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小説家中村航のおもしろい小説の書きかた 〜 はみ出せ! 【転じて結べ】の姿勢で書こう

小説のおもしろさの3要素を、大構造である「プロット」と、小構造である「段落」に、しっかり適用することで、読むことがやめられない(おもしろい)小説ができます。

今回は、小説のおもしろさの3要素の「1.現在がおもしろい」に着目して、おもしろさをより深める「転じて結べ」についてお伝えします。

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小説は、ぜんぶ読ませたら作者の勝ち

読み終わったあと、「つまらなかった」とか「読まなきゃよかった」とか読者に思われたとしても(もちろん、そんなことを思わせてはいけませんが)、とにかく最後まで読んでもらえるということは大変なことで、それができたら作者の勝ちと言ってよいでしょう。

そのためには、話の内容も大切ですが、最後まで読ませるための工夫、文法などをしっかりと押さえないといけません。

キーワードは「はみ出せ!」

いきなりですが、下の9つの点を、すべて通るよう一筆書きで直線を引いてみてください。ただし、直線の数は4本までです。

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答えは、

下図の青い線です。ピンク色の点を黒い点の外側に打つと、わかりやすくなったのではないでしょうか? 9つの点の内側だけで考えずに、外側にはみ出すことが大切だということです。意外なところに点を打つことで、すべての点を通ることができました。

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「転じて結ぶ」で、より深い感動を演出する

この意外なところが、起承転結の「転」です。もし、下のような2つの展開があったら、どちらが気になりますか?

① A → B → C
② A → B → 愛 → C

②ですよね。「愛?」となるはずです。この例でいう「愛」が、「転」に該当します。論理的な文章、何かを説明する文章では、①で表現することができます。
しかし、より深い感動を演出するためには、②のパターン。結論の前に、いったん転じること。はみ出す発想を入れること。この「転じて結ぶ」のパターンにすると効果的です。感動の他に、理解や共感を強めることができます。

いつも心に「転じるぞ」

具体的な例。①のパターン(序論・本論・結論)では、次のようになる文章。

京の五条の糸屋の娘(序)

姉は十八、妹は十五(本)

とても美しい娘です(結)

これに「転」を入れた、②のパターン(起・承・転・結)では、次のようになります。

京の五条の糸屋の娘(起)

姉は十八、妹は十五(承)

諸国諸大名は弓矢で殺す(転)

糸屋の娘は目で殺す(結)

「諸国大名」というワードが突然出てきます。娘の話だと思っていたところに大名。この、はみ出しのインパクトで「え!?」となります。普通に書いていると、①のパターンの書き方になりがちです。そこを堪え、自分に負荷をかけて、はみ出す発想を入れることで、読者の興味を引くことができます。なので、いつも「転じるぞという姿勢」で書くようにしましょう。

また、会話文を入れることも「転」になります。説明文は、読者の脳内ではナレーションとして再生されますが、会話文は登場人物の声になります。それだけで大きな「転」の効果があります。

まとめ

漢詩や4コマ漫画は「起承転結」で終わりますが、小説のような長い文章の場合は、「起承転結転結転結転結転結――」と、転結をずっと続けていくイメージになります。

最後まで読ませるため、常に転じようという姿勢で、1ページに1個おもしろいことを入れる気持ちで書きましょう。ひとつの小説に1行でも「おおお」と思わせる文章があれば、おもしろかったと思ってもらえるはずです。


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