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ポモドーロテクニックで集中力と健全なメンタル維持を同時に達成する方法

はじめに

僕は2011年からフリーランスのプログラマーとして働いています。その時から、自宅で仕事をしているので、リモートワーク歴9年です。

そんな僕が、いかに自宅で効率よく仕事をするかを格闘して辿り着いた、効果的なポモドーロテクニックの使い方をシェアします。ポモドーロテクニックを定着させるまでの失敗と挫折を乗り越えてきた経験が元になっています。

ポモドーロテクニックとの出会い

ポモドーロテクニックのツールとして使っていたKanbanFlowというツールの登録日を見たところ、2016年5月30日でした。その日から換算すると、4年以上ポモドーロテクニックをしていることになります。

自宅で作業をしていると、テレビやSNSなどの、仕事の集中を妨げる誘因がたくさんあります。それらを克服して、集中して仕事を行うために、やってみたことはたくさんあります。

例えば、togglという作業時間管理ツールを使い、作業時間を記録し、自分が何にどれくらい時間を使っているか把握しようとしたこともありました。これは、作業終了時にタイマーの完了ボタンを押し忘れることが頻発し、うまくいきませんでした。

色々な方法を試す中で出会ったのがポモドーロテクニックです。ポモドーロテクニックとは、大雑把にまとめると以下のような方法論です。考案者がトマトのキッチンタイマーを使って時間を計測していたことから、ポモドーロテクニックと名付けられました。ポモドーロは、イタリア語でトマトのことです。

・今日行いたいタスクを優先度順に並べる
・優先度の高いタスクから順番に着手する
・作業時間は25分+5分の休憩を1単位(1ポモドーロ)とする。
・25分の作業中は、タスク以外のことは何もしてはいけない
・4ポモドーロ目の休憩は、長めの15分とする

いくら自宅での作業で気が散ると言っても、25分であれば集中して作業を行うことができました。「25分くらいなら始めるか」と一旦仕事を始めてしまえば、動き出した後は、仕事を完了させたくなってくるので仕事を終えるまで作業を継続できます。

ポモドーロテクニックの効果を実感したので、「これはいい」と自宅での作業中はポモドーロテクニックで仕事をするようになりました。

飽き始める

いくら効果を実感したとはいえ、1、2ヶ月続けていると、飽きて、ポモドーロテクニックの実行もなーなーになってきました。結局、最初の1ポモドーロ目に取り掛かるまでに時間がかかり、1ポモドーロ目の開始が15時になったりする日も出てきました。これでは作業効率が上がりません。

1日の目標ポモドーロ数を決める

そんな時に1冊の本に出会いました。「SOFT SKILLS - ソフトウェア開発者の人生マニュアル」という本です。著者のポモドーロテクニックの使い方を取り入れたところ、ポモドーロテクニックの僕の中での役立ち度が一気に上がったのです。

本から引用します。

ポモドーロテクニックの本当の力は、作業量を見積もり、トラッキングするためのツールとして使ったときに現れる。1日に実行したポモドーロの数を数え、1日に何個のポモドーロを達成するかという目標を設定する。すると、突然、1日にどれくらい一所懸命仕事をしたか、自分の本当の能力はどれだけかを正確に測れるようになる。

早速、1日に何ポモドーロできるかを意識して仕事をしてみたところ、著者と同じく1日10ポモドーロがちょうどいい数値であることが分かりました。締め切り前などは、15、16ポモドーロできる日もありますが、すごく疲れるため継続して続けるのは困難でした。

1日10ポモドーロが自分の集中して作業できる時間だと分かると、それを限りある資源だと認識できます。10ポモドーロを1日のどの仕事に配分するか、また1週間の50ポモドーロをどう配分するかの、タスクへの優先順位付けにも活かすことができます。

1日の目標ポモドーロ数を決めることで、自分が1日に集中して仕事をできる時間が分かるようになります。そして、日々、今日はどれくらい一所懸命仕事をしたかをトラッキングできるようになります。

