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ARTのよもやま話

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アートというより「art」に関するよもやま話。Copyright©Susie Y. All rights reserved.
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「らしくない」作品に注目する理由

美術館や展覧会へ行くとき、あまり目玉作品に力を入れてみることはない。 天邪鬼だからかもしれない。でも、アーティストの「らしくない」作品を見つけることの方が面白いと思っている。 なぜなら、「らしくない」作品ほど、そのアーティストの本質がわかる気がするから。 先日、シカゴ美術研究所所蔵のフィンセント・ファン・ゴッホの《泣く女》(1883)を紹介した。まだ、パリもアルルの生活も経験していない、ゴッホがオランダで描いた初期の作品だ。 まず、ゴッホらしくない。これでもかと絵具を

「シンクロする睡蓮」への、アンサーノート

最近、noteで書いたクロード・モネの《睡蓮》の記事の周辺で、シンクロニシティが起きている。 また、以下の記事で、あらたなシンクロが起きた。 この記事を読んで下さったお一人、さみみのみみは何の耳?氏こと、さみみさんが「シンクロする睡蓮」という記事を書いて下さった。 嬉しいな。 私は、日本の美術館や展覧会で、ついついポストカードを買ってしまう。図録があっても、別物のような気がする。気になった作品が存在すると人生が豊かになるような気がする。得したような気になる。 その作

土星と木星が一番近づく日に思い出す作品

この作品を描いたアーティストは、誰でしょう? (答えあわせ) & シカゴ美術研究所所蔵作品

一昨日の記事の質問、「この作品を描いたアーティストは、誰でしょう?」。 この作品は、《葡萄、檸檬、洋梨、林檎》(クリエイティブ・コモンズ・ゼロ(CC0))。1887年の秋頃に制作されたと考えられている。ちなみに、米国のアートの聖地のひとつ、シカゴ美術研究所所蔵の作品だ。 では、誰が描いたのか? 答えあわせをする前に、いつも通り、ちょっと寄り道をしていこう。 まずは、お馴染みの「シカゴ美術研究所のもう一度みたい作品」のシリーズから、上記の作品と同じアーティストが描い

「印象派は、つまらない」と思っていた

印象派は、つまらない。 そう思っていた。米国で美術史という学問に出会った頃、こんなに面白い学問があったなんて!と感激したことを覚えている。その学問を突き詰めてしまい(まだ途中かもしれない)、いろいろ余計な経験をしてしまい、いつしか自分の感想を言わなくなった。 いや、作品を目の前にして主観的な意見を述べないのがプロたる者と考えていた。もちろん、それは、私が学んできた英国式の美術史の考え方なのかもしれない。 だから、「アートの聖地巡礼」で出会った作品としてnoteで記事を書

クロード・モネ 《林檎と葡萄》 〜 アートの聖地巡礼(米国)&アートのよもやま話

シカゴ美術研究所で「もう一度みたい作品」を紹介している。今日は、クロード・モネ(1840−1926)の《林檎と葡萄》(1880)(*1)。 モネの作品の中でも珍しい静物画。モネといえば「印象派的な風景画」で、彼の太陽の光、風を感じるような筆致を思い出す。この静物画の中でも、風景画でよく使われたモネらしい表現が見受けられる。果実の表面の当たる繊細な光。そして光と共に流れるようなテーブルクロスの模様。この作品からも、モネが常に注目していたのは、「光」の新しい表現方法だったと思う

この作品を描いたアーティストは、誰でしょう? (答えあわせ) & クロード・モネ 《アルジャントゥイユのアーティストの家》他 〜 アートの聖地巡礼(米国)

昨日の記事の質問、「この作品を描いたアーティストは、誰でしょう?」。 答えあわせをする前に、ちょっと寄り道をしていこう。 まずは、米国のアートの聖地のひとつ、シカゴ美術研究所で「もう一度みたい作品 〜 クロード・モネの名画たち」(勝手にタイトルをつけてみた)のシリーズから、今日の一品。 クロード・モネ(1840 -1926)、《アルジャントゥイユのアーティストの家》(1873)。タイトル内の「アーティスト」は、「画家」でもいいのかもしれないけれども..。(*1) モネ

マンガ原画も絵画でありアートだ、と少なくとも私はそう思う