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夏至の夜は、魔法の時間

今日、6月21日は、日本の暦では夏至の日だ。

昼間が一番長い日だ(しかも、今年の夏至は、日本時間の夕方から日食がはじまる)。

夏至は、英語で「Midsummer Day」となりそうだけれども、厳密にいうと「Summer Solstice」が本来の夏至の意味で、今年の英国の夏至は「6月20日」となっている。

夏至は、北欧や英国及びアイルランドを主としたヨーロッパの国々で、キリスト教史以前からの民間信仰の祭日でもある。太陽の光が貴重な北欧各国では、その土地つまり民間信仰の習わしによって様々な祭り(大かがり火など)を行う日が夏至だ。

一方、英国で「Midsummer Day」は、6月24日であり、この日は、洗礼者ヨハネが誕生した祝日でもある。このキリスト教で最も重要な聖人のひとりの誕生日の前夜祭が、前述の夏至とヨーロッパ文化の民間信仰の祭日とつながる。

夏至(英国では今年6月20日)と洗礼者ヨハネの祝日の前夜祭(6月23日)が近い理由は、中世ヨーロッパ文化がキリスト教に変容していく歴史と深い関係があるのだが、この話は長くなりそうなので、またの機会にする。

ただ、私は、夏至を表現するとき、なぜか「Midsummer Day」という言葉の方が好きだ。なぜなら、「夏至の夜」は、不思議な事が起こりそうだからだ。

例えば、妖精が森に集合しているとか。。

"A Midsummer Night's Dream"

そう、ウィリアム・シェイクスピアの戯曲『真夏の夜の夢』だ。

ただ、この戯曲の舞台が「夏至の夜」か「洗礼者ヨハネの祝日の前夜祭の夜」か、あるいは、どちらでもないのか、未だに論争になっていて、同戯曲の邦題を「真夏」はなく「夏」と訳す場合も最近は多いようだ。そのあたりの問題は、専門家にお任せするとして。。『真夏の夜の夢』という題名が個人的には大好きだ。

夏至の夜には、魔法の扉が開くような予感がする。そして、シェイクスピアの戯曲『真夏の夜の夢』と共に英国のグラストンベリーを思い出す。

グラストンベリーと聞いて、音楽好きの方々は、フェスを思い浮かべるだろう。奇しくも今年のフェスの開催日は6月24日~28日だった(そう、フェスの開催日の初日は、前述の洗礼者ヨハネの祝日なのだ)。

もし、グラストンベリーと聞いて、「トー(Tor)」を想像するあなたは、魔法を信じているのかな。

英国には、今でも魔女や魔術師たちがいる。その中には、アカデミックな学者もいる(私も著名な魔女をロンドンで見かけたことがある)。そして、グラストンベリーのトーは、魔法の世界では、憧れの地のひとつであり、英国屈指のパワースポットだ(画像1)。

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丘の上に建っている塔のような建物は、聖ミカエルの教会だ。教会内は、廃墟となっている。私がトーを目指して丘を登り始めた時、画像1のように晴れていたのだが、教会にたどり着くと平野の向こうでは、大雨が降っているのがわかった(画像2)。

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同じ土地にいて、こうも景色が違うのか。。この雨雲は、瞬く間に我々の頭上まで移動してきた。これだけでも、魔法の時間だったと今は思う。

そして、今年の夏至も、多くの魔女や魔術師たちがこのグラストンベリーのトーに集結しているはずだ。

今、日本にいる私にとって、グラストンベリーは、遠い思い出のひとつなのだけれども、夏至の夜だけは、トーで吹いていた風を顔に感じることが出来るような気がする。

そして、このnoteを読んでくれる皆様にも、素敵な魔法の時間が訪れることを願う。



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