健全なメンタル維持

今までポモドーロテクニックは、集中力を維持し、生産性を向上させるためのテクニックだと認識していましたが、健全なメンタル維持にも役立つと本で読んだ時には、目から鱗が落ちました。そして、今では生産性向上よりも、健全なメンタル維持の方が、自分がポモドーロテクニックをする理由として大きくなっています。

フリーランスだと労働時間の制限はなく、さらに自宅で働いているといつでも仕事ができてしまいます。そして、生産性を上げることを追求していると、遊びや休憩時間に「もっと多くの仕事をできたはずなのに」という罪悪感を感じてしまい、リラックスできなくなるという問題がありました。仕事の時間が終わった後、漫画やYoutubeを見ている時、自分で仕事終わりの休憩時間と設定しているのにも関わらず、内心で「本当はもっと仕事をしなきゃいけないのに」や「この時間も仕事を進めたら、もっと仕事が早く終わるのに」と感じてしまった事はないでしょうか。僕は薄々感じつつも、休んでいいんだと無視しつつ、心の中に少しモヤモヤしたものが残っている状態でした。

この問題の厄介なところは、仕事を十分にしていても、していなくても、どちらの場合でも感じてしまうことです。

大学の先輩の有安さんは、それを「生産性の呪い」と命名してました。有安さんや元のtweetをしている方は、仕事をし過ぎてしまうパターンです。

僕の場合はどちらかと言うと怠けてしまうパターンなのですが。。例えば、締め切り前の最大パフォーマンスを発揮できた時を思い浮かべて、それに比べて今は全然パフォーマンスが出てない、いつも最大パフォーマンスが出せれば、どんなにか仕事が進むだろうか、もっとやらなければならないと、日々、焦燥感に駆られていました。

自分の生産性にこだわるほど、日々、罪悪感に苛まれてしまう悪循環です。

この問題の原因を著者はこう言っています。

この問題は、1日にどれくらいの仕事を終わらせたかが正確に評価できず、どれくらいの仕事を達成すべきかについての明確な目標を持てないことによって生まれている。

普段、どれだけ仕事をこなせたかについて、仕事の進捗状況で判断していないでしょうか。

1日に完了させるべきタスクを設定して、それが完了できたかどうかで、今日1日分の仕事ができたかを判断してないでしょうか。僕も昔はそうしていました。そして、それが達成できなかった時、敗北感と自分の無能さを感じていました。これでは気分が落ち込んでいくばかりです。

逆に1日に完了させるべきタスクを少なくして、毎日達成できるようにすればいいのでしょうか。それも喜ばしいことではないでしょう。

ここで発想の転換が必要です。

1日どれだけ仕事をこなせたかについてを、達成したポモドーロ数で判断するのです。

1日10ポモドーロの目標を立て、10ポモドーロ分の時間を集中して仕事をできたら、1日分の仕事をこなしたと満足するのは何ら間違ったことではないでしょう。

タスクを終えるまでの時間を正確に見積もるのは難しいため、作業の進捗状況は、見積もりと必ずズレが生じてしまいます。確実に自分で設定できるのは、各タスクにどれだけの時間を割り当てるかだけです。1日の作業目標である10ポモドーロを、各タスクに割り振るのです。1タスクにかかるポモドーロ数は見積もりよりずれることはあると思いますが、その日に合計で10ポモドーロしたという事実は残ります。仕事の進捗状況ではなく、自分が集中して作業した時間から、今日も1日仕事をしたという充実感を得ることができます。

この考え方に変えたところ、落ち込むことが少なくなり、自己肯定感も上がったように思います。きちんと目標ポモドーロ数を達成していれば、自分は十分に仕事をしているという感覚を持てるので、休憩や遊んでいる時に罪悪感を感じることもなくなりました。そして、ポモドーロテクニックが仕事のお供として、今や手放せなくなっています。

