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父親に言われて響いた言葉

10年以上前、私がセンター試験を受けた直後の話です。

センター試験を受けた後、自己採点をして、志望大学を決めなくてはならなかった。
自己採点の結果、元々志望していた大学を志願できるような点数ではなかったので、「浪人したい」と親に申し出た。

2つ年上の兄が既に浪人していたので、浪人の希望が却下されるとは思っていなかった。

しかし、父は私に対して「ダメだ」と言った。
私はその回答に驚いた。そして、ダメな理由を尋ねてみると「今の自分が本当の自分ではないと思うな」と言われた。

当時、すぐに納得したのか、しばらく経ってから納得したのかは定かではない。
しかし、最終的にはとても腑に落ちた言葉だった。

当時の私は、今の自分が本当の自分じゃないと思っていた。
理想の自分が「本当の自分」で、今の自分はまだ自分なんかじゃないと思っていた。私の浪人希望はそういった考えから出たものだった。

高校生になってから、父親と言葉を交わす機会はほとんどなかったが、父親は、私が「自分から目を背けている」ことを見抜いていたんだと思う。

結局浪人はせずに、合格可能な大学を受験し、無事合格した。
それからは、「今の自分」を受け入れて物事に取り組めるようになった。
地に足をつけて生きられるような感覚になった。

もし、父がその時にその言葉をかけてくれなかったら、理想の自分を追い求め続け、チグハグな人生を送っていたような気がする。


余談だが、私は「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組が大好きだった。
特に、イチロー選手と本田圭佑選手の回はDVDに録画して何度も見返すくらい好きだ。

耳なじみがある方も多いと思うが、この番組の主題歌である「Progress」のサビの歌詞は次のようなものだ。

ずっと探していた 理想の自分ってもうちょっとカッコよかったけれど
ぼくが歩いてきた 日々と道のりをほんとは"ジブン"っていうらしい

Progress、スガシカオ

「今の自分が本当の自分じゃないなんて思うな」と言われる前から、この曲は何度も聴いていたはずだけど、当時はあまり歌詞の意味について考えることはなかった。

今では、この歌詞がすごく響くし、とても共感できる。

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