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九九

皆さんは、好きな数字はなんでしょうか。

一等賞の「1」、ラッキーセブンの「7」、「ゼロからスタート」の「0」、誕生月の「4」、などなど好みも様々と思います。

さて、九九(くく)は1桁×1桁の答えを語呂合わせで詠ったものですが、我々は10進法を使うので数字は0を含めなければ9種類の数字のペアで構成されています。もし昔のヨーロッパのように12進法が主流だったなら、九九に相当するものは11種類の数字のペアで構成されたものを覚えていたかもしれない。それはそれで沢山覚えられて便利です。おまけに12進法なら12の約数が1,2,3,4,6,12と6種類もありますから、九九(の12進数版)にしたときにこれらの段は簡単になります。それはちょうど10進法での九九が、2の段と5の段が簡単になっているのと同じです。

日本で九九は平安時代にはすでにあったらしく、それは万葉集の和歌にも表れているからです。八十一と書いて「くく」と読ませたり、「十六」と書いて「しし」と読ませたりと、九九だけにまさに「かけ」ていますね。

現代でも例えば「四六時中」という単語は、それは46時間ということでなくて、四六24だからで、1日は24時間だから九九の言い方を使っています。

ところで小学生の頃、「9の段」を先生が黒板に縦に並べて書いてくれたとき、黒板を眺めていたらあることに気付きました。

9×1=9
9×2=18
9×3=27
9×4=36
9×5=45
9×6=54
9×7=63
9×8=72
9×9=81

ちょうど上から下に向かって答えを見ていくと、1桁目は
9,8,7,6,5,4,3,2,1
となっているし、2桁目もうまいことに
0,1,2,3,4,5,6,7,8
となっているではないかと。なんだこの魔法は!

それで9という数字の不思議さが好きになってしまった。しかしその証明はその時に知るはずもなく、不思議さに魅了されていました。

実はこれの本質は「9」は10進法に対して基数10より1小さい数というのが効いています。例えば12進法で11の段を書くとよくわかります。12進法なので10をA、11をBという記号で書くとしよう。すると、

B×1=B
B×2=1A
B×3=29
B×4=38
B×5=47
B×6=56
B×7=65
B×8=74
B×9=83
B×A=92
B×B=A1

となります。こうして「Bの段」についても、1桁目はBからスタートして1つずつ落ちているし、2桁目は0からスタートして1つずつ上がっていく、という法則が現れていますね。

何進法であっても同様の現象が現れるのは認められるでしょう。

しかし、小学生の間はその不思議は、不思議のままにした方がロマンがあっていいかもしれない。





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