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聴いたよ新譜2021 vol.6

お世話になっております。

新譜を聴いたりエヴァ映画について書いたりしていた頃から気づいたら2週間の時が経ち、その間にたくさんの新譜もリリースされておりました。正直聴ききれないくらいたくさんいいアルバムが出ておりましたので実はまだ聴けていないアルバムも多々あるのですが、こうやって音楽を聴くのが習慣的にも楽しくなってくると、プレイリストをシチュエーションや季節に合わせて作ったりそれに順じたアルバムを紹介するような記事も書いてみたいな~なんて思うんですが、それはまた気が向いたらやっていきたいと思います

そんなこんなで2週間あいてしまったので今回は10作感想を書きます。正直聴いたけれども書ききれないアルバムもあります。
先に言うとClark、Xiu Xiu、Middle Kids、Esther Rose、Lana Del Rey、斉藤和義、ミツメ、LITEの「騙し絵の牙」ostなど...2週間溜めるべきではない週でしたね本当。というか勝手にやっているnoteなのになぜ僕はこんなに縛られてしまっているのだろう…

まあとはいえここに書いていないものも聴いています。どのアルバムもたくさんの影響力や知識を持つ方々による素晴らしい感想も既に散見されておりますが、僕は僕のために続けていきたいと思います。それが読んでくださる誰かのためになるのであれば、それはとても嬉しいです。

そんなわけでとにかくこの2週間僕が特に気に入ったアルバムを10枚こちらで紹介させていただきます。


01. William Doyle - Great Spans of Muddy Time

レトロゲームライクなシンセサウンドのイントロに浮遊感あるモジュレーションが広がり美しい歌が流れる…この冒頭だけでもう「あっ、これ好き」となりました。アルバム全体的にドリーミーなインディサウンドに芯のあるちょいトラッドなオルガンやシンセサウンドを合わせるというスタイルが見られ、ビートで遊んだりフィードバックや発振を使用したミニマルノイジーな楽曲もあったり、かといって80年代的美メロ曲なんかも飛び出し…遊び心もありつつ出鱈目には成り果てないセンスが光っています。ずるい…

実験性とポップネスの絶妙な取り持ち具合とそれを裏付けるセンス自体が僕は大好きなので、自動的にアルバム通してツボを刺激され続けているような感覚になってしまいますね…


02. Mint Julep - In a Deep and Dreamless Sleep

バンド名、カバーアート、アルバムタイトル全てから想像通りのドリーミーエレクトロシューゲイザーなサウンド。蓋を開けてみるとGoldmundやHeliosの名義でも活躍するKeith Kenniffと奥様との夫婦ユニットなわけだけど、前作がPOPにステータスをかなり振って疾走感のあるエレクトロポップな仕上がりだったのに対して今作はリバーブ濃いめのギターサウンドが芯となり、より形式的にインディロックのボトムを感じる作りで僕は完全に今作のが好きです

(というか改めて見てみると2020年にMint JulepでもHeliosでもGoldmundでもリリースしてるってどういうこと?)

GoldmundやHeliosの持つアンビエンスやテクニックがふんだんにPOPに消化されており、実験性込みでとにかく丁寧で上質なコース料理を味わっているような満足感があるアルバムでした。この路線でさらに深いところにチャレンジして最強の夫婦になって欲しい…


03. Alice Phoebe Lou - Glow

実はこの2週間で1番再生したアルバム
南アフリカ出身で現在はベルリンで活動中のシンガーソングライターAlice Phoebe Louの新譜、全体的にアナログ感のある生々しさが美しく、形式的なロック観も持ちつつ地下的なのに開放感のあるユルさがドツボにハマりました。声も生っぽくて揺れ方がとても美しく、ギターのトレモロリバーブが少し冷たく響く感じもゆらゆら帝国などが好きな自分としては大好物でした。とてもレトロライクなのに所謂形式的なジャンルに帰属しすぎていない感じがするんだよなあ…それが好き。

