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あることから、そんな質問を受けました。興味もあったのでまとめてみました。 


要約をすると・・・

金本位制が崩れ、金融のグローバル化が加速し、資金の低金利調達が可能になったので、金融だけで儲かる風潮となったってことです。まあそれでリーマンショックが起きて、これで金融の肥大化は終焉・・・にはならず未だに肥大化は続く見通しです。

========世界金融牧歌時代

●世界最初の基軸通貨は金

19世紀初頭イギリスで初めて金本位制が採用された後、西欧先進国はすべて金本位制に移行しました。各国の中央銀行は発行した紙幣と同額の金を保有、つまり交換が保証されていました。

●米ドルの基軸通貨化

第二次世界大戦末期には、世界中の富である金の80%以上がアメリカ一国に集中。それが原因で、他国が金本位制をとろうとしても金が不足しているため通貨を発行できない状態となりました。その金不足を解決するために定められたのがブレトン・ウッズ体制。金1オンスを35米ドルの固定相場とし、各国の通貨と米ドルの為替レートを一定に保つドルペッグ制。日本の場合、戦後1949年にGHQが1ドル = 360円の為替レートを設定し、1971年まで同レートが維持されてました。このブレトン・ウッズ体制の誕生で、世界の中心となる通貨は米ドルとなったのです。

======== モノ=カネの連動肥大化

●金本位制の崩壊とマネタリーベースの拡大

1971年のニクソン・ショックにより、金とドルの交換が停止。金と米ドルを介した各国通貨との価値の連鎖は完全に絶たれ、1973年から各先進国は為替相場制に移行しました。金と通貨が切り離され、通貨の量を各国の中央銀行は無限に増やせることになり、経済の拡大を容易に行うことができるようになりました。金融の肥大化の開始です。

●金融のグローバル化=プレイヤー増=マネーストック増

経済の拡大を容易に行うことができるようになったため、グローバル取引が活況に。モノの取引増はカネの取引増を意味します。先進国から民間資金を調達することが困難だった新興市場諸国も、国際資本市場に参戦。金融プレイヤーが増えることにもなりました。

●歴史的な低金利=調達低コスト

国家は主権として徴税権と通貨発行権を持っています。この通過発行権が金の裏打ちなしで発行できるようになったことになります。通貨発行権を行使し、お金を大量に刷ると、通貨の価値が目減りする通貨の希薄化=通貨安が起こります。各国での通貨流通量や通貨の需要供給にばらつきが発生、低金利化。これに目をつけたスワップ取引・裁定取引が活発化していきます。

======== マネーストックの肥大化

●資産バブルと高レバレッジ

冷戦時代が終了し、(米ソを中心に)軍事産業従事者が溢れ、その一部が金融工学を進化させ、新たな金融商品・金融手法を生み出していきます。金融工学をはじめとする先進のテクノロジーを用いて、金融部門で多額の収益を上げてきました。その稼ぎで米国は世界中からモノを買い、大幅な貿易赤字を生むことになります。一方で、中国などの新興国はもちろん、日本も米国への輸出によって経済成長を維持してきたのです。米国の過剰消費の源泉となった金融は、自由化・グローバル化・工学化という流れのなかで、経済活動の潤滑油という本来の役割を離れて、経済活動の主役となりました。

欧米の投資銀行は、ローンを小口に分割して販売する証券化ビジネスや、デリバティブ(金融派生商品)などの複雑な取引を通じて高収益を上げてきました。負債を自己資本の何十倍にも膨らませる「高レバレッジ経営」(レバレッジ=テコの原理)もそのひとつです。

●バランスシートの肥大化&貨幣経済の肥大化

レバレッジ経営の例をあげてみます。金利が4%の証券化商品(4年満期の債券)に投資をする場合、手持ちの自己資金が50億円しかなくても、金利3.8%で950億円を借り入れて(期限6カ月)、1,000億円分の投資をおこないます。50億円だけ投資した場合の年間利回りは4%ですが、1,000億円を投資して借入金の金利を差し引いた場合の年間利回りは次のようになります。

短期の借り入れを繰り返しながら金利差を抜く、いわゆる「サヤ取り」のビジネスです。

・収入:1,000億円×0.04=40億円

・支出:950億円×0.038=36.1億円

・収益:40億円-36.1億円=3.9億円 <=金融取引だけで収益確保!

・利回り:3.9億円÷50億円=7.8% <=それもモノの商売より断然儲かる!

金融機関のは貸し出す立場なので上記でいう3.9億円ではなく36.1億円儲かることになります。金融機関にとっては極めておいしいビジネスですね。ただ、このような取引をおこなうと、バランスシートの肥大化を導きます。


======== マネタリーベースでの肥大化

●バブル崩壊とレバレッジ解消

金融的なひずみが、じわじわと蓄積されてきます。

そして・・・・ついにサブプライムローン問題(2008年リーマンショック)が起きました。金融危機到来です。バブル崩壊。

これで、ついにレバレッジ解消。金融の肥大化はこれにて終焉!・・・・とはなりませんw

●景気対策=金融量的緩和始動=マネタリーベースでの肥大化

サブプライムローン問題で景気が当然悪化。

世界の中央銀行の王道の金融政策手段は金利操作が「伝統的金利政策」。これはカネの流れが順調の場合には効果を表しますが、カネの流れが滞った状態ではうまく機能しません。ではどうするか・・・・カネの供給量を増やしそれにより半強制的に流れをつくろうと考えた。これが金融量的緩和(QE)。実は各国の中央銀行の歴史においてもほとんど使われたことがない手法。

けれど、アメリカはリーマンショック直後から大規模緩和としてのQEを開始。イギリスもかなり早い時期に開始。そうなると我も我もと世界の主要国が大規模緩和を行い、金融緩和合戦とも言える状況になった。=金融の肥大化

日本は安倍政権&黒田日銀総裁になった後の2013年春から異次元緩和を開始。いまも継続中。

アメリカだけは2014年秋に量的緩和を終了していますが、最近のトランプ大統領はQEの再開をしたがっているフシがありますね。

ってことで金融の肥大化はまだまだ続いていますw

●今後・・・さらなる金融肥大化時代?!

最近、「MMT(現代貨幣理論)」という新しい経済理論が内外で話題になっています。

「自国通貨建てで政府債務を拡大させれば、物理的な生産力の上限まで経済を拡大させることができる」という考え方。もっと簡単にいうと、自国通貨をばんばん発行して政府がばんばん使っちゃえ!って論理。

暴論だ!という経済学者も多いけれど、いまじわじわと信者が増えています。

日本の某政治家もこの考え方ですね。これは、これでとても危険な香りがする金融の肥大化媚薬論。

要、注目ですねー。

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参照元:

金融の肥大化 | 園山征夫のビジネスコラム

http://www.econ.kyoto-u.ac.jp/~iwamoto/cgi-bin/wp/wp-content/uploads/2014/04/sekai201401.pdf

米国金融危機 3 | いま聞きたいQ&A | man@bowまなぼう

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