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新編 風の又三郎(新潮文庫) / 宮沢賢治

2021年3月26日 読了

「グズコーブドリの伝記」が読みたくて手にとった一冊。
やはり宮沢賢治の作品は難解で理解できない話も多いが、賢治の持つ宗教観・宇宙観には圧倒されてしまう。

特に自然描写の一つ一つが凄まじい。
グスコーブドリの伝記は、一見自己犠牲の美しさの物語のようにも見えるが、地質に関する描写の緻密さに引き込まれ、単純なテーマでは語れないものの片鱗を味わった。
(それを言語化できる理解力が無いのが悔しいが……)

また、「貝の火」という話がとても怖かった。
悪さをしても輝き続ける貝、改心してもバチが当たる意味深さ……。説教的なお話かと思わせて、ゾッとさせる何かがある。しかしその「何か」がわからない……。
宮沢賢治という人には一体何が見えていたのだろう?

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