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自閉症児の親のためのプログラムに参加して、すべてが変わったこと

いろいろな場所でサラッと言及していますが、うちのいちばん上の子は障害があり、特別支援校に通っています。先天性の染色体異常で、知的面でも、感情面でも、難しさがあります。

どちらかと言えば"明るさ一色"で過ごしてきたわが家。つくづく、彼が生まれたからこそ(そしてお世話があまりに大変だったからこそ)僕は転職し、いわゆる一般的なキャリア像にも、子育て像にも、家族像にも縛られることなく、こんなにも予想外の人生を歩み、すべての幸運が引き寄せられたと思うので、彼はわが家の燦然と輝く守り神です。

好きなものは、魚と歌とナチス問題。「ボヘミアンラプソディ」や「ひこうき雲」などツボな名曲を愛し熱唱する姿は、わが家の風物詩。最近はピアノと合わせる新たなたのしみも増えたので、ちょびっとご披露!(↓何とYouTubeチャンネル開設しました!)

でも、日々のレベルでは困難いっぱいで、子どもの頃から、保育園に入園を断られたり、小学校の通学に難色を示されたり。アメリカでは脊髄の手術もしたし、何事もドラマチック。一筋縄ではいきません。

家の中でも、自閉的傾向のため、今も昔も、日々トラブル続出。(彼自身のプライバシーの意味で、ふだんは彼の障害についてあまり書かないのですが、その点さえ別にすれば、障害にまつわる大変さは本来はタブーでも何でもないし、本人の責任でもないし、もっと社会の中にシェアして、みんなの理解が進んだり、共感し合えたり、サポートが得られたりするといいのにな、と感じています。今日もちょっと書くのに勇気が要りますが、シェアする意義があると信じて。)

きっと障害児のいるご家庭はそれぞれ人知れず、本当に苦しんでいるんじゃないかな…。うちも本当に本当に大変でした。小さい頃は自傷もあったし、妹や弟への乱暴もあった。待つのが苦手で、ちょっとの我慢も難しく、連日些細なことで癇癪を起こし、あらゆる平和がぶち壊し…。そんないちいちを受け止められず、こちらも怒鳴ったり叫んだり…。

冷静に考えれば反省赤面だけど…。なすすべもなかった。どうしたらいいかわからなかった。文字通り。「こんなの無理です。どうしたらいいのか、誰か教えて」って思ってました。

成長するにつれて改善した部分もあるけれど、今度は別の難しさが現れてきたりして。本を読んでも、有効とされる療法に取り組んでみても、「すべてがトラブル続き」の日々の好転は遠く。いつしか徒労感も出てきて、「もう、このまま一生、変わらないのかな…」と諦めていました。

そんな中、ここ高知で、イギリス自閉症協会が開発した3か月間のプログラム「アーリーバードプラス」が開催されると聞き、夫婦で参加したのです。半信半疑で、「これで効くなら世話はないよね…」なんて思いながら。

昨年の告知

・・・メキメキ効果が出ました。驚くほどに。自閉症の行動パターンを親がより深く理解し、対処方法を変えることで、「絶対変わらないのでは?」と思っていた彼の頑なな様子が見る見る軟化していきました。手品のよう。今さらですが、変わるべきは親だったんだなと。

もちろん、問題が「雲散霧消」ということではなく。これからも困難は一生続くと思います。でも、「方向性」がわかり、手ごたえを得られた心強さは絶大です。

3カ月のプログラム、子どものいる週末に都合をつけて、毎週のように夫婦で参加するのは至難の業でした(そのせいで今冬は疲労困憊…)。でも、その甲斐は本当にあって、文字通り「人生が変わる」と思えたほど。本来は4~9歳の自閉症のお子さん向けというこのプログラムに、もっと早く出会いたかった。

高知では「TOMOはうす」の久武夕希子さんたちが数年前にイギリスでライセンスを取得され、以来、毎年この講座を格安で実施してくださっています。参加者が少ないのが本当にもったいない。自閉症のお子さんがいる方はぜひチェックしてみてほしいです。

首都圏の「まめの木クリニック」さんも同様のプログラムを開講されているそうですよ。より広く(障害に限らず)子育てがスムーズにいかない親が上手な対処方法を学べる「ペアレントトレーニング/ペアトレの講座もあります(←麻子さんはこちらにも参加して、すごくよかったそうです)。

よく言われるとおり、「障害」(=困りごと)をつくり出しているのは、「本人」ではなく、「社会」。障害って、実は”やや強烈な個性”みたいなもので、社会が変われば、障害があっても困らなくなる。社会がバリアフリーに変わることで障害をなくしていこうって、わかっていたはずですが、社会どころか、家の中でも苦しさ満載。そんな苦しさに寄り添い、改善の道を照らしてくれるアーリーバードプラス&ペアトレ、必要とする人にもっともっと届いてほしいです。久武さんの言葉「どんなに四面楚歌、八方ふさがりに思えても、天井が開いていたりする。必ずできることがあるんですよ」をお守りにして、これからも進んでいきたいと思います。

※2023年3月15日記

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