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二限の窓

毎日がちょっと過ぎてゆく
僕はなにをしてもなにもせず
くすぐられては少し笑うだけ

betcover!!-二限の窓

夜風が涼しいので窓を開けて外を見ている。真っ暗闇で何も見えやしない。そこに何気なく視線を置いているだけである。

4月はこんなに暑かっただろうか。四季があるとはいえども、去年の事すら思い出せないのは毎年のことである。

ともかく暑い日中だったので、このひんやりとした風が良い。そろそろ花粉の飛散もおさまってきた頃だから、やっとこうして大っぴらに外気を浴びれるのだ。ここは田舎だから、蛙らが遠くで大合唱しているのが聞こえる。春の祭典だろうか。盛りの歌にしては平静過ぎて、または球のようで、笹の擦れる音のようである。

春風は匂いもまた良い。甘いのは何でだろうか。

私はお香を焚きまくるので、無香料を嗜んでいる今日は珍しい。思えば音も、私はいつもイヤホンしっぱなしだから、何かに耳を澄ませることもいつぶりのことか分からない。

脳みそもこんなに無為自然なのは久しぶりである。いつも何かしら頭を使っている。今は本当にぼうっとしているだけだが、こんなこともしばらく忘れていた。つとめてリラクゼーション施設に行かずとも、つとめてチルを追い求めずとも、私はこれで十分だろう。

冒頭に引用したのを忘れていた。
この歌詞は別に無為自然の棒人間を指していないだろう。棒人間が口ずさむにはすこし重みが大きい。かなしくなってしまう。

今はあえて聴かないが好きなことに変わりはない。人の少ない電車に揺られながら口ずさみたい。二限だから、午前中のカーテンの揺れる白い日光だろう。じゃあなんで今書いたんだ。十二限の窓である。


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