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1.海外進出の目的を確認する

今回は、社長や役員が考えた海外進出の目的を再度明確に定義づけの方法を。できれば紙に書いて、「この前と言ってること違いますよ!」と軌道修正できるようにするためでもあります。

海外進出の目的は、①販路の拡大、②コスト削減、③販路の拡大&コスト削減、④重要資源の獲得の4つに分けられます。一部大企業の場合、財務的効率化を狙った海外展開もありますが、このNoteの対象は中小零細企業を対象にしているので、これは省きます。もちろん、最初の動機が「ライバル企業がベトナムに進出したから弊社も!」という事もあると思います。これを否定はしませんが、手段である「海外進出」が目的になってしまっては本末転倒・何もうまく進みません。社内で良く確認・コンセンサスを取り、何のために海外進出をするのか今一度再考しましょう。ここで1週間かかっても何にも問題ありません。簡単には海外に会社を作れませんから。

①販路の拡大
売り先を拡大させるために、海外進出をするものです。機械製造関連であれば、供給先の海外移転に伴う進出や、これまで輸出対応をしていたものを現地生産に切り替えるなどがこれにあたります。小売りや食品製造であれば、進出先の胃袋をつかむことを目的にされるでしょう。
2000年代半ばまでは欧米を販路先としてとらえ、これらの国々に進出する小売りや食品製造企業も多くありました。

②コスト削減
国内の製造コストが高い、製造にかかわる人材が雇用出来ないなど日本での製造が困難になった場合に進出するケースです。単に人件費が安いだけでなく、必要な部材の調達が可能か・高くないか等の調査も必要になってきます。どちらかというと製造コストの安い国で製造し、日本に輸入するモデルが多いかと思います。気を付けないといけないのは、今は人件費が安くても将来的に上がっていく可能性が高い点です。ここをどのように予想するか・事業計画に入れ込むかが大事なポイントになります。
製造業の2000年代 中国進出、2010年代 東南アジア進出はコスト削減を目的にした進出も多く見受けられました。

③販路の拡大&コストの削減
 2010年代後半の製造業の進出は、販路とコスト削減両面から進出をしているケースが多く見られます。東南アジア市場を目指したところ、現地で製造をする方が良いので製造・販売を行う等はこの典型例でしょう。

④重要資源の獲得
国内で獲得できない資源で、海外には豊富にある場合などが考えられます。例えば、木材や農産物、鉱物資源など国内での製造が適さないもので、海外であれば収穫しやすい場合などがこれに該当します。農業経営はかなりの投資額にもなり、中小零細企業の場合ですと輸入のみで対応されるケースもあります。

冒頭で触れた、「ライバル企業がベトナムに進出したから弊社も!」をうのみにしてしまうと、上記目的がぼやけてしまいます。目的が異なると、実行する内容は全く変わってくるので経営陣のやりたい事と準備していた事が乖離して目の当てられない事になってしまいかねません。
経営陣のやりたいのは、上記目的のうちどれが該当するでしょうか? ライバル企業の進出目的を詳しく確認するためにも、今一度新聞記事やプレスリリースを読んでみるのも一つかもしれません。

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