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3.レンズと地球は丸い(逆光撮影での注意の話)

逆光や半逆光など、光源を被写体より後方に配置しての撮影。

逆光での撮影は被写体を自然に、かつ、いい感じに写すための定番の撮り方だ。その際に注意しなければならない、光源と画角の位置についてのお話。

(ヘッダー写真:F4 1/250s ISO1600)


「レンズは丸い」。


この言葉を聞いて、皆さんはどう思うだろうか?

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(F9 1/640s ISO200)

「レンズは丸い」と口にしたところで、天動説の最中に地動説を唱えたガリレオ・ガリレイのように奇異の目で見られることはないだろう。

ガリ・ガリ君の話はいいとして、多くの人は「レンズは丸い」という言葉に対して、こう思うのではないだろうか。

『当たり前のこと』。

そう、レンズは丸い、これは当たり前のことだ。

だが、ファインダーを覗いたとき、写真を眺めているとき。ファインダーや写真に見える四角い風景を見つめながら、「丸いレンズを使って写真を撮っている」ことを常に意識している初心者の方はそんなに多くないのではないだろうか。


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【巴御前:袴さん】(F5.6 1/200 ISO2500)逆光でふわふわさせた例。画角の左上に強いストロボを配置している。


ここで少し違う話をしよう。

太陽やストロボなど、カメラに向けられた強い光を画角ギリギリに写し込むと、上の写真のように写真全体が白っぽくふわふわしたり、後に挙げる写真のようにフレアが入ったりする。

よく、配置のコツとして、「画角に写らないギリギリに配置するのがよい」といわれる。

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【Model:ぷらるさん】(F7.1 1/200s ISO200)画角右側(モデルさんの肩のあたり)のストロボが、フレアとして入っている。


ただ、この光源の入れ方を失敗すると、全体が真っ白な写真になってしまうことがある。

強さを調整できるストロボなどの光源なら、光を弱くすることでも写り方を調整できるが、太陽だとそうはいかない。

写真全体のふわふわ感(かすみの度合い)や、フレアの調整をするために、ここで光源の位置について意識すべきポイントが2つある。

①光源の位置がレンズの中心に近づくほど全体が白っぽくなる(かすむ)

②写真は四角だがレンズは丸い

ということ。


①光源の位置がレンズの中心に近づくほど全体が白っぽくなる(かすむ)

これに関しては、感覚的に理解いただける部分があるのではないだろうか。

太陽などの強い光源を直接目で見てしまうと目に大きなダメージを受けてしまうのに対し、見るポイントを少し空の方にずらせば、そのダメージを軽減できる。

これは、「目の中心に太陽を持ってきてしまうと、光を強く捉えすぎてしまう」ためだ。

だから、目線を少し逸らせば、見えづらくても太陽の方向を向くことはできる。夕方に車を運転される方であれば、よく感じるのではないだろうか。

レンズでも同じことが起きる。光源がレンズの中心に近いほど、レンズはその光を強く捉える。強く捉えすぎると、眩しくて見えない状態(=全体が真っ白な写真)になってしまう。

そのため、光源をギリギリに写すとき、同じ光の向きと強さでも、画角と光源の位置関係により、真っ白な写真になってしまうときと、そうでないときがあるのだ。

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【燭台切光忠:舞姫神楽さん】(F2.8 1/200s ISO200)縦の画角左上ギリギリに太陽を写し込んだ例。ここから、画角が少し光源側にずれると、真っ白な写真になる。


②写真は四角だがレンズは丸い

表題のとおり、レンズは丸いので、レンズに写っている像は、丸い。

でも、ファインダーや写真は四角い。これは、カメラのセンサーが四角いので、レンズに写った丸い像から、センサーの形に合わせて切り取っているためだ。

本来写っている丸い像を、四角にトリミングしている。つまり、光源がファインダーに入っていなくても、レンズに写る像には光源が入っている可能性があるということ。

逆光で光源がギリギリにある写真を撮るとき、「ファインダーに入っていない、丸いレンズの中には何が写っているか」に注意する必要がある。

また、望遠のレンズに比べ、広角のレンズの方が、ファインダーや写真の中に入っていない範囲に光が入りやすく、フレアやかすみが入りやすくなるので、レンズに合わせても画角と光源の位置関係を調整しよう。

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(F11 1/200s ISO2500)

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(F8 1/200s ISO640)

上の2枚のように、縦写真でも横写真でも、縦写真なら写真の左右、横写真なら写真の上下というように、写真の長辺のギリギリに光源を配置することで光が強く入る。

これは短辺のギリギリに光源を配置するよりも、長辺のギリギリに配置したほうが光源をレンズの中央に近づけることができるためだ。

たとえば、横位置で画角右側のギリギリにストロボを配置して撮っているときに、縦位置に変更して同じように画角右側にストロボを配置してしまうと、写真全体が真っ白になったり、強烈なフレアが入ってしまうので気をつけよう。

最後に、逆光撮影時にはこちらに向かう光源を直視しないこと。目へのダメージに注意しよう。

ちなみに僕はストロボセッティング中に光を直視してしまい、しょっちゅうムスカ大佐している。


もぅムリ……マヂ闇……ムスカしょ……

🕶<目がぁ、目がぁ。

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