MVも素敵でした。2020年に丸刈りにしたという記事を読んでいましたが、ベリーショートの女性が肉体的に開放と音楽を大地に発散している感じが文字通り「爽快」でありつつ孤独や悲しさも感じる素晴らしいMVだとおもいます


04. Floating Points,Pharoah Sanders & The London Symphony Orchestra - Promises

今年の2月、急遽異色にして驚きのコラボレーションが発表された。

イギリスエレクトロニカの重要人物の1人floating pointsと、コルトレーンの後継者にしてレジェンドサックス奏者のPharoah Sandersが共作…しかもロンドン交響楽団も参加…いやいやどんなプロジェクトを近々にサプライズ発表しとんねんという話ですが、めちゃくちゃヤバいアルバムでした。

Movementと題された9曲はほぼ同じ音階のアルペジオから始まり、それぞれ全く違う展開を見せていく。floating pointsが穏やかな海を作り、その上をpharoah sandersの肉体的なサックスが泳いでいくような、さらにオーケストラの波がそれを大きく動かしてとてつもないアートを作り出しているというか…この例え合ってるのか…?わからなくなるが、このコラボが決まった時に思い描いたジャズ×エレクトロニカのそれとは全く違うこれは素晴らしい芸術作品だと言えるとてつもなく濃密な46分間でした。ループものでもあり群像劇でもあり1つの物語でもあるような…いろんな顔を持っているアルバムだと思います。

また名盤が来やがったコノヤロウ!

05. Dntel - The Seas Trees See

もうひとつの緑の惑星に不時着したかのようなスペイシー、オーガニック、ミニマルなあたたかい一作
デスキャブ大好きマンな僕としてはThe Postal Serviceのイメージが強いJimmy TanborelloことDntelの新譜、Kate Wolfのリミックス曲でプロローグ的にスタートした時点で一気に惹き込まれました…やわらかなシンセサウンドにスペイシーな発振音、ポエトリーなども相まって没入感がすごいです。
アンビエントな作りでもありつつ展開も抱負で、ミニマルで温かい生活、空気を感じさせる透明な空間作りがとにかく気持ちいい…まさに僕の好きな自然派エレクトロニカ〜なんて思って聴いていったのですが…
ラストのHard Weatherがまさに白眉ともいえるカタルシスで完全に感服しました…ここまでの若干のふつふつ感を解放してくれるような楽曲で、太陽を感じるパワーがありました。

テイストとしてはRei Harakami大好きリスナーはこういうの無限に聴いちゃうんですよ。屋外でこれ聴いて仰向けに寝て1人で過ごしたい…めちゃくちゃ好き

日常を忘れつつもドメスティックな温かさもある夏に聴きたいアルバムでした。

06. The Antlers - Green to Gold

アントラーズ7年ぶりの新譜、「このアルバムの曲は全て午前中に作曲した」と言っておりまさに日曜日の朝をコンセプトに作られたアルバムだという。前作までも同じく美しさや儚さを内包していたが、どこかダークさも前に出た楽曲が多かった印象もある。

今作は徹底して牧歌的でもあり幻想的でもあるとにかく淡く淡くした優しい楽曲が多く、メンバーは「年をとった結果そのような楽曲を作りたくなっていった」とコメントしているが、その穏やかさは、僕の最近のストレスフルな日々にはうってつけもうってつけだった。

暖かい日曜日の朝、まさにこのアルバムを聴きながら庭先に腰掛けて煙草を吸う喜び…これこそまさに最高の楽しみ方なのではないか。
そうも思えてくる。

07. Tune-Yards - sketchy.

今回選んだ中では最もアグレッシブな作品。トリッキーなビートにソウルフルながら抜けのある歌声、気持ちいいところをビシビシ突いて踊らせてくるえげつなさすら感じる、ついてこれるかな?な展開たちに振り回される楽しさがある、最高なグルーヴのアルバム。

