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【サステナダイアログ#8】学生と地域とのこれからの関わり方

 こんにちは。Sustainable Weekの中西 優奈です。
 Sustainable Weekメンバーが毎回ゲストをお招きして、SDGsやこれからの社会について対話する企画「サステナダイアログ」。
 今回は、私と関根が、宮下 聖史 氏(島根県立大学・准教授 / 2020年3月末まで立命館大学共通教育推進機構講師)をゲストにお招きし、お話を伺いました。

自己紹介

関根 APU(立命館アジア太平洋大学)2回生の関根由夏といいます。環境開発学についての勉強をしています。現在は放置竹林について興味があるので、それについて研究していきたいと思っています。

宮下 去年の4月に島根県に移住しました。2019年度まで主に立命館大学のびわこ・くさつキャンパスで仕事をしていました。専門は社会学、地域社会学という分野で地方創生や人口減少の問題について研究をしています。Sustainable Weekの皆さんとも授業であったり、課外活動で関わりがあったので今日はお声掛けいただけたのかなと思います。

学生の地域との関わり方

関根 宮下先生が立命館大学在職時に担当されていた地域参加学習入門ってどんな授業なんでしょうか?

宮下 地域に参加するのが大事だよね、と言うだけでは深みがないので地域に参加することの意味や価値を伝え、ともに考えることを大事にしてきました。「場所」「関係」「担い手」という3つの柱から授業を構成して、私の専門の社会学の知見を中心とした講義、グループワーク、そして後半は現場で活躍されている方をゲスト講師としてお招きしていました。
 ゲスト講師の方にお話いただく数回分は「地域人として生きる」というシリーズとして位置づけました。地域や社会に深い関心を寄せ、仕事や活動をしている方、学生の皆さんのモデルになりそうな「かっこいい大人」をお呼びしました。どのような方をお呼びしてきたかというと、立命館の卒業生で滋賀県の高島市に移住して農家民宿を起業されている方、近江八幡市で地域おこし協力隊を経験し任期終了後も地域づくりに関わっている方、草津で子育て支援のNPOを立ち上げ活動されている方、被災地のボランティアに熱心で廃油を集めて再利用する活動を行っているガソリンスタンドの経営者の方などです。

関根 私の「地域参加」のイメージは人口減少・過疎化している地域に密着することだけだと思っていたので、様々な方のお話が聞けるというのはとても視野が広がるなと思いました。

宮下 多様な生き方・働き方があること、あるいは地域や社会のことがらに関心を持ちながら働くことを具体的に語ってもらえることが、ゲストをお呼びする醍醐味だと思います。地域との関わり方としては、移住しない形で「関係人口」になるというやり方もありますね。

関根 私の地元はもともと埼玉県でAPUに進学したので別府に引っ越しました。別府に住み始めて半年ちょっと関わって思ったのが、地域住民の方の温かさがとても良いなと感じました。私の地元では地域のみんなで何かをするとか、学生が参加できるものがなくて、別府は学生が多いからなのか、学生が別府のまちおこしをしていたり、自治体からのバックアップや地域の方の協力体制があるのを感じました。
 その一方で、他地域から来た大学生が大学周辺の地域活性化に関わるのが、4年間で卒業してしまうという点で所詮部外者ではないかと地域との壁を感じてしまうことがあります。どのように壁をなくしたらいいか先生にアドバイスいただきたいです。

宮下 学生であれば在籍期間を過ぎれば卒業していくということは避けることができず、お互い分かっていることだとは思いますが、そうした点、見通しはなんらかのかたちで確認しておいたほうがいいですね。一般論としてですが、一度活動を始めたからといってやめてはならないということはないはずなので、突然やめて周囲に迷惑をかけることのないよう、仮に活動を閉じていく場合も、上手く閉じていくことが必要だと思います。限られた期間のなかの活動であっても、関わる人それぞれがその時関わり合うことの意味を自覚できることに活動の意味が見出せるのではないでしょうか。

関根 地域の方とのコミュニケーションと信頼関係を築くことの大事さが分かりました。宮下先生は立命館(滋賀)から島根に移住されたと聞きましたが、島根ではどのように地域の方と関わっていますか?

宮下 去年の4月に移動したので、ちょうどコロナ禍が深刻になった時でした。島根県のなかでも西部の浜田市というところですが、西部地域全体で見ても長らく人口減少に直面してきたところです。それまでは縁もゆかりもない地域でしたし、コロナ禍で地域に出ていくような雰囲気ではなかったため、オンラインのイベントに参加し、少しずつ人脈を作っていきました。
 そんななかで改めて、講演会などの機会を利用して自分から動くことで、地域とつながっていくのだなあということを実感しました。これまでに授業のゲストでは、浜田市内の刑務所で一部民間に経営を委託をしているところの所長さんに来ていただきました。これは、私の前に授業を担当されていた先生から引き継いだつながりです。また、暮らしのなかで活動することをモットーとするコミュニティナースの実践をされている方もお呼びすることができました。

関根 私もオンラインで大学生活がスタートしたので、自分から動いて人脈をつくることの大変さや対面の大切さをとても感じました。

宮下 オンラインで合うのと対面で合うのでは質がぜんぜん違いますよね。それぞれ長所があるので、それぞれのメリットを生かしていくのが今後の活動のポイントですね。できるだけ対面で活動をしたい気持ちはありますが、人によってコロナへの捉え方が異なるので難しいところです。

これからの地域参加と学生へのメッセージ

関根 先生が考える地域参加の定義とこれからの地域貢献活動にいて、学生へのメッセージと合わせて教えて下さい。

宮下 私にとって地域参加は、地域と関わり、活動する中で固有の人脈や居場所をつくり、自分の価値を高められるものだと考えています。ある講演会を聴講して、なるほどなあと感じたのですが、島根県は人口減少が顕著だったこともあり、県全体で人口が66万人ほどになっています。東京だと1300万人くらいですね。その分、東京より島根の方が地域のなかの自分の存在感は大きいということになりますね。自分にしかない人との関係性を築いていくことで、地域の中での自分の役割を実感しやすいということだと思います。そういう自分のやりがい、居場所があると感じられるということがポイントなのだろうと思います。
 学生時代の地域活動の意義として以前、群馬県で地域おこし協力隊をしていた方から聞いたお話が印象的です。その方は授業で毎週地域に出ることを続け、農家さんやいわゆる地域の長老のような方々と出会い、多様な価値観に触れるなかで、親は勤め人だったのでそれが当たり前だと思っていたところ、そうでない生き方があることを知ったと言っていました。学生時代に問題意識を深めたり人脈をつくるということで、その後のキャリアがシームレスに拓けていくことが理想ではないかと思います。

おわりに

ダイアログの内容を抜粋してご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?

地域との関わりが薄れていってると言われる世の中ですが、「地域と関わりたい」「地域活性に取り組みたい」と思っている学生は多いのではないかと思います。
そんな中で、地域にとっても学生にとっても学生が地域と関わり様々な活動をしていくことはこれから世の中にとってインパクトを生み出せる可能性を大きく秘めているのではないかと感じました。

コロナ禍の影響もあり、人との関わり方を見直されてきていますが、学生がより多様に地域と関われるような社会にしていけるよう、Sustainable Weekの取り組みの中でも地域との連携を大切にしていきたいです。

最後までお読みいただきありがとうございました。サステナダイアログではこのようにこれまでに私たちの活動に関わってくださった方をゲストにお迎えしお話しさせていただいています。フリーアジェンダのため、ゲストによって様々なトピックで盛り上がっています。ぜひほかの回もご覧いただけますと幸いです。
以上、サステナダイアログ#8でした!


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