〈光をあびる天然ドライフラワー〉
箱根に秋を観に出かけた。
11月も下旬を迎え、紅葉にはもう出遅れちゃったかな、とも思いながら。
この季節、紅葉と自らの休暇行動を上手に組み合わせるのは意外と難しくて、これは桜の季節と同じかな。
人生60年以上生きてきて、ドンピシャで紅葉のクライマックスに合わせた旅を実現できたことはほとんどないような気がする。
案の定、箱根の紅葉は盛りを過ぎていて、仙石原のススキにも穂先のふわふわ感はなく、一面に薄茶色の枯れススキの絨毯が敷き詰められていた。
まあ、これを残念と感じるか、これもまた美しいと感じるかはその人次第だし、訪れる人の少なさも含めてこの寂寥感がむしろいいなあとしみじみと感じたりもするわけだ。
この仙石原には「箱根湿生花園」という文字通り箱根の湿地帯を彩る季節の花が散策できる公園がある。
ふと気づいたら休園期間直前。
どうやら園内に花が咲いていないので、12月1日から3月中旬までは冬季休園期間に入るらしい。
行きたかった美術展で、滑り込みセーフ!ふう間に合ってよかったなどと胸を撫で下ろすことはよくあるのだが、この箱根湿生花園は開園はしてるけど花が咲いていない花園、なわけで。
滑り込みセーフ!!などという世界とはちと違う。
受付スタッフの方に「花は咲いていないんですけど、大丈夫ですか?」と念を押される。
ちょうど、居合わせた大人な女性たちも「どうする?花は咲いてないってよ...。」と入り口で悩んでいる様子。
でもね、いつもは700円の入園料が休園期間直前にて、今ならなんと500円。(花咲いてないですが大丈夫ですか)割引!
まるで、PayPay祭りみたいな大盤振る舞い。
われわれはたとえ700円であっても、なんの疑問もなく花が咲いていない花園に入園はしたのですが、ありがたくも500円というお得なキブンを道連れに、花がいっさい咲いていない箱根湿生花園に入園したのです。
ひゃー、花ぜんぜん咲いてないー。
うあー、紅葉終わってるー。
と、がっかりする私たちじゃーないのですよ。
お客さんがほとんどいない箱根湿生花園。
天然ドライフラワーを貸し切り見放題。
専務と二人で、カメラのレンズ越しに枯れた植物と長時間にらめっこしながら。
いいねー、いいねー、いい光だねー。
この枯れたやつ最高だねー。
逆光にキラキラと輝く枯れ木や枯れ葉がこんなにも素敵なんだと再認識。
旅するのに一番いい季節なんてないよね。
どんな旅でも発見がある。
キラっキラのドライフラワー。
ご鑑賞くださいませ。
では、また。
サポート、ありがとうございます! 撮影してきて欲しい場所などあればリクエストください。 飛んでいけるところなら、できるかぎり飛んでいきます♪