去年の今頃はお別れのカウントダウン期

3月は、卒業や異動での別れの季節。
現職は年単位での定期異動がないので、別れの季節とは無縁になってしまった。

ただ、去年の今頃、前職にいたときは定期異動のシステムがあった。
そして自分も異動対象で、2月末日に社外出向から戻るよう辞令が出ていた。

あらかじめ出向の任期は言われていたので心の準備はできていたとはいえ、寂しい気持ちは拭えなかった。最低あと1年、帰らないでいたかったな。

引継ぎ資料を作成し、後任の挨拶に同席し、周りから「もうすぐ異動だね」と声を掛けられ、ゆっくりと近づく別れの日に向け、寂しさも徐々に高まっていく。

不思議かな、寂しすぎて家で涙まで出てしまったほどだ。
在籍中は力不足気味ではあったものの、その場で自分は何ができるのか、何をしなければならないのか、人生で一番考え、実行した期間だった。

最終出社日は不思議な感覚だった。明日からはここに座っていないのか、もうこの通勤ルートは一生通らないのかと、一歩一歩地を踏みしめた。

業務面では、すでに99%のタスクは済ませていたため、若干手持無沙汰であった。

お昼休みに行っていた、お決まりの飲食店ビル。最後に選んだのは、ランチが安い洋風の定食屋さんだった。

午後はお世話になった方々に挨拶がてらお菓子を配りに行った。
そして、定時。皆さんの前で異動の挨拶を終え、退社する。
皆さんがお見送りに来てくださった(その後送別会だったから、会場で落ち合ったんだけど)。

送別会帰り、自分が一番先に電車を降りる。
運転間隔調整のため、電車が少し止まった。
気まずいながらもいよいよ最後のお別れなのだと嚙み締めた約60秒。

全て終わり帰宅したのは0時ごろだった。あの時の「任期をやり切った!」という清々しい気持ちは、一生の糧になると思った。

しかし、元会社の異動先の部署が死ぬほど合わず、元会社に戻った半年後、心身の不調で休職し、結局退職した。もともと別の部署でも部内の人との相性が全く合わなかったので、そういう社風なのだと悟ったのもある。

「復帰しても、環境が変わらないのだからまた同じ目に遭う」という恐怖で睡眠薬が必要になるほど眠れなくなり、涙が止まらなくなってしまったこと、復帰先の部署で働く意欲が微塵も湧いてこなかったため、転職を決意した。

同世代のスタッフ層や、最後まで退職を引き留めてくださった部長には罪悪感がある。

そして、色々と目をかけてくださり、元会社の異動先でも上手くやっていけるよう便宜を図ってくださった出向先の上司の方には本当に謝っても謝り切れない。退職するにあたりそれだけが心残りだったが、このままだと自分で自分を殺めてしまいそうだったので、泣く泣く転職を決意した。

今でも折に触れ、「ごめんなさい」と呟くことがある。
頭ではいけないとわかっていても、どうしても過去に執着してしまう、不便な脳みそだ。




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