見出し画像

その出張で出たCO2、なかったことにできますよ ~JR東海の新サービス~

サステナビリティの世界に足を踏み入れた私が、基礎知識を身に付けるために1000日連続でnoteを更新する挑戦をしています。

チャレンジ6日目(Day6)のテーマは「出張」です。

1.はじめに


日曜日だというのに仕事三昧な今日の私。noteを書く間もなく、気が付いたら夜9時になろうとしていたので、取り急ぎ、目にとまったニュースを紹介することにしました。

本日ご紹介するのはこちらのニュースです。

JR東海は新幹線を企業の脱炭素化につなげる取り組みを拡大する。東海道新幹線の車両を貸し切りで利用する企業に対し、移動時の二酸化炭素(CO2)排出を相殺して実質ゼロにするサービスをこのほど始めた。CO2排出が少ないメリットを訴え、ビジネス利用の拡大につなげる。

太陽光発電由来の排出権を利用し、新幹線移動で出たCO2を相殺したと認定する「カーボンオフセット」の手続きをする。関連するソフトウエアを開発するススティネリ(東京・渋谷)と協力し、10月にサービスを始めた。

日経電子版・2023年10月15日「JR東海、新幹線でCO2相殺サービス 移動の排出実質ゼロ」より


2.この記事のポイント

キーワードは「スコープ3」

文中には出てきませんが、この記事のキーワードは「スコープ3」だと思います。

スコープ3って何?という方のお役に立ちそうなページはこちら↓↓

国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が今年の6月にまとめた「サステナビリティ開示基準」では、取引先などを含めた二酸化炭素(CO2)の排出量を示す「スコープ3」が求められています。そして、スコープ3のカテゴリーのひとつに含まれるのが「出張」なのです。


出張など移動時のCO2排出は無視できない

さて、記事の話に戻りますと、私がこれを最初に読んだ時の正直な感想は「え?出張で排出するCO2まで考えなければいけないの?ちょっと細かすぎなのでは…?」というものだったのですが、これが意外と無視できないもののだそうです(またまた勉強になりました…)。

製造を伴わないサービス業などの場合、出張によるCO₂排出量は無視できない存在だ。例えば大手広告代理店の場合、排出量全体に占める出張による排出量の割合は5〜7割という。JTB-CWTでは金融業や情報サービス業なども、出張による排出量の割合は比較的大きいとみる。

日経ESG「出張時のCO₂、丸ごと対応 金融・サービス業に迫る“飛び恥”対策」より


鉄道事業者主体のカーボンオフセット提供は珍しい

上で紹介した記事にあるように、JTBなどの旅行会社が「鉄道利用時のCO2相殺費用をあらかじめ組み込んだ旅行商品を販売する」という形はこれまでにもあったのですが、本記事によれば「鉄道事業者主体でカーボンオフセットを提供するのは国内では珍しい」とのことです。

なぜこのような取り組みをするのでしょうか?
その理由は、競争力強化にあるようです。

JR東海によると東京―新大阪間で「のぞみ」を使った際のCO2排出は米ボーイングの大型旅客機に比べ約12分の1という。CO2相殺サービスの導入で空路からの需要獲得も狙う。

東海道新幹線の利用状況は新型コロナウイルス禍前の2018年度に比べ1割減の水準が続く。特にビジネス需要の多い平日利用の回復が足踏み状態にあり課題になっている。

日経電子版・2023年10月15日「JR東海、新幹線でCO2相殺サービス 移動の排出実質ゼロ」より

法人需要を獲得するためには、これから企業がより一層力を入れて行かなければならないカーボンオフセットに貢献することが重要、ということなのですね。


4.あわせて読みたい(発展学習)


スコープ3開示への対応は、待ったなしの状況になりつつあります。

日本ではまだ義務化されてはいませんが、企業統治助言会社のHRガバナンス・リーダーズの調べによれば、TOPIX100の3月期企業81社を対象として有価証券報告書では、調査対象企業の53%がスコープ3の目標か実績のいずれかを開示していたそうです。


このテーマ、引き続き追っていきたいと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?