それでも10ポモドーロできない日がある

1日10ポモドーロというと、25分x10なので、250分で、4時間10分です。休憩の時間を入れても、5時間20分です。1日8時間働いているのだから、1日16ポモドーロくらいやらないといけないのではと、あなたは思うかもしれません。僕もポモドーロテクニックを始める前まではそう思ってました。

僕の経験上、1日16ポモドーロや20ポモドーロ近いポモドーロをするときは、仕事の締め切りが近く、休憩もすっ飛ばし、がむしゃらに仕事をした時です。1日16ポモドーロ以上やると、疲れが翌日に残ってしまい、毎日継続することは難しいです。

僕にとっては1日10ポモドーロが、毎日やっても疲れが残らず、仕事をした達成感も得られるちょうど良い数字でした。

なので、1日10ポモドーロを毎日淡々と継続できるのが一番いいのですが、それがなかなか難しいのです。

というのも、仕事の締め切りが迫っているときは、仕事をやらないとまずいので10ポモドーロはすぐに達成できるのですが、仕事の締め切りが遠いときは、まだ余裕があるので、つい色々なことに気が散ってしまい、10ポモドーロの達成ができない日がありました。そんな日には、前述のように、締め切り前の作業スピードで仕事ができたら、もっと仕事がこなせるのになと罪悪感を感じていました。よく考えると、締め切り前の作業スピードは、オーバーペースなので、毎日こなせる訳はないのですが。。

毎日継続するための秘策

そんな時に、ある記事を目にしました。

「運動報告部」というLINEグループを作ったら1年運動が続いた話
https://www.buzzfeed.com/jp/hikaruyoza/line-de-undou

仕組みとしては、複数人でLINEグループを作り、運動をしたら報告をし、報告があったら、他のメンバーは「えらい」と返すだけです。そうすると、

1. 運動後に褒めてもらえると最高の気分になる
2. 誰かがやっていると自分もやる気になる

といういい効果があるので、運動を続けることができるという話です。

この仕組みを応用し、ポモドーロテクニック報告部みたいなものを作れば、毎日10ポモドーロできるんじゃないかと思い至りました!こういうサービスがあったら、僕が使いたいし、使いたい人も多いんじゃないか、いっちょ開発してみようかと思い至ります。

本当にニーズがあるのか

必要な機能を考え、サービス設計を行い、使うべき技術を選定し、そろそろ開発を開始しようかなと思っていたところ、あるサービスを目にします。

みんチャレ - みんなと続ける習慣化アプリ
https://minchalle.com/

これを使えば、ポモドーロテクニックの運動報告部みたいなことができるのではと考えました。サービスを作って誰にも使ってもらえなかったら寂しいので、「みんチャレ」で、ポモドーロテクニックの結果を毎日報告するグループを作り、本当にニーズがあるのかを確かめてみることにしました。

「みんチャレ」でのポモドーロテクニック報告部の仕組みはこうです。

1. 平日に10ポモドーロ以上することを目標としたチームを作成し、チームメンバーを募集します。チームは5人までです。
2. ポモドーロテクニックを行い、1日の終わりに、今日何ポモドーロ行ったかの証拠写真を撮影し、それをアップロードします
3. 他のメンバーは、アップロードされた写真を見て、OKボタンを押します。そうすると、そのチャレンジが承認されます。
4. チャットやスタンプがあるので、お互いに励ましあいながら、活動することができます。

チームを作って、募集したところ、1日、2日くらいで僕以外の4名のメンバーが集まったと思います。1名、2名くらいはメンバーの入れ替わりがありましたが、2018年6月10日に開始して、今までずっと継続しています。こんなに続くとは、初めた当初は全く想定しておらず、びっくりしているのと同時に、試した人の母数は少ないですが、やっぱりニーズはあるんだなと思えました。

