MRI(もっとも猟奇的ないぢめ?)

 眩暈がした。暑くてくらくらした訳じゃない。飯食ったら、立ってられないくらいぐるんぐるん頭が回り出した。普段は猫が占領してるソファーに転がる。おお、回る回る。気づけばそのまま1時間眠った。
 一晩ベッドでちゃんと寝て、とりあえず翌日は仕事に行った。けど、あったま重いぞ。まだクラッと来るぞ。やばいかなあ。で、早退して(高校生かい)、近所の脳神経外科へ。
 手広げて、歩いて、物は二重に見えない?などなど、一通りの医師の診察のあと。検査だ!おお、すぐか。来たなMRI。手ごわい相手だ。
 ずいぶん前、ヘッドホンしないで受けてひでえ目にあった。耳痛くなるんじゃないかと思って。今回は失敗せんぞ。
 看護師が、好きな音楽はとか聞いてくれる。じゃあ、洋楽で。親切極まりない。
 検査室。ベッドに寝転がって、せっまい枠ン中に頭つっこむ。なんだい、胴を拘束されたぞ。「誰の曲がいいですか」。検査の準備をしてる別の看護師に聞かれる。えっ!?いやあ…「何でもいいんですか」「アマゾンなんで」。アマゾン?プライムか、アレクサか。「じゃあ、カーペンターズで」とりあえず、無難なとこで。「では、13分ほどで終わります」
 無理やり耳元に突っ込まれたヘッドホンから、カレン・カーペンターの歌声が響く、って声ちっさ!まずい!まずいぞ。
 ほら来た。ゴウンゴウンゴウウン。ダダダダダダダアダ。頭の周りで響き渡る工事現場の解体音のごときMRIの稼働音。カレンの声なんぞ何も聞こえん。もう、こりゃ、自分で歌うしかない。
 それから、10分と少し。看護師には聞こえない程度に、イエスタデイ・ワンスモアなんぞを歌い続ける。途中、犬の遠吠えみたいな高い音が来た時は、ちょいと負けそうになったが、何とか持ちこたえ、最後の仕上げ、ベッドの小刻みな振動に身を任す。
 結果はオーライ。脱水と血圧低下で三半規管の血流が悪くなったとか。あちかったからな。血の巡りを良くする薬をもらって終了。
 これでMRI2回目。対処の方法がだんだん分かってきた。次回は、ハードロックを希望だ。ボンジョビか、ツェッペリンか。ヴァン・ヘイレンもいいかな。ちょっと楽しみかも。ホントか? 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?