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絶望に効く薬 42/365

2005年か2006年くらいだったかに、貪る様に読んでいた漫画がありました。

山田玲司さん著、絶望に効く薬という漫画です。

たまたま、定食屋さんに入って、何気に手に取った漫画でした。

少し読み始めたら、止まらなくなって、当時全巻を制覇したと思います。

この漫画は作者の山田玲司さんが、いろいろな方の取材をされて、その様子を漫画にされた作品です。

一巻に約10人くらいの人が出てきて、既に知っている人や、この漫画で知った人もいました。
山田さんが気になる方に体当たりの取材をされて、その方の人生、生き様が漫画によって描かれていました。
山田さんの文章表現がとても詩的で何とも言えない読後感がありました。
自分はこのままでいいのか?という問いがメラメラと湧いてくる。
そんな力のある漫画でした。

もう、この漫画を読んでいた頃から、15年以上立ちました。

まさにこの頃、人生に絶望していた僕は、藁をもすがる思いでこの本を手にしていたことをはっきり覚えています。

本当に絶望に効く薬が欲しかった。

山田さんの絵には何とも言えぬ手触り感、そして深いところを揺さぶられてしまう、生々しさがありました。

読んでいるうちに、辛いのは僕だけじゃない・・・

そんな気持ちになり、また前を向いて歩こう!と大きな力をくれました。

その漫画達は東京から故郷へUターンするときに、全て古本屋に売ってしまいましたが、今でも狭い部屋の本棚に立ててあった漫画達の姿を思い出します。

あの頃、薬の様に、何とか僕の心を持たせてくれた漫画達。

ギリギリ持ち堪えられた、あの頃。
先の見えない真っ暗闇を何とか歩いていた、あの頃。

今こうして振り返ると本当に信じられない、奇跡のような今があります。

絶望の数だけ、希望がある。

言葉で言えば、一言だけど、絶望の最中にいる時には、慰めにしか聞こえない・・・

でも、こうして絶望の中でも、作品を生み出し続ける作家やアーティストがいます。
そういった存在が、どこかで誰かの心を救うことがあります。

僕もたくさん救われてきた身として、何か少しでも、僕に出会った人、僕を知ってくれた人に力や希望を与えられたらと思います。

このように思えるようになった、十数年の歳月。

絶望に効く薬がゆっくり効いてきたのかも知れません。

大丈夫!最後は必ず、希望へ変わっていく。

今、心から、そう思います。