とはいえ歌っている内容は辛辣で露骨なメッセージ性に溢れている。

“この曲は、私が両親の世代に裏切られたと
感じていると同時に、私達も未来を裏切っているという事を歌っている”

シングル「hold yoursef」インタビューにて

数々の社会問題に悲痛な叫びをあげながらその一部に収まらぬよう全力で音楽を振り回しているような、そんな熱量を感じつつもただただ気持ちのいいビートと楽曲としての気持ちよさもしっかりと合わせ持っていてこれまたすごいアルバムだなと思わせられる。

開放感もあるんだけど内向的な騒ぎの雰囲気もすごく感じるんだよな…だからこそ意外にも1人で聴き入るのにも向いていると思います。saultなどにも見られたメッセージ性とアフロビートの持つ内省と発散の気持ちよさをTune-Yardsにもまた感じたところです。とにかく好き

こちらのMVもオススメです


08. Serpentwithfeet - DEACON

前作で一躍有名になり、エレクトロニックゴスペルとも言われたサウンドはダークな部分とその昇華を感じさせる光を併せ持つまさに救いのアルバムだったのに対し、今作は全体を通してスムースで柔らかい光を感じる耽美な一作となった。僕は今作の方が好みです。

ソフト、スムースなR&B、POPというのは現在では珍しくはないのかもしれない。世界的にもセクシャリティや愛の形の多様性を歌うタイプの楽曲やアーティストは増えているしそれが儚く美しく映ることも知っている。それでもミニマルでソフトなトラックと美しい歌は本人が表さなくとも官能的で耽溺すべき音楽の姿なのは間違い無いと思う。

ようはとても綺麗でパーカッションライクな
ビートは気持ちよく、深いこと無しに浸れるアルバム
だと僕は思います。考えてしまえばそれぞれな気もしますが、音楽的に好きです。

そして何よりSamphaとLic Silvaと共同で作曲製作したというラストのFellowshipは特に素晴らしい曲だと思います。

09. The Vernon Spring - A Plane over Woods

ロンドンの音楽家でエイミーワインハウスのワールドツアーにピアニストとして参加もしていたサム・ベステによるソロプロジェクトのファーストアルバム。

普段ピアノポップやピアノ系のエレクトロニカをあまり好んでは聴かないのだが、アンビエンティブなピアノサウンドに、エレクトロやボイスサンプリングの要素がうすーく絡み合っていく感じがとてつもなく癒しで深ーく聴きたくなってしまうアルバムでした。

彼がメンバーとして参加している、オルタナティブソウルトリオ、Hejiraも素敵だった


10. afternoon bike ride - Skipping Stones

全く予備知識なしにジャケ聴きして一発で気に入ったアルバムでした。モントリオールのアーティストのようですが全く初見でした。
Moskitooとかを思い出す透明感エレクトロニカの感じがたまらない〜と思いきや、lo-fi Hiphopなビートのインディフォークなどもありつつインディ〜エレクトロニカの気持ちいいルーズなところをビシビシ刺激してきます。何ものなのかいまだにわかりませんが、この感じがめちゃくちゃ好きなのでまた新譜出る際には聴きたいですね…これもお外で聴きたい。最高


夏が近い。キャンプしたい

Dntel、アントラーズ、Afternoon Bike Ride、Alice Phoebe Lou、Tune-Yards…どれも屋外でアクティビティやチルしながら聴きたくなるような楽曲が多かった印象です。このような音楽たちは聴けば聴くほどキャンプ行きたくなりますね…

しかし前回のPino PalladinoやSam Gendel、1月のCARM、アフリカのコンピIndaba Is、Black Countryなどジャズを取り入れたアルバムが多くあり、どれも素晴らしい中でリリースされたfloating pointsのアルバムは本当に衝撃でしたね…再びジャズの良さを再確認する日々です。

来週は元ペインズのkipの新バンドやライリーウォーカーのアルバムも出るのでまた楽しみですね…来週もまた素晴らしい音楽を楽しみに過ごそうかと思います。

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