即興小説 晴野雨音はこもりがち 第3話 神凪律子は企てる(前)
神凪律子[かみなぎ りつこ]は中学教師である。昨年度まで夜職だったのだが、大学で教員免許を取得していた事もあり、今年度から教師となった。律子の家は裕福ではなかったが、赤子の頃から出会った誰もが褒め称えるような美貌を持ち、さらに優れた頭脳と運動神経を備えた彼女は短大に合格後、なぜか銀座の高級クラブで働き始めた。学生時代、その人並外れた容姿は学区外にまで噂になり、その噂を聞き付けたいくつかの芸能事務所が彼女をスカウトしに来たが、律子はそれらを全て断った。「わたしは人前に出てなに