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現在地の把握から始めるイノベーション

こんにちは、Sustainable Innovation Lab 事務局の服部可奈です。今回、レポーターとしてSustainable Innovation Labが毎月開催している勉強会「Xゼミ」の第6回の模様の一部をレポートします。

前回のXゼミでは、環境学研究者の青木さんにLCA(ライフサイクルアセスメント)に関するレクチャーをいただき、生産・消費・分解のサイクルの過程における環境負荷を定量的に見ていくことの重要性を学びました。

今回は、「共創に必要なコモンズとは?」についてNCL理事でもある武井さんには不動産業界の課題・それに対するアプローチを例に挙げながら紹介いただきました。続いて、小布施町の林志洋さん・STRIDERSの早川良太郎さんからもそれぞれ手掛ける具体的な事業内容についてお話いただきました。

イノベーションは「そもそも」を問うことから生まれる

「共創に必要なコモンズを考える」というのが今回のテーマですが、共創によるイノベーションは「そもそも今これでいいんだっけ?」「そもそも何をすべきなんだっけ?」といったそもそも論的な問いから生まれると武井さんは話します。そこに立ち戻るための4つの問いとして以下が挙げられていました。

1. 向き合っている社会課題とそのファクト
2. それに対してどんなアプローチをしているか
3. どんなサポート・リソースや提携を求めているか
4. SILにコモンズとして提供できるものは何か

これらの問いを通じて、SILがどんなものを持っているのかが浮かび上がり、偶発性が高まるのではないかとのことでした。この4つの問いのなかでも特に1〜3の視点を踏まえて、武井さんは不動産TECH協会の代表としての活動を紹介してくださいました。

1. 日本が国として不動産のまとまったデータを持っていない、新築を建てすぎている
2. 情報を扱う仲介業者であるため、DXと相性がよく、デジタル化を進める
3. 住宅総量規制がないため新築が増えるので、規制をかけるロビー活動を実施


ピッチタイムでは、原点に立ち返るための4つの問いに絡めて、それぞれの具体的な活動事例を共有いただきました。SILに参画しているメンバーがどんな活動をしているか知ることができる良い機会になりました。
続いて、それぞれのピッチの内容を紹介します。

小布施町
小布施町は、「住民が豊かに暮らし、その様子を観光客が見に来たくなるまち」を目指しています。もともと美しい景観、質の高い食と農産物、葛飾北斎を軸にまちづくりが行われてきました。

現在、取り組んでいる環境・防災を強化し、ゼロウェイスト・ゼロカーボン・レジリエンスとグリーンデスティネーションの4つを新たな軸にしたまちづくりを進めるうえでのポイントは「データの可視化」。ごみの中にある資源やCO2排出量など住民の人たちが理解しやすいようにすることに挑戦しています。

提携や連携については、サステナビリティや環境など多様なステークホルダーが関わる分野では、様々なところでローカライゼーションが必要だといいます。その際、企業側の論理だけでなく、自治体と一緒になってビジョンや戦略を考え、地域に落とし込むことが大切だと語りました。

SILに対しては、小布施町という名のスタートアップ、そして林さん個人のリソースをコモンズとして提供可能とのことです。


STRIDERS

STRIDERSは「挑戦する個人・企業を応援し、すべてのステークホルダーと感動体験を共有し、より良い世界を創造する」を企業理念に、不動産事業をメインとされつつ、物流や特許、ラーメンの製麺、女性靴の小売りなど幅広く事業を展開されています。

例えば、ホテルでは、ソーシャルな活動をされているアーティストの方に賛同し、コロナで使われなくなった宴会場をギャラリーとして利用されており、またアスリートとの共生や日本と島国をパートナーシップでつなぐ海外展開などもされていて、本当に多様で幅広いつながりをお持ちです。

ホテルをコミュニティと繋げて地域の方と交流できる場にしたり、スポーツを中心とした街づくりをしたり、今後も様々な連携を摸索されたいとのことでした。共創を目指すSILとしてはそういった連携の部分を参考にできそうです。

まず、現在地を把握することから始める

今回、イノベーションを生むためのそもそも論的な問いは、まず現状がきちんと把握できていないと考えられないものだと感じました。

今ある社会課題はどんなものなのか、それに対して今どんなことが行われているのか、そして今どういう協力を求めているのか、今提供できるコモンズは何なのか。まずは「今」どんな状況にあるかの共有から始まるのだと思います。

その上で、整理された現状に問いを投げていくと、新たな突破口が見えたり、コモンズとして認識していなかったものが実は有用だったりと、イノベーションに結びつくアイデアにつながるのかもしれません。

個人的には、SILに参画している皆さんが実現したい理想の社会像って一体どんなものなのかをもっと伺ってみたいと思います。4つの問いのうちの1つ目である「向き合っている課題とそのファクト」にも関連するかもしれませんが、自分の価値観や感情に向き合った「こうだったらいいな」と思う社会像の共有もしてみたいと感じました。

SIL導入説明会開催中

Suatainable Innovation Labでは、随時参画企業や自治体を募集しています。よろしければぜひ導入説明会にご参加ください。


この記事を書いた人
Writer:服部可奈 / SIL事務局
Editer:モリジュンヤ / 株式会社インクワイア

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