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『mid90s』ジョナ・ヒル

4連休の最後は蘇我まで足を伸ばして『mid90s 』を観に行きました。

ロードムービー調の画面はどこを切りとっても美しくて「これこそ90s生まれ、僕らの憧憬だ」と思う。


幼かった僕がロサンゼルスで見つけたスケートボードと青春。
岸政彦は『断片的なものの社会学』で「どこに窓があるのか分からない」と表したけれど、スティーヴィーにとってはスケートボードが窓だったということになるんだろうか。
窓を見つけてしまった私とまだ見つけられていないあなたがすれ違う。

特に切ないのは兄イアンとの関係で、スティーヴィーは少し早く兄より窓が開いてしまった。
それだけのことなのに、ちょっと怖くて憧れだった兄がただの青年だと気がついてしまう。エディプスコンプレックスを一段飛ばして駆け上がってしまった少年の悲劇。
急速に色づいていく新しい世界と色褪せていく元の世界のギャップに痛みを感じながら、少年も家族も変わっていく。
そんな切なさがイアンとの関係に凝縮されていました。
彼にも窓が開かれることを祈る。

そして、この作品に流れるフィーリングは「あなたにはあなたの地獄があるし、私には私の地獄がある。」
このことに気がつくだけでお互いずいぶん幸せに生きていけるじゃないだろうか。



余談だけれど、ルーカスヘッジズ演じるイアンのスタイリングがまさに理想のティーン。
そこはかとなくゴーシャラブチンスキーの匂いがするんだよなぁ。

ビジュアルでいえば、フォースグレード役のライダー・マクラフリンに青年期の美しさが詰まっていたと思う。これが長編デビュー作らしく今後の活躍が楽しみ。

こんなシャープな青年時代を過ごしたかったー!

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