見出し画像

2.どの国に進出するか検討する

2-1.市場の話
「1.海外進出の目的を確認する」から目的が決まったら、次は進出するべき国を特定していく必要があります。最初から進出先国が決まっているケース(例えば既存顧客について進出する)の場合には、この項目はスキップしてください。
(参考)1.海外進出の目的を確認する

A. 大まかに地域を絞り込む
「日系企業が全く進出していない国がブルーオーシャンだ」とか、「昨日テレビで〇〇国が有望と取り上げていた」といった、フワッとした理由で国を決めるのは得策ではありません。そんな人いるの?と思われるかもしれませんが、海外進出支援をしていると週に1度ぐらい、こんな相談を受けました。
 まずは避けた方が良い国・地域を上げるのも一つかもしれません。どの中小企業にも例外なく言えることは、日系企業がほとんど進出していない国は訳アリということです。先進国以外の国々では、法制度が整っておらず日本企業が判断に困る・手続きが進まなくて困る・賄賂を要求される・税金がいくらか分からないなどが発生します。
例えば今後記載をする外資規制(外国企業は進出先国の企業と同様に事業運営は出来ないことを定めた法律)でも、ある一つの役所ではOKでも、もう一つの役所ではダメなどもざらにあります。法律が固まっていない中で事業を進めるには、現地の法律家等を経由して都度都度、現地政府に確認をする必要があるので物事が遅々としてすすみません。また、人口があまりにもいない、経済危機が訪れている等は成功する確率の低い国・地域になるのでまずは候補から除外しても良いでしょう。
 もちろん、野心的で成功の可能性が高い事業の場合は、リスクをとって日系企業が進出していない国々もターゲットにされるのも良いでしょう。ただ、一般的な部品メーカーや食品メーカーには少しリスクが高すぎるかもしれません。

B.候補になる国をいくつか挙げる
 闇雲に全世界の国々を調査するのは非効率です。恐らく経営陣の頭の中には進出したい地域がおぼろげながらにもあるかもしれません。具体的な国が無くても、ある程度は候補国の絞り込みが欠かせません。

 候補国の絞り込み方は、①想定される市場が大きいか、②国内の取引先が進出している国か、③日本企業が多く進出している国か、④ライバル企業が多く進出している国か が簡易的な方法です。

①市場規模を調べるには、現在の人口・将来の人口・労働人口、一人当たりGDPなどが参考になる。
経済的データはIMFのWorld Economic Outlook Databaseを参考にするのが一番確実です

WEOトップ

World Economic Outlook Databaseの最も新しいデータ(ここではOctober 2019)をクリック。

画像2

By Countriesをクリック(国ごとに検索することが可能です)

画像3

All countriesをクリック

画像4

調べたい国・地域をにㇾ点を入れ、Continueをクリック

画像5

調査をしたい項目を選ぶ。個人的には以下のような経済的な基礎情報は最低限チェックするべきと考えます。
・ Gross domestic product per capita, current prices(一人当たりGDP)
・ Population(人口)
・ Inflation, average consumer prices (インフレ率)

画像6

出力するデータの形式を選びます。ほしいデータの対象年度以外はあまり考えなくてもよいと思います。Prepare Reportを押すと、データが出てきます。

画像7

Your WEO Repotをクリックすると、調べたデータを入手できます。

このほか、

②国内の取引先が進出している国か
③日本企業が多く進出している国か
④ライバル企業が多く進出している国か
の内、進出している企業の数を調べるには以下の方法があります。

▼外務省 海外在留邦人数調査統計(統計表一覧 Excel1)

外務省が毎年調査し、日系企業が進出する国Top50が分かるものです。

▼経済産業省 海外事業活動基本調査

詳細版の「参考表 (参考)国・地域別現地法人企業数(詳細版)」に各国別の進出している日系企業数があります。また、その他のエクセルファイルにも全ての国ではないが日系企業の売上高推移などもあるので、全体の傾向を把握するには最適。

②~④の内、個別の進出企業の調べ方は以下の方法があります。
 ・東洋経済新報社の海外進出企業総覧から調査する
多くの進出日系企業の情報が網羅されている、毎年更新される書籍です。購入することも可能ですが、図書館に所蔵されている事もあります。

・業界団体のリストから調査する
業界団体によっては毎年、海外に進出している企業の情報を纏めているケースがあります。企業の属している業界団体にもヒアリングをされるのは一つの方法です。

まずは上記のデータを基に候補になりそうな国を一覧表にするのがよいでしょう。情報をどんどん追加しますので、エクセルで以下の様なイメージで作ります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?