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今さら聞けないCSRD① ~素朴な疑問に一つひとつ答えます~

サステナビリティ界隈には、CSRD(企業サステナビリティ報告指令)を知っているのはアタリマエ、という雰囲気があります。

が、私と同じように「CSRD、なんとなーくわかってはいるけど、予備知識がない人にかみくだいて説明できるほどには理解できていない」という方々もおられるのではないでしょうか(そうだと思いたい…)。

そんな方々のために、そして何より私自身のために、初心者ならではの素朴な疑問を通じてCSRDを学ぶシリーズを始めます。今回はその1回目です。



Q:CSRDってそもそも何?ルールなの?法律なの?

A:
CSRDは「法律」です。
CSRDのDの部分=「Directive(指令)」は法律の一種であることを示しています。

【補足説明】
EUにおける法律は、第 1 次法と第 2 次法に分類されます。第 1 次法は EU を基礎付ける条約であり、第 2 次法は、条約に法的根拠を持ち、そこから派生する法です第 2 次法(以下、EU 法)には適用範囲と法的拘束力の強弱によって、以下の4つに分けられます。

①規則(Regulation)
②指令(Directive)
③決定(Decision)
④勧告・意見(Recommendation/Opinion)

参考:リサーチ・ナビ 「EU(欧州連合)-EU法について」(2023年8月7日更新)


Q:EUはなぜCSRDを定めたの?

A:
2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするというEUの目標(「欧州グリーンディール」)を実現するためです。

「欧州グリーンディール」実現のためには、民間の資本をグリーンで持続可能なプロジェクトに向ける必要がある――そう考えた欧州委員会は、 2018 年 3 月に「持続可能な成長への資金提供に関する行動計画」を発表しました。

この行動計画は3つの分野に分かれていて、CSRDは、3分野のひとつである「透明性と長期志向の促進」の具体策(アクションプラン)です。

CSRDは、グリーンで持続可能なプロジェクトに投資する投資家のために、企業(=投資対象)のサステナビリティ情報開示をより充実させることを義務付ける法律です。

出典:日本シェアホルダーサービス/三菱UFJ信託銀行資料
なおこの図には「CSDD」とありますが現在では「CSDDD」が一般的

【参考資料】
日本総研 経営コラム 2023年04月19日 佐久間瑞希
企業サステナビリティ報告指令(CSRD)・欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)の概要および日本企業に求められる対応

日本シェアホルダーサービス/三菱UFJ信託銀行 2022年9月21日
サステナブル通信 第 30 号


Q:CSRD以前にはサステナビリティ開示を義務付ける法律はなかったの?

A:
NFRD(Non-Financial Reporting Directive:非財務情報開示指令)がありました。CSRDはNFRDを改正する形で作られています。

【参考資料】日本総研 経営コラム 2023年04月19日 佐久間瑞希「企業サステナビリティ報告指令(CSRD)・欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)の概要および日本企業に求められる対応


Q:NFRDを改正しCSRDにしたのはなぜ?

A:
NFRDの枠組みでは開示企業も限定的な上に、開示企業においても情報量が不十分、あるいは信頼性や比較可能性が不十分な状況が指摘されてきたためです。

【出典】
日本公認会計士協会ホームページ 2023年3月3日
【Global Sustainability Insights】Vol.8 EU における企業サステナビリティ報告指令 (CSRD)の概要



続きはまた後日。

以上、サステナビリティ分野のnote更新1000日連続への挑戦・42日目(Day42) でした。


<補足説明>

「規則(Regulation)」と「指令(Directive)」の違いは?

A:
規則(Regulation)
は、加盟国の国内法に優先して加盟国の政府や企業、個人に直接適用されるのに対し、指令(Directive)は加盟国の政府に対して直接的な法的拘束力を及ぼします。

このため、指令(Directive)が指令が採択されると、各加盟国は、期限内に政策目標を達成するために国内立法等の措置を取ることが求められます。



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