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ばね指からの帰還

くまモンいおき


15分の手術は成功した。
利き手の人差し指なので、しばらく不便な生活が続くのは想定内である。麻酔が切れると痛いのでロキソニンは必携だ。

手術室から解放された直後。スマホ撮影の余裕はあった

昨年秋、右手の人差し指を曲げるとポキポキ音がするようになった。ヤバいな、これは。朝、起きると指が曲がったまま固着し、伸ばすのが一苦労、しかも痛い。
 
実は、ばね指は4本目。過去3回手術を受け、リハビリして復活した経験があるので治る自信はあるのだが、やはり身体にメスを入れるのは勇気が要る。ばね指の根本にある腱を切開して曲げ伸ばしをスムーズにするのだ。
 
アマチュアオーケストラでコントラバスを弾いているので、仲間に3ヶ月程度の戦線離脱を告げ、自分に代わる奏者の方をアサインした。保険会社に手術予定を連絡したら、即刻給付金の申請書が届いた。こうなると、やっぱ痛いから手術はやめたぁ、と言うわけには行かない。自分で退路を断ったことに後から気付く。

不便との闘い!
 

右手が使えない生活が始まった。お箸が持てないのでラーメンもフォークとスプーンで(笑)。筆記具は持てず、パソコンもほぼ左手だけ。入力に普段の2倍時間がかかる。当然楽器は弾けず、雨だと左手は傘で塞がるため荷物はリュックだ。

フォークで味噌ラーメンの図

一番困るのがお風呂。右手に食品用のポリ袋を二重に被せて手首を輪ゴムで留め、常に指先が上を向いた状態で入浴するのだが、背中を洗うことが非常に困難なのだ。シャワーは固定しておかないと頭と顔を洗えない。身体を拭くのも一苦労だ。
 
そしてこれが一番面倒なのだが、毎日寝る前に傷口をイソジンで消毒して絆創膏と包帯を取り替える作業。4回お世話になった執刀医の先生は、3日目からは絆創膏だけでいいよ、とおっしゃるのだが、掌は汗をかきやすいため絆創膏はすぐはがれてしまう。結局は包帯で留めるしか方法はなさそうだった。

演奏会に間に合うのか!??


経過は順調で術後10日目に抜糸、本格的にリハビリが始まった。しかし!3ヶ月後にはオーケストラに復帰し、直後の演奏会に出る!と宣言してしまったので、待ったなしなのだ。毎日、積極的に件の指を動かすだけでなく、握力を戻さねばならない。
 
Amazonで軟式テニスボールを2個買って、1個は家に、1個は愛車内に置いて目に入ったら10回、1日に100回以上握ることを自分に課した。無心にボールを握っていると、これを人が見たら何やっていると思われるのかが気になるところだが、テニスはやらないものの軟式テニスボールには感謝しかない。
 

ひたすら軟式テニスボールを握り続ける日々

リハビリを続けて2ヶ月半、予定よりも半月早くオーケストラの練習に復帰することにした。まだ握力や弓のコントロールが完璧ではないのだが、こればかりは慣れないとどうしようもない。完璧ではないことを先生や周囲に伝え、できる範囲の精一杯の音。それでも暖かく迎えてくれる仲間の、おかえりなさい、の言葉に胸が熱くなる。そして、感謝しても仕切れないのは、不在の間オーケストラを支えてくれたコントラバス奏者の皆様方だ。

そして、闘いは終わらなかった


無事に演奏会は終了した。9割の出来だったと思う。久しぶりに味わう本番ステージの緊張感。達成感を噛みしめていたら、いつの間にか左手の指3本に痺れが・・・
 
おっと、これは新しい症状だ。ばね指ではない・・・もしかすると、右手が使えなかった間、左手を酷使したので悲鳴を上げたのか・・・弦を押さえる左指は楽器を弾く上では右以上に重要なのでこれは大問題だ・・・新しい闘いが始まろうとしていた。  続く

(タイトル画像は無駄にデカい筆者の楽器。写真は全て筆者撮影)


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