これをやって実感しましたが、他のメンバーがしっかりとやっているのを目の当たりにすると、「自分もやらないとな」とやる気が出てきます。「みんチャレ」に報告するために、早く仕事に取り掛からなきゃと思えます。

僕は1日10ポモドーロが適性だと思っていましたが、他のメンバーの中には毎日12から16ポモドーロくらい行っている人もいて、本当に尊敬の気持ちしかないです。

「みんチャレ」のおかげで、日中に特別な用事がなければ、10ポモドーロ達成するのは苦もなくできるようになりました。

「みんチャレ」は、早起きやダイエットなど、一人で行うと挫折してしまいがちなことを習慣化するのにとても役立つサービスです。もし習慣化に関する悩みを抱えていたら、使ってみると良いと思います。

WEBアプリを作りました

そして、肝心な自作サービスですが、2020年の5月から本格的に開発を開始しました。フリーランスの仕事がフルで入っていると、どうしても仕事を優先してしまい開発が進まなかったので、一部の仕事を減らして開発を進めることにしました。それでも、フリーランスのお仕事と並行で開発を進めることになるので、進みは遅くなりましたが、ついにポモドーロテクニック報告部を実現するWEBアプリをリリースすることができました!

各メンバーのポモドーロテクニックの状況をリアルタイムで共有でき、メンバー同士で励まし合うことができるWEBアプリです。上記で書いた僕の経験をサービス開発に活かしています。

オンライン・コワーキングスペース - Sushi Work
https://sushiwork.com

みんなでオンラインの同じスペースに集まって作業をするので、オンライン・コワーキングスペースと表現してみました。また、1ポモドーロ達成すると、寿司職人に一貫の寿司を握ってもらえるなど、少し楽しい要素を追加しています。

自分の知り合いに登録してもらい、一緒にポモドーロテクニックをやってみましたが、他の人がきちんとポモドーロを達成していくのを見ると自分もやらねばという気持ちになれます。また、自分の達成したポモドーロに「いいね」がもらえるとちょっぴり嬉しいです。

利用方法

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1.  寿司屋の大将に何貫食べるかを伝えます。25分間作業をすると、1貫の寿司を握ってもらえます。何貫食べるかが、その日の作業時間の目標となります。

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2. 寿司屋の大将に何貫食べるかを伝えた後、自動的に寿司屋(コワーキングスペース)の画面に移動します。1つのスペースにつき、最大5人までのメンバーが自動的にマッチングされます。

3. 25分間のタイマーがセットされているので、タイマーを開始します。25分間集中して仕事を進めます。

4. 25分経過すると、タイマーの音が鳴るので、作業を終了し、タイマーを止めます。作業終了後、大将が寿司を握ってくれます。その後、5分間の休憩をします。

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5. 25分間のセッションを4回繰り返した後には、15分間の長い休憩がセットされます。

6. タイムラインの寿司完食ログ(=ポモドーロ達成ログ)にいいねを押すことができます。

7. メンバー全員が目標達成すると、大将が特別な寿司を握ってくれるかも!

8. 寿司屋(コワーキングスペース)は、朝4時までが滞在期限となります。翌日は、再度、1日の目標設定から始まります。

最後に

Sushi Workには、統計機能や、コミュニティー機能、多言語化などまだまだやりたいことがたくさんあります。より良いサービスにして、リモートワーカーに欠かせないサービスにしていきたいと思っています。

無料で使えて、ポモドーロテクニックの継続的な目標達成のお供になるサービスなので、ぜひ使ってみてもらえると嬉しいです。

現状ではスマートフォンのブラウザでは通知が機能しないので、PCのブラウザ(Chrome、Firefox、Safari、Edge)を使うことを推奨しています。

色々フィードバックなどいただけると嬉しいです。

オンライン・コワーキングスペース - Sushi Work
https://sushiwork.com

Sushi Workをご利用いただくことが開発の励みになります。ぜひ一度利用してみてください!