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聴いたよ新譜2021 vol.9

6月ももう終わりそう。
あっちゅうまの1か月ですがだいぶ夏を感じる作品も増えてきましたね。夏そのものは暑いし、陽キャが外で騒ぐしあまり好きではありませんが夏を感じる作品となってくるとかなり好きです。今回も気に入った作品を何作か上げさせていただくのですが、ここ数週間のリリース作品の中でも夏に聴きたい作品が多くなってきていると思います。

01. Japanese Breakfast - Jubilee

前作は聴いた瞬間インディの空気感と優しい歌声に惚れ、そこから4年…今作も先行曲はポジティブ感のあるポップスでまた新しい良さを感じ取れたのでかなり期待していました。

その名の通り朝メシ時に聴きたい

ウィスパーに囁くように始まった前作から比べても、一曲目「Paprika」からMikaのような多幸感ある広がりと全編通して見られる「フィルスペクターがやってる?」と思うような懐かしさのある声の伸びとルーム反響感がたまらない。そこからは80年代を思わせるシンセポップスのBe Sweet、フィードバックを効かせつつシガーロスばりに壮大なドリームポップのSitなど様々な面を見せてくれる。かなりバラエティに富んでいるけれど全体的にシガーロスの欲望などにあるような多幸感を纏っていて個人的には今こそ聴きたいアルバムでした。

02. Wolf Alice - Blue Weekend

ポップセンスがずば抜けたドリームポップ

1stだけ聴いたことがあってとても好きだったんですが、攻撃的なイントロかと思わせて意外と輪郭のあるポップナンバー??という肩透かしが気持ちよくて、今作は結構その辺がいくとこまでいってる感じがしました。インディらしさと若干相反していく余りあるポップネスの絶妙なブレンドが気持ちいいアルバムだと思います。バンドのアイドル性もしっかりと出ていて、Play the Greatest Hitsのようないい意味でイタめな部分も愛せるなあと聴いていると次の曲はとびきり通好みなシューゲシンセテイストだったりと楽しんで聴けました。

03. 踊ってばかりの国 - moana

なんで毎年すごいアルバム出せるんですか?

昨年の「私は月には行かないだろう」がまだ記憶に新しい中新作が発売されたとの情報が…聴いてみるとまるで神事かのような祭りがそこにはあった。終わりゆく人類に歌っていた現代版TAMAさながらのメッセージとどこか諦めすら感じる脱力的雰囲気が最高。前作にあった浮遊感から一変して土の上での人々の叫びを思わせる土着的なお祭り感。どことなくコンセプチュアルでメッセージ性も内包しつつ、しかし寓話的でもあるこの絶妙なパワーはなんなんだろう…あと個人的には異質さを超えて歌の良さや技術を濃く感じた作品でもあり、ライブで観てみたい欲が高まりました。

お酒はほどほどにね。

04. Mndsgn - Rare Pleasure


いい酒を飲みながら聴きたいアワード金賞

僕は初見でしたが、mndsgnというビートメイカーの実力にビビり倒したアルバムでした。LAの才能あるアーティスト達が集結したアルバムとのことだけありビートメイクの奥行きや幅の作り方が最高すぎる作品でした。ジャズ、ダウンテンポ、R&B的でもありながら南米的なエッセンスやアフロチックな部分もありアーバンライクでもある…ほんとに様々な音楽の要素を各所に感じるんだけど総じて「chill」であることだけ間違い無くて、気持ちいいに次ぐ気持ちいい。まさに真夏の夜にバッチリな仕上がりになってるのがすごい。

余談ですが…
昔シャウエッセン提供の久保田利伸さんのFMラジオでR&Bなどブラックミュージックを当時ガキの自分は聞いたことも無いようなジャンルで紹介されていたのをなぜかよく聴いていて、知的好奇心をくすぐられるサウンドというか、なぜかその時をふと思い出しました。なぜ

