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無限

1,2,3,・・・と数えていった先に何があるのかといえば、終わりそのものがない。どこまでも行っても自然数はその次の自然数があるためです。そこで、このことを限りが無いことから通常、「無限」と呼んでいます。

ところで次のような無限もある。

0と1の間(ただし0と1は含まない)にはどれだけの実数があるのかを考えよう。0から1の間にはこの半分の点1/2があるし、今度はまた0と1/2の間に半分の点1/4がある。それでこれをどんどん続けていけば1/2,1/4,1/8,という実数が得られるのだが、それらは常に0よりは大きくて1よりは小さい。よって0と1の間には少なくとも、番号付けができるくらいの無限に多くの実数があることはわかる。

しかし0と1の間のすべての実数を拾い上げようとすると、どうしても番号付けができないくらい多くの量を持っていることもわかる。

実際、もし番号付けできるだけの無限の量だとしたら、それを全部リストアップしてみよう。上から順に1番目の実数、2番目の実数、3番目の実数、・・・という風に、それぞれ何かしらの実数が重複なく、しかも漏れもなく現れるはずである。そしたらそれぞれの実数について、小数展開してみよう。(※注意1)

そして上から順番に小数第1位の数、小数第2位の数、小数第3位の数、・・・という具合に対角線を滑るように0~9の自然数を拾いあげ、そのときに偶数なら1、奇数なら0にして記録していく。

こうして記録して得られた0~9の自然数の列を、整数部分が0の小数展開したものと思えば、これもまた0から1の間の実数xである。ということは、さっきリストアップしたものの中に実数xはあるはずである。そこで、それをN番目にあるとしよう。

リストのN番目の小数第N位を眺めてみよう。これがもし偶数だったら、xは1になっているので、1は奇数だから一致しない。一方、奇数だとしても、xは0になっているので、0は偶数だから一致しない。

よって実数xとリストのN番目が等しくない訳であるが、それはNの決め方と矛盾する。

この矛盾はなぜ起きたかというと、「もし番号付けできるだけの無限の量だとしたら」と仮定したことに起因する。したがって、0から1の間にある実数のすべてを番号付けすることはできない!

(※注意1:小数展開の表記で細かい話だが、例えば0.199999・・・=0.2000000・・・など、表記に一意性がない。しかし表記のルールとしてどちらかにすると決めてけば以後の議論に問題はない。)

番号付けもできず、しかし無限にあることは間違いないことがわかった。

それで、この無限は自然数の無限とは隔たりがある。集合論では自然数の無限を加算無限(かさんむげん)、あるいは可付番無限(かふばんむげん)とよばれる。それに対して0から1の間にある実数の無限は非加算無限(ひかさんむげん)とよばれる。

数直線を描いたときに、ぽつぽつとある無限が加算無限で、0から1までの間のように、べったりとあるのが非加算無限(注意2)となる。

(※注意2:実はこれを連続無限という。それは実数の全体と完全に1対1対応するためである。)

こうして同じ無限同士にも1対1対応が作れないことを根拠にした違いがあるというのが分かると思います。無限を扱って議論する際は、その点を区別して議論する場面があります。例えば高校数学で「数列の極限」と「函数の極限」がどちらも極限を考える点は同じですが、加算無限としての極限と連続無限での極限とでは対象が違うので、これらを区別して扱っています。

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