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#俺のファサード写真 を見てくれ

ファサード。それは建築の顔。

住宅であればライフスタイルを、ショップであればその店のメッセージを表すファサードには同じものが2つとない。それを写真に撮るのが好きだ。

もちろん構図は正面一択。そもそもファサードが「正面から見た建物の外観」の意味でなのでそのまま撮るのが礼儀だ。さらに正確に言うと「洋風建築の」が付くらしいけど、和風建築もいい味を出していることが多いのでそこは限定しないのがマイルール。

今日のnoteは僕がコツコツ撮り貯めてきたマイフェイバリットファサードたちを紹介する。カメラはすべてRICOHのGR IIIを使っている。


和風のファサード「和サード」

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まずは定番の和風ファサード「和サード」である(ここでのカテゴリー分けは自分の思いつきなので決まったワードがあるわけではない)。

和サードの代表格は寿司店や和菓子店だ。年季の入った店構えが多く、商店街なんかを歩くとたくさん見つけることが出来る。

写真の寿司店は落ち着いたファサードに加え、配達用のカブの駐車位置が高得点。これならちょうど出入り口も見えてバランスがいい。提供しているビールがサッポロなのもうれしい。


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偶然だが、先ほどの寿司店の隣にも雰囲気のある和サードがある。古びたランドリーのファサード。

ここは看板のヤレた雰囲気がお見事。一朝一夕でこのアジは出てこない。またこうした年代物の看板には開店当初の鮮やかさを想像するという楽しみもある。

例えばこちらのようなランドリーならきっと清潔さをイメージ付けるためにもっと鮮やかな緑色をしていたはずだ。それがどれだけの年月をかけこうなったのか。開業当初の姿が気になるところだ。


営業が終わった店の「閉店ファサード」

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こちらはもう営業をやめてしまった店舗のファサード。「閉店ファサード」とでも名付けて区別してみたい。そのまんまだけど。

ここはたしか履き物店だったように記憶している。爽やかなひさしのカラーリングは今でも通行人の目を癒してくれる。

もしも次にここを借りる人がいるならぜひ現状を生かして使ってほしいと願うばかりだ。カフェやギャラリー、洋菓子店なんかも合いそうだと勝手に想像している。


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こちら元タバコ屋の閉店ファサード。在りし日は向かって右側の小さなスペースにおばあちゃんが座り、様々なタバコがギッシリと積まれていた。

住宅街の角地にあるこのタバコ屋に駐車場はなく、近所にはコンビニも増えてきた。そうした時代のアオリを受けたのだろうか?残念ながら閉店ファサードとなっている。

今は取り残された自動販売機だけが稼働を続けている。夜な夜なドリンクを買う人をたまに見かけるので、需要はそれなりにあるのだろう。


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え?

これは僕がこの夏に出会った、閉店ファサードの最高峰とも言える建物。いつ閉店したのかはわからないが塗装の剥げ方がハンパじゃない。アジを超えて「朽ち」のレベルまで変化が進んでいる。

ちなみにこれは富山県の海水浴場で見かけた。ミッドセンチュリーのアメリカを思わせるミントブルーと店頭に止まったキッチンカーの相性の良さ。言うことなしの閉店ファサードである。

この荒々しい変化にはやはり潮風が影響しているのだろうか?海沿いの街では車もサビつきやすいと聞く。持ち主の方は大変だろうが見ているこちらはワクワクが止まらない。



海外を思わせる「インターナショナル・ファサード」

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さて、話を現役の店舗に戻そう。

こちらは東京・青山にあるフラワーショップで、注目すべきはその看板だ。旅好きの人はピンと来ると信じているが、この色使いやフォントがどことなく海外の日系店舗を思い起こさせないだろうか?

Japan townやLittle Tokyoにあるような日系スーパーや飲食店のような。MISUZU GARDENという名前もそれっぽい。

また見方を変えればアイリッシュ系のお店も捉えられる。こんな感じのグリーンと花の装飾はアイリッシュパブなどでよく見かける気がする。

こうした異国情緒漂うファサードは「インターナショナル・ファサード」と呼びたい。ただ、これをケバブ屋台やインド料理店で探すのはありきたりすぎて自分の中ではルール違反。あくまでもまったく関係ないお店に異国の香りを見出すのが良い。

そういう意識で次からの写真を見てほしい。



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ブラジル?

