殴り書きのショート 水色の亡霊

夏に実家に帰ったのは久しぶりだ。
車で1時間の距離だし、よく母の様子を見に帰ってるはずだけども、この海岸をゆっくりと眺めるのはいつぶりだろう。
懐かしい匂いがした。
学生のときの思い出が走馬灯のように蘇っては波にかき消されていた。

その時だった。

ブルオーシャンの中にも一際目立つ水色の物体が泳いでいたような。

肌の露出具合がかなりおかしい。

しかも海で泳ぐのに水泳のゴーグルしてるのなんてそうはいない。

一瞬我が目を疑い、歳をとることの怖さを感じたのだけども、また水色の物体が浮かんできたのだ。

しかも背泳ぎしてる…

水色の物体に恐怖を覚えた。

でもまた見たい衝動に駆られる自分がいる。

その刹那、あの水色の物体が海岸近くで立ち上がったのだ。
レオタードだ…
言葉を失った。

「good luck❗️」

そう言って、レオタード野郎はお尻をフリフリしながら、また海に消えていった。

この夏の一瞬の出来事に私の心は揺さぶられたのだった。

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