見出し画像

【サステナダイアログ#6】なんのためにイノベーションを起こしたいのか

こんにちは。Sustainable Weekの中西 優奈です。
 Sustainable Weekメンバーが毎回ゲストをお招きして、SDGsやこれからの社会について対話する企画「サステナダイアログ」。
 今回は、私と藤枝が、建山和由 氏(立命館大学理工学部教授 / EDGEプログラム統括責任者)をゲストにお招きし、お話を伺いました。

身近なテーマに落とし込んで考える

中西 今回のダイアログでは、「教育とイノベーション」を軸にお話を聞き、Sustainable Weekの今後の活動に活かしていきたいと考えています。
建山 Sustainable Weekも今年で5年目なんですね。活動への行き詰まりを感じることなどあるんですか?
中西 コロナ禍でオンラインの活動になったというところから、活動の拠点やメンバーもがらりと変わり今までの運営方法から意識して変えていかないとなとは思っています。また、社会へのSDGsの啓発を目的に活動していたので、SDGsの認知度や理解度が上がってきた中でどのように価値のある企画やプログラムを作ればいいのか悩んでいます。
建山 立命館ではRIMIX(立命館社会起業家支援プラットフォーム)という仕組みができるなど。イノベーションが起こるような環境ができていってると感じます。それはとても良いことなんですが、新しいことをやることが目的になってしまっているように感じでいます。何事においても、世の中に課題があってそれを改善するにはどうしたらいいのか考えることで新しいアイデアや取り組みが生まれることがイノベーションだと私は考えています。
 EDGEプログラム*の学生を見ていても、「これがあれば世の中が便利になるだろう」「新しく出たツールを活用したい」というアイデアがよくあります。このように、方法論から入ってしまうとうまく行かないことが多いように思います。それは、「何のためにやっているのか」という目的がはっきりしてないからだと思います。

*EDGE+Rプログラム(イノベーションアーキテクト養成プログラム)とは:イノベーションを興せる人材の輩出を目指し、学内外を問わず、新しいことに挑戦するひとを求めます。起業を目指すひと、仲間が欲しいひと、企業課題の解決をやってみたいひとなど、多様なひとが混ざる「場」として、学部の垣根を越えた多様なプログラムを用意しています。

▷EDGEプログラムについて詳しくはこちらから

建山 今の世の中、社会、地域の解決するべき課題は何かを考えた上で、それを解決するにはどうのような解決策があるのかアプローチしていく上で便利なツールや仕組みを使えばいいと思います。
藤枝 私は車椅子に乗って生活をしているので、電車やバスを利用したときにバリアフリーについて、たくさん課題があるなと感じます。バリアフリーについては、生活に密着していて身近なことなので日常的に課題を感じる回数が多いです。
 もう少し広い視野でいうと、以前ベトナムに住んでいたので、ベトナムから日本に来ている外国人労働者の問題についても関心があります。
建山 取り組みたい・関心のある課題があることはとてもいいことですね。例えば、話してくれたような外国人労働者の問題ってとても大きい課題で、漠然とトライアルしてもなかなかうまくいかないと思います。そんなときは、もう少し小さい問題に落とし込む必要があります。つまり、全体の目的を達成するための1つの要素となっているような問題に絞り込んで考え、良い結果が得られれば次のステップに進んでいけばいいと思います。
藤枝 もっと具体的にしていかないといけないということですね。
建山 その通りです。そして、考えたアイデアを実現していくためにはお金と人が必要です。どのようにしてビジネスとしてお金を集めるか、どのようにして協力してくれる人を集めるかが1つのポイントになってきて、EDGEプログラムで議論しているところです。
 達成したい大きな目的があって、それを全て取り組むのは難しいので、取り組める課題に絞り込んでいき、それを解決するために必要な手段としてビジネスや人集めや、ルールや制度などを考えていくという流れになると思います。
 そんなところで、もう少し自分が取り組めそうな課題は見つかりそうでしょうか?
藤枝 車椅子だと、電車に比べてバスに乗るのが大変だと感じます。バスだと運転手の方が車椅子の対応をしなければいけないので、自分が乗ると確実にダイアが遅れてしまったり…日常生活で考えてみても取り組むべき課題はあるなと思います。
建山 とても良いテーマだと思います。車椅子の方がバスに乗るとき運転手が一回降りて、板を設置して、車椅子を車内に固定してという流れが当たり前になっていますし、誰もが「そうしないと仕方ない」としか思ってないと思います。
そこで、「本当にそうなのか?何か改善策があるんじゃないか?」と疑問を持ち、アイデアを色んな人と議論しながら出していく、そして実現に向けて何が必要なのかとプロセスを踏んでいくことが大事なんです。

