしっくりきた(という言い方で伝わるのかはわからないが)。
浮遊感とエモーショナルな部分や残響の方法などが前に出しすぎない感じというか、浮遊させるところと生音を大事にするところと、けどしっかり持ち上がってくる感じというか。口でうまく説明できないのだが、「セオリーとは違う感じ」を感じて気持ち良かったんですよ。僕の勉強不足で同じようなバンドはいるのかもしれませんが、少なくとも自分には新鮮でした。とても気持ちの良いアルバム。
3. Fruit Bats - The Pet Parade
これまた初見でしたし、Fruit Batsと検索したらガチのコウモリの画像が大量にでてきて少し気分を悪くしてしまったりもしたのですが…
このアルバムはフォークロックのおいしい部分が詰まっている良作だと思います。メロウなサウンド、やりすぎない古臭さと温かみのある空気感と、アメリカらしさを強く感じます。大好物です。
8曲目のHoly Roseという楽曲、是非ライヴでお酒飲みながら聴きたいですね。コーラスパートでのファジーなギターサウンドが気持ちいいですね…
4. Arab Strap - As Days Get Dark
アラブストラップが新作を出すと聴いた時驚きました。前作はもう15年前…15年前か…いろんな思い出を思い出しつつ聴きました。
ちょっとこれは人によるかもしれないんですが、僕の中ではどストライクにアラブストラップに求めていたサウンドではありませんでした。明瞭でポップなサウンド、耽美的に寄りすぎてインディセンスを欠いたメロディ…
僕の中ではこれはアラブストラップに真正面から求めていたものではなかった…なのになんでこんなにいいアルバムだと感じるんだろう。なんなんだろう…
それはこれがアラブストラップの片鱗を纏った全く新しいものとして確立されていたからだと思う。エレファントシューの頃のインディサウンドをしつこく追憶してしまっていた自分を律し、聴けば聴くほど今のサウンドとして愛せる部分の多い作品でまさに進化だと思えた。
その暗さだけしっかり持って新しいサウンドを聴かせてくれたことに感謝しかない。
5. Nubiyan Twist - Freedom Fables
イギリスロンドンのジャズ集団。血が沸き立つアフロジャズの熱さに、イギリスらしいメロディラインが乗ってしっかり躍らせてくるアルバム。あの80年代初期のブラックミュージックを取り入れたニューウェーヴの時代を思い出す空気と現代音楽でもトレンドのジャズの手法が気持ちよく混ざっている作品だと思います。アシッドジャズを軸にソウル、ラテン、レゲエなどがごった煮になりながらアルバムが作られている。本当どうなってんだよ…太陽の下で聴きたい暑苦しさのようで、夜に聴きたいようなムーディなギアにもいれることができる。とにかく才能が爆発してるアルバムだと思います。
ライヴも最高な感じですね・・・フェスで見たい感じがします。
6. Photay - On hold
ニューヨークの音楽家photay。bonoboなどのサポートアクトを務めるなどその才能を開花させているアーティスト(らしい。調べた)
ジャケットのとおり、遭難して現代の山奥を進んでいるかのような美しくも現実的なアンビエントを聴かせてくれる。冒頭の電話のプッシュ音のようなサウンドのサンプリングは、個人的にはキノの旅のアニメ(初期)の方を少しだけ思い出し、頭の中の想像力に拍車がかかった。
全体を通してドローン感もありつつ、気持ちの良い音の波を感じる。
特に好きなのはRoamingからの美しさとヤバさというか、溺れていく感じというか。この作品が何を伝えたいのか知らないのだが、そんな音に溺れていく感覚を感じさせてくれました。
音楽との暮らし
音楽というものを僕は基本的に車を運転しながら聴く、もしくは1人で外で一服しながら聴く、もしくはみんな帰った事務所で残業しながら聴く…その3通りなのですが、どのタイミングでもミニマルで刺激の少ないサウンドを求めてきました。
今このように習慣的に新譜をインプットするようになり、敢えて避けてきたジャンルなども再確認できて嬉しい限りです。あるバンドの新譜からインスパイアの2000年台初期のバンドを掘り起こしたり、sswやフォークロックの隆盛でフリートウッドマックやトークトーク、ジョニミッチェルに再び注目が集まったり、本当楽しいです。
st.vincentの新譜がプリンスやデビッドボウイのヤングアメリカン、ステイショントゥステイションの頃を彷彿とさせたり…
また来週も新譜を楽しみにしております。
新譜特集以外にもなんか書こうかな…
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