とりあえずMndsgnめちゃくちゃハマったのでこれから前作も聴きます。

05. Rostam Batmanglij - Changephobia

内省的なのにあたたかくて優しくて寂しそう、そんな絶妙なバランスが往年のヴァンパイアサウンドに混ざっていく美しさがあった

待ってた。Vampire Weekendってエズラもロスタムも天才だと思うのですが、脱退してからのロスタムはサウンドトラックの作曲やプロデュース業もさかんで、clairoのImmunityとか大好きでした。

アルバムはというとタイトルが「Changephobia(変化への嫌悪感)」とされているだけに、ここ近年の世界的内省ムードからロスタム自身も少なからず影響を受けて製作していることがなんとなく感じられる。またそれをこのような造語で表現するあたりさすが…と感じてしまうのだが。そのタイトルからも連想できるように今作は全体通してひとつ落ち着いたトーンを持っており、どの曲にもあの頃のVampire Weekendの片鱗を感じずにはいられない作品だった。

とか偉そうに総評しているけど、一曲目のThese Kids We KnewのVampire的さわやかさの中にどこか寂しさを感じるシンプルながらサウンドの引き出しを感じる作りに「これこれ〜」となってしまったんですけどね…6曲目Kinneyとかもイントロのドラムンベース感聴いた瞬間から「おお!」と声に出しちゃいました。やっぱ好きなんだよな…

06. Taiyo - Land

和や台湾的なトライブ感の塩梅が素晴らしい

ほとんどこのアーティストについて何も知らない。調べたけれどよくわかっていないんだけど、Apple Musicのエレクトロのニューリリースで見つけてなんとなく聴いたこのアルバムがとても素晴らしかったのでよく聴いています。

和や台湾の雰囲気を持ったエレクトロミュージックって場合によってはダサくなりがちな部分もあると思うんですがその出しすぎないチョイスやアレンジのミニマルさがかなり良いバランスだと思います。気持ちいいアルバム。

07. odol - はためき

内省、内省と聴き続けていた昨年からして開放感のある作品にも目を向けたくなったのが自分としても時勢からの影響を感じる部分で、それこそJapanese Breakfastの時に書いたように光のある開放的な作品の良さがこのアルバムにもまた詰まっている。

Odolは前作をたまたま聴いたことがあったので新作が出てると知って早速聴いてみたが、裏切らないバリエーションとその透明感ある声、サウンドにやられてしまいました。

全夏を美化してくれるような大正義のサウンドですよこれ

Broken Social Sceneを連想するようなある種透明感と空虚さも同時に全体に纏っていて、その中でも特にアルバムとしてラスト2曲はクライマックスで白眉ともいうべき展開で鳥肌が立ちました。

僕には眩しすぎる作品ではあるが、優しくてこの作品が流れるような日中を過ごしていたいものだと切に願います。

08. Good Morning TV - Small Talk

個人的に今月のベスト3に入ります。めちゃくちゃ好きだった…フランスのインディーロックバンドのデビューアルバムで、もちろん今回初めて知りましたが、コンプ感あるギターとリバーブ、ローファイらしさ溢れる歪みの時点で最高。ある程度の枠におさまりつつも気持ちいいラインの奥ゆかしさを常に感じるんですよね…ドリーミーしすぎずシューゲイザーにも行きすぎず…そのポイントがめちゃくちゃ好きです。

インディロック好きの痒いところを刺激しまくるサウンドと、ある意味ねっとりした展開や透明感ある歌声も含めて個人的に大好物すぎました。

ライブも素敵…


もう半年か…

このようにディスクレビューを始めてからもう半年経つことに驚いていますが、本当聴いてきてよかったなと思います。新しい音楽を知ることを通じてまた色んな人の考えや、まだ聴いていなかった過去の名作も同時に聴く機会になりますしね…

もうそろそろ上半期まとめでもやろうかな…
次の投稿はそれになるかもしれません。

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