高架下は寂寥の香り
トースト。
私の朝ごはんは、トーストとコーヒー。気分によってメニューが追加されることもある。
昔から、パンは腹持ちが悪くて朝ごはんにはふさわしくないと思っていたし、日本人ならご飯に味噌汁だ、などと考えてもいた。しかし、ある日朝ごはんに食パンを買ったら、俄然朝が楽しみになってしまったのだ。
それ以来、私の朝ごはんの主食は絶対にトーストと決めている。
朝のしんとした空気に、香ばしい温かな空気がマーブル状に混ざってゆく。こんがり焼けたトーストにバターをひときれのばすと、バターはゆっくりと溶けて染み込んで、しあわせの匂い__トーストにバターが溶ける匂いはこの言葉以外形容できない__が部屋を満たす。
トーストの味付けは、はちみつと決まっている。
はちみつ。
それは、琥珀色にきらきらと輝くこの世で最も美しい液体。
あんなに素敵な色をしているのに着色料は使ってないんだもの。はちみつをスプーンですくうたびに、私は驚いてしまう。
はちみつをたっぷりぬったトーストは、まさに完璧。
では、いただきます。
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