17.好きなレンズと焦点距離を語ってみる①「EF200mm F2.8L USM」
今回は趣向を変えて、普段使うレンズの好きなところを語ってみる企画。
第一弾は「EF200mm F2.8L USM」。
一言で評するなら、「主役を引き立てやすいレンズ」だ。
【ヘッダー写真・和泉守兼定&骨喰藤四郎:
なかりんさん&袴さん】
撮影協力:スタジオ縁さん
(F8 1/200s ISO800)
Canon EOS5D MarkⅢ+EF200mmF2.8L
僕はCanonのフルサイズ一眼レフカメラ(EOS5D MarkⅢ)と、純正の単焦点EFレンズだけを使用している。
紹介は少し古めのEFレンズに偏ることをご了承いただきたい。
他メーカーの方でも、焦点距離と開放F値、取り回しなどは参考になる内容かと思う。
レンズ選びの参考に、是非。
今回は望遠単焦点レンズ「EF200mmF2.8L USM」を紹介。
まず、どんなレンズかの概要紹介。
そのあと、使用感を「人物撮影」に限定して、メリットとデメリットをお伝えしていく。
1.「EF200mmF2.8L USM」はこんなレンズ
さて、今回主役の「EF200mmF2.8L USM」は、1991年発売の単焦点レンズだ。
発売は30年以上前のレンズだが、開放でなくてもボケやすく、何より望遠の単焦点レンズとしてはかなり安価に手に入るため、僕が初期から愛用している一本だ。
(販売価格9万円程度、中古なら4万円前後で手に入ることも)
カタログスペックなどの詳細は下のリンクを参照いただきたい。
いわゆる「大三元レンズ」のひとつ、70-200mmF2.8のズームレンズならば、各メーカー純正だと20〜30万円するので、それに比べればかなり手軽に入手できる、高性能な望遠単焦点レンズだ。
普段の視界に比べ、レンズからの見え方が圧縮効果などによって大きく変わるため、望遠域に慣れる、極めるための入り口としても役立つ。
ちなみに後継の「EF200mmF2.8LⅡUSM」もあるが、レンズの内部構造はほぼ同じで、レンズフード周りの構造が違うだけ。
2.人物撮影での使用感
人物撮影におけるメリット
①いわゆる「寄り(アップ)」の写真としてはもちろん、バランスよくキレイに映るので、まず間違いないレンズ。
②ロケーション撮影などで被写体さんとの距離さえ稼げる場面なら、全身写真にも使える。
ボケ味と圧縮効果によって、独特の空気感が出せるのが特徴だ。
特に、主役、前景(前ボケ)、後景(背景)の3つを考えたときに、「一直線上に情報(写したいもの)が揃っている」条件で真価を発揮するレンズだ。
③望遠レンズなので、周囲の写り込みを減らすことができ、情報が整理しやすい。
プロジェクター撮影など、背景幅が限られる場面での背景切れを防ぎやすいのもポイント。
④背景が大きく映るので、いいと思った背景の一部分を誇張できる。
たとえば紅葉の撮影を狙ったが、思ったよりも緑が多かった、などの場合。
比較的紅葉している部分をこのレンズで背景として使用すれば、その部分だけを切り抜くような形で紅葉を誇張できる。
人物撮影におけるデメリット
①望遠レンズなので、まず距離が稼げない場所、特に狭い室内などでは使いづらい。
最短撮影距離(ピントが合わせられるギリギリの距離)が1.5mなのだが、最短撮影距離周辺ではほぼパーツ撮りのような画角になる。
そのため、イメージする画角をこのレンズで作れるかどうかは、その環境、その角度でどれだけ被写体さんとの距離を取れるかによって、大きく変わってくる。
壁にめり込むような状態でようやく撮れるという場合や、隣の部屋からぶち抜いてようやく撮れる、ということが多々ある。
②手ブレ補正(IS)がないため、基本的に手持ち撮影でブレやすく、1/200sぐらいのシャッター速度が必要になる。
暗い環境の定常光撮影では使いづらいこともしばしば。
③望遠レンズであるため、圧縮効果が強く働き、前後の距離感が出にくい。
このレンズでポーズの迫力を出すためには、腕や脚、武器などをカメラ側(前後)に向けるのではなく、画面外(左右)に向ける方がいい。
④背景が一部分しか入らない
背景の一部分を誇張できるということは、裏を返せば、背景の左右への広がりは写せないということ。
前後に大きく開けた一本道や、前後に並ぶ並木などをギュッと圧縮できるので、そういう場所が使いどころだと考えよう。
⑤オートフォーカスはそんなに強くない
ボディの性能にもよるが、動体の撮影などではすぐにピントを合わせられないことも多いので要注意。
少しでもズレたところにピントが合うとボケやすいので、開放(F2.8)で撮るときは特に、要注意だ。
以上、今回は「望遠域に慣れる、極めるための入り口」としても役立つEF200mmF2.8Lを紹介した。
🔭<始めよう、望遠ライフ。
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