西洋美術史の学ぶための入門書 〜 個人的に良くも悪くも王道は、ジャンソン

noteをはじめて6日目。本日は、西洋美術史の教材について考えてみたいと思います。まずは、米国の場合です。

米国の大学では、ほとんどの大学で美術史を学ぶことが出来ます。専門科目でなくても、一般教養科目で必ずといってよいほど「西洋美術史」の講座があります。美術を学ぶのであれば、西洋美術史を専攻する学生も含め、まず最初に学ぶのがSurvey of Art(ほかの名称もあり)です。いわゆる美術史の入門である「通史」です。また、美術史を専攻していなくても、実際に作品を制作する美大生も必須科目として美術史の通史を学ぶことが一般的です。

さて、Survey of Artに使う王道の教材が、H.W. ジャンソンとアンソニー・F. ジャンソン(父子)による美術の歴史シリーズです。日本では、同著者たちで美術出版社から大型本美術の歴史(1995年)、創元社から西洋美術の歴史(2001年)という訳本が出版されています。

私もPearsonから出版されているJanson’s History of Artを西洋美術史の教材として用いていました。本の厚さが約6cm、安くはない大型本です。そして重い。作品の制作年度や偽物が本物だったなど、美術史の世界も常に情報をアップデートする必要があり、Janson’s History of Artの最新版(2015年)は、すでに8版目です。

実は、H.W. ジャンソンは、1982年に亡くなっています。しかし、Janson’s History of Art(ジャンソンの美術史)として、今もその名前を残しているほど、美術史家の「巨匠」として米国では位置づけられています。もちろん、ほかにもローリー・アダムス(Laurie Adams )のArt Across Time も名本として美術史の教本に用いられますが、やはり厚さ6cm級の大型本です。

最近、日本では、コンパクトな西洋美術史の本が数多く出版されています。それらの本の執筆がどれだけ困難であったのか、前述のジャンソン父子の大型本を想像すると本当に尊敬します。

西洋美術史入門者の方には、わかりやすくて全体を通して理解することが出来る美術史のダイジェスト版は必要です。一方で、もし時間が許すのであれば、前述のジャンソンの西洋美術の歴史(2001年)は、厚いですが大型本ではないので目を通してみるのもありだと思います。

続きは、また。