見出し画像

マンガとドラマの齟齬

今回の痛ましい出来事に際し、私からもドラマとマンガの違いについて一言お話しをします。

ページ枠が決まっているマンガを、時間枠の決まっているドラマで表現すると、どうしても再構成せざるを得ず、別物になってしまいます。
別物になることで逆に、より優れたドラマになった作品もあります。
ですからそれぞれの力量を精一杯活かしてもらえれば、それでいいはずでした。

私のマンガ作品の場合、90分枠で約5話分の話を入れ込んでドラマ化していました。
しかし驚いたのは、了解した台本から、内容が大幅に変更されて放送されたので、ただただ唖然。信じられないラストシーンで、もちろんこちら(漫画家サイド)の了承は無しです。連載中の作品だったのですが、その後のモチベーションが下がってしまったことを覚えています。

要は、別物と捉えるべきですが、一度お互い了承したあとから内容を勝手に変えられてしまうことは、ビジネスの常識から考えられないことでした。

今回は、ドラマ制作側とマンガ家側に、信頼関係の齟齬があったと聞いています。ドラマ側がどのくらい原作に対するリスペクトがあったのでしょうか?

ドラマ制作は、出演者ありき。まず出演者のスケジュールをおさえて、それからどういう話にするか原作を探すと聞きました。慌ててマンガ原作を探すとき、脚本家は全く知らない(好みでもない)マンガを急いで読んで、締め切りに追われて脚本を作ることもあるでしょう。そこにリスペクトが生まれるか、疑問でもあります。

芦原先生は、この流れに一石を投じてくれました。その勇気と敬意を込めて、心よりお悔やみ申し上げます。安らかにお眠りください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?