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タイタニック~命をかける~


前回の記事から派生して今回はタイタニックについて書いていこうと思います。

1997年公開、ジェームズ・キャメロン監督の代表作。同監督のアバターに抜かれるまで映画史上最高の世界興行収入を記録していた世界で最も有名な映画の一つでしょう。

ちなみに日本では「千と千尋の神隠し」に抜かれるまで日本歴代興行収入第1位でした。(その後第2位の地位をキープしていましたが、今回鬼滅の刃についに抜かれましたね!)

アカデミー賞でも合計11部門の受賞、セリーヌ・ディオンによる主題歌「My heart will go on」も大ヒットしました。


あらすじ

1996年、トレジャーハンターのブロックは84年前に沈没した豪華客船タイタニックとともに沈んだ「碧洋のハート」というダイヤモンドを探していた。

小型潜水艦によって船内の探索を進める中で一等客室の金庫を回収することに成功。胸を高ぶらせながら金庫を開けると中にダイヤはなく、代わりに一枚の女性のヌード画が現れる。しかしその絵の女性には「碧洋のハート」が身につけられていたのだ。

この出来事がニュースに放送された後、ブロックの元に一本の連絡が入る。相手は高齢の老女。なんとその老女は沈没事故から生還したあの絵のモデルの女性本人だというのだ。

ブロックは「碧洋のハート」の情報を知りたいと思い、ローズという老女を自分の調査船に招く。そこで当時17歳のローズは上流身分の令嬢で、政略的に結ばれた婚約に苦しみながら乗船していたことを知る。そしてローズから語られたのはタイタニック沈没の出来事とその船で出会った一人の青年画家との運命的な出会いだった、、、。

物語に登場する実在の人物たち 

この記事ではディカプリオが演じたジャック、ケイト・ウィンスレットが演じたローズではなく、ウォレス・ハートリーという人物にスポットを当てます。

この映画に出てくる人物は船長や乗船員、一等客室に泊まる上流身分たちの人たちと実在の人たちも多いです。実はエキストラのように描かれているデッキの上で駒を回しているただの親子もタイタニックの中で当時撮影された写真から切り取った実在の人物なのです。

さて、ウォレス・ハートリーがどんな人物か皆さんは分かりますか?

正解はタイタニック沈没中パニックになる乗客を落ち着かせるために最後まで演奏をしていた楽団のリーダーであるバイオリン奏者です。

僕はタイタニックに出てくる登場人物の中でこの人に最も魅力を感じました。

ウォレス・ハートリー

イングランド ランカシャー地方のコルンで生まれたハートリーは客船に音楽家を派遣していた会社に勤めていました。

タイタニックもその派遣先の一環だったそうですが、当時婚約したばかりのフィアンセがおり一時乗船を躊躇したものの将来の仕事や成功の脚掛けになるとこの仕事を受諾したそうです。

タイタニックで演奏したバイオリンもこのフィアンセからの贈り物で、彼女からの刻印がされていたそうです。

彼も沈没事故で亡くなり、バイオリンは遺体にしっかりと結びつけられた状態で共に見つかったそうです。このバイオリンは2013年にタイタニック関連品としては最高額の90万ポンド(約1億4200万円)で落札されたそうです。

彼の葬式には1000人が出席し、40000人もの人々が葬列を見送ったそうです。生まれ故郷には彼が愛したバイオリンが彫られた慰霊碑が建てられたそうです。

命を懸けて自分のできることを全うする

タイタニックを観たことがある人は分かると思いますが、このハートリーを含めた船内バンドマンたちは最後の最後まで演奏をし続けます。実際にも彼らの演奏をし続ける姿の証言も残っています。

映画内では、「(パニックで)誰も聞いていないよ」と言うメンバーに「レストランで演奏していた時もそうだったさ。演奏しよう。体も温まる。」と促すハートリーの姿が描かれます。

でも乗客を落ち着かせるために演奏をしていた勇姿を見ていた人はいたのですね。

いよいよ船体が持ちこたえるのもあと少しというところで、ハートリーもいよいよ「君たちと演奏できて光栄だった。幸運を祈る。」と終演を告げます。

方々に散らばりゆくメンバーを見届けた後、一人で演奏を再開するハートリー。それを見て再び集まるメンバー。僕が最も好きなシーンです。

最後の演奏に合わせ、様々な乗客の様子が映し出されます。ベッドの上で抱き合う老夫婦、子供に眠る前の物語を聞かせる母親、寂しく船内に残る設計者、、、。寂しくそして切なく奏でられる演奏に乗せて多くの命の最後の愛が描かれるシーンです。

バンドマンたちは船員としてではなく二等客室乗客として乗船していたそうで、その気になれば助かる可能性は大いにあったはずなのです。

特にハートリーは婚約したばかりのフィアンセがいて、きっとその選択をしても責める人はいなかったでしょう。

それでも彼は音楽家として生きること、死ぬことを選んだ。僕はまさに命を懸けたその選択に強く心を打たれました。

自分の生死を選ぶ最期の時に、他人のためにそして自分の誇りのための道を選んだハートリーやバンドメンバーたちは偉大な音楽家だったのだと感じます。

タイタニックには他にも自分の使命を全うして召された人たちがたくさんいます。その人たちのことを知って、もう一度映画を観ると、より感動や胸に迫るものがあるのではないでしょうか。

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