この薬局の前を通りがかったとき、看板のロゴが一瞬ブラジル国旗に見えた。

ちなみに今のブラジル国旗は1889年に作られたものだという。緑はブラジルの林業と農業、黄色は鉱業を象徴している。中央の星は帝政から共和制に移行した日の夜空だといういうからロマンチックだ。「ORDEM E PROGRESSO」は「秩序と発展」の意。

一方の田辺薬局のロゴは調べても詳しいことがわからず。田辺薬局に詳しい人がいたらぜひその成り立ちを教えてほしい。

そして最後にどうでもいいことを付け加えさせてもらうと、入り口横にある「処方せん受付」の旗がゴーゴーカレーに見えて仕方ない。

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あのゴリラのイラストが脳内に浮かんでくる...



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こちらもインターナショナルファサードの例。見ての通り、クロアチアだ。

赤白チェックの四角と窓の四角。連なったパターンがリズミカル。これが板金塗装工場のファサードなのだからレベルが高い。

惜しいのは建物の前に大きな街道が走り、柱や木が立っていることだ。正直に言えば「これさえなければキレイに撮れたのに...」と思うのだけどあくまでも建築は暮らしの中にある。完璧を求めるなら映画のセットやテーマパークで撮ってくれということだ。


シャッターに描かれた「グラフィティ・ファサード」

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店舗などのシャッターにアートを描く「グラフィティ」というジャンルがある。これをファサードごと写真として切り取るのが「グラフィティ・ファサード」だ。当たり前のように言いきったけどもちろんそんな言葉はない。

正式な依頼を受けたグラフィティとただの落書きは似て非なるもので、後者の方は決して褒められたものではない。果たしてここの場合はどっちだろうか?

公益社団法人調布青年会議所。マジメな名前とは裏腹に大胆に描かれたグラフィティのミスマッチに思わずシャッターを切ってしまった。


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そしてこれが今回最後に紹介するファサード。スポーツ用品店「ワールドスポーツ」のグラフィティ・ファサードだ。

昔ながらのスポーツショップにレトロでコミカルな野球のグラフィティ。もうこれだけでグッとくるのだが、目を凝らすと描かれたシーンにさらに驚く。

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ワイルドピッチである。

ピッチャーがキャッチャーが取れないコースにボールを投げてしまうことをワイルドピッチと呼ぶが、これはキャッチャーが体に当てることも出来ないレベルの大暴投。ミットの位置も動かないままにボールは審判に当たっている。つまり相当な速球派投手の球だ。

日本野球機構の記録によると、通算でのワイルドピッチワースト3は村田兆治・石井一久・新垣渚の3人で、いずれも速球派が並ぶ。

歴代の通算暴投記録

 1.村田 兆治 148 (1968-1990年)3331.1回
2.石井 一久 115 (1992-2013年)2153.1回
3.新垣 渚    101 (2003-2016年)  1077.1回

 出典:日本野球機構

普通のワイルドピッチであればキャッチャーも反応していただろうが、速球投手の暴投には反応すら出来ない。こうした背景までを含んで描かれたグラフィティには「あっぱれ」をあげたい。



ファサード写真はとにかく簡単

今回は10枚のファサード写真を紹介しました。これの良いところはなんといってもハードルの低さで、誰でもすぐに簡単に始められます。

僕はGR IIIを使っていますがカメラはなんでもOK。スマホでも一眼レフでも、自分がそのとき持っているカメラならどれ使ってもいいんです。

構図も正面から撮るだけだから、センスや技術も必要なし。

それにわざわざ撮影しに行くこともありません。日常生活の中で気になるファサードを見つけたらただ正面にまわってシャッターを切る。それだけです。間違いなく誰にでも出来ます。

むしろ普段のスナップでは羨ましがられる都会やフォトスポットの方がファサードにとっては不利かもしれません。入れ替わりの激しい渋谷や六本木ではアジのあるファサードは見当たらないし、通行人だらけでうまく切り取るのも難しいでしょう。

気になったものをただただ撮って並べて、こうしてジャンル分けなんてしながら後から楽しみを見つけたりも出来ます。

街の数だけあるのがファサード写真。みなさんもぜひ撮ってみてください。

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