これからのSustainable Week

藤枝 建山先生はSustainable Weekの立ち上げのときから関わっていただいてたと伺いました。コロナの影響などでBKCを基盤にしていた活動から大きく変わりグローバルに展開していきたいという話もでているのですが、新しい理念がまだ定まっていないという現状です。
「これからのSustainable Week」ということで、建山先生からアドバイスなどいただけたらなと思っています。
建山 Sustainable Weekに限らず、どんな取り組みでも立ち上げた当初というのは目的が明確なので、活気があって結構盛り上がるんです。しかし、大体5年ほど経ってくるとマンネリ化してくるのです。マンネリ化してくるとやっていることが形骸化してしまい形式に沿ってやるので、なんとなく活気に欠けるということがよくあります。
 やはり、そうならないためには目的のリニューアルというのが必要だと思います。先程のお話からある、BKCから京都や大阪のキャンパス、グローバルへと活動を空間的に広げていくというのであれば、それに必要なマネジメントを考えていかなければならないですね。
 もう一つは内容で、時間的進化も必要です。コロナの話もありますし、DX(デジタルトランスフォーメーション)など社会の流れが今までに無いほど急激に変化していると感じています。その中で、Sustainable(持続可能)とは何なのか議論を重ねて取り組みを進化させていくことが必要だと思います。
藤枝 昨年度は対面での活動ができなかったということで、YouTubeでのライブ配信など時代に合わせて新しいことに挑戦してきたのですが、今年は昨年ほど対面の活動は制限されないと思うので、何か新しいことに挑戦できたらなと考えているところではあります。
建山 コロナによって、これまで見えてなかった社会の本質のようなものが見えてきたんじゃないかと思います。パンデミックのようなことが起こると、人の行動は必ず良いものばかりではないことが明らかになったと思います。このような状況の中でどのように自分自身、周りの人の行動、そして社会をマネジメントしていくのか、ということが大事になってくるんじゃないかと思っています。それもサステイナブルの1つの切り口ではないでしょうか?
これまでBKCを拠点に活動してきたのを広げていく「空間的な進化」、そして社会の流れを加味しながら活動の方向性や内容を進化させていく「時間的な進化」、この2つを意識して、「Sustainable」について議論を重ねていってほしいなと思います。

おわりに

 ダイアログの内容を抜粋してご紹介していただきましたがいかがでしたでしょうか?
 「イノベーションを起こしたい!」「新しいことをしたい!」という想いを持って、チャレンジしている学生が多い中で、目的の大切さというのを改めて感じることができるダイアログでした。
 建山先生のお話の中で、「理に順(したが)えば則(すなわ)ち裕(ゆた)かに、欲に従えば惟れ危うし。」という中国の古い言葉を紹介していただきました。
「理」というのは、「こうあるべきだ」という理念や信念、活動と通して達成したい目的であり、それがしっかりと決まっているプロジェクトはうまく行くことが多いそうです。
 Sustainable Weekでも、これまで掲げてきた「理」から、コロナ禍などの社会の変化を見据え新しく進化していかなければならないと感じました。
 「何のために活動をしているのか?」「私達が目指している持続可能な社会とは何なのか」メンバー同士で議論を重ねながら、今後も新しいことにチャレンジしていける団体でありたいと思います!

 最後までお読みいただきありがとうございました。サステナダイアログではこのようにこれまでに私たちの活動に関わってくださった方をゲストにお迎えしお話しさせていただいています。フリーアジェンダのため、ゲストによって様々なトピックで盛り上がっています。ぜひほかの回もご覧いただけますと幸いです。
以上、サステナダイアログ#6でした!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?