【マインド】双極性Ⅱ型:治療法を書いた本がすごすぎたのでまとめたみた
私は20代の頃に『双極性障害(躁鬱病)』という診断を受けました。当時は『うつ病』という言葉がやっとでてきたくらいであまり精神的なことをきちんとケアするということがありませんでした。『カミングアウト』という言葉が私は嫌いなのですが、それは隠していたわけではなくて単に周知されていない事象にすぎない程度だと思っているからです。常識やカルチャーが少しでも変化するために記事をかくことにしました。とてもわかりやすい本をだされている方がいらっしゃったので、その方の書籍を元に文章を構成しています。amazonリンクも貼っているので、当事者や周りに同じ障害を抱える人がいる方は元になっている書籍も読んで頂くことを強くお薦めします。
作者は札幌の精神科医のあずささん
疾患教育を中心に取り組まれている精神科医さんが実体験を元にまとめた書籍なので具体例がたくさんありとてもわかりやすいのが特徴の本になっています。お値段もお安いので気軽に手に取って読めるのもよいポイントです。
なぜ障害なのか
『気分の上がり下がりなんて誰にでもあること』と誤解されがちですが、障害になるというのは日常生活に支障をきたすくらいに症状がでるからだといえます。つまり社会性を欠如してしまうということです。これは当人が一番自覚していて、そして最も恐れていることです。わたしは生きているこの世界でなんとか生きていこうとしているので、昔ならちょっと変わった人だな程度で済まされていてしまったこの気質にきちんと名前をつけて治療(自他ともに気を配る)することがとても大切なことだと思っています。それでこそ自分を認めて、周りからも誤解されずに生きていけると思うので、あえて障害と名前を付けて徹底的に向き合ってみることにしました。
似ている病気との違い
双極性障害とは躁うつ病という名前で知られていて、『躁状態』と『うつ状態』が繰り返してでることを言います。サイクルが早い人は『ラピットサイクラー』と言われることもあります。このサイクルの早さが不安症を引き起こしたりする原因にもなっています。
Ⅰ型とⅡ型の違い
『躁状態』が派手で問題行動が多発するのがⅠ型です。エネルギーが過剰な状態が続くことが多く、その後ひどいうつ状態になり強制入院の場合も。
・気が大きくなって賭け事や投資を始める
・自分こそが正しいと思っていろんなところに喧嘩を売る
・勝てると信じて売られた喧嘩を全部買う
・異性関係でトラブルを起こす
・しゃべり始めたら止まれなくなる
『うつ状態』と『軽躁状態』が繰り返されるのがⅡ型と言われています。エネルギーが枯渇していることが多く、治療しないと抜け出しにくいです。
・気分が真っ暗ですべてに絶望する
・やる気が出ず何も手につかない
・体は重く頭は働かずあちこちが調子が悪く感じる
⇒Ⅱ型はやる気がない性格ではなく具体的に体の症状としてでます。
身体も頭も動かなくなり、動けなくなります。歩くスピードや言葉が出てこなくなります。症状はでているのに、病院で検査してもなにも見つからないということも多いです。心理的なことが原因なんですね。
『気分とやる気と身体がバラバラになっている』と書籍には書かれていました。全くその通りだと思います。そのバラバラさがさらに不安や誤解を招いたりする原因になってしまっていることがあるのでそれを当事者として
客観的に認めることが大切だと感じました。例えば気分は最悪なのに身体が調子がいいという状態のときは、涙が出ているのに仕事を全部こなしてしまうということが起こります。周りからみたらかなり異常事態だと思います。
うつ病との違い
『うつ病』はひとつの状態だけが起きる病気で、躁と繰り返しで起きませんがうつ状態のときに病院に行くと『うつ病』と診断されることもあります。
ADHDとの違い
『ときどき元気でときどき動けなくなる』ということはよく似ています。
双極性Ⅱ障害の人はうつでやる気を無くして中断ということはあっても、ADHDのように『次のモノに興味がうつって中断』ということはありません。どちらかというと目的にむかって一直線に進みすぎて燃え尽きてしまうという症状が出るそうです。森が広く見えすぎて疲れるタイプと、森の中の木の細胞まで見えすぎて疲れてしまうタイプということになるでしょうか。
自分の性質をうまく使いこなしている堀江さんは本当にリスペクトします。
具体的な症状
他人が存在する場において自動的に気を遣ってしまう
一見いいことのように感じますが、当人にとってはどこにいっても気を遣って生きていかなければならないので非常に疲れます。少し前に話題になった繊細さんとも似ていると思います。相違点を考えてみました。
繊細さんは『人に気を遣うこと』を意識的にやることで自分を守っているのですが、双極性Ⅱ型はそれを無意識にやっていることが多いので気づきにくく『気を遣うのが常習化』しています。これがポイントだと感じています。
例えば、居酒屋でサラダが出てきたら勝手に手が伸びて取り分け始めます。
これは本人が意図しているのではなくて常習化しているのです。なぜかというと、好きな人が目の前にいるだとか上司がいるからだとかそういったことは全く関係ないのです。『人が目の前にいたら勝手に取り分けている』『人が目の前にいたら勝手にサービスを始めてしまう』というまるでお手伝いロボットかのような動きに見えると思います。逆に手を出さないことが苦痛となるのですが『いい子ぶって』と誤解されて目をつけられてしまうこともあり、そこから人間関係のトラブルに巻き込まれてしまうこともあります。これは私の実体験で、頭を抱えて悩んでいましたが単なる性質だったのです。
仕事熱心
『目的に向かって一直線に進む』という性質があるので、仕事熱心な人が多いです。『結果が出れば多少のルールは無視する』という傾向もあるので、上司と衝突することもあります。『現場と裁量権』がある場面では最も力を発揮します。逆に中間管理職になって自分の努力が直結しない場面に非常に弱くなります。『責任感が強い』ともいえるので勝手に問題点をみつけて勝手に解決策を講じます。ほっといてくれる上司の元では伸び伸びと仕事することができます。もしくは自ら社長となる人も多いようです。ここで注意するのが結果は自分が立てたものに限るということです。例えば、販売件数や顧客の満足度、自分の納得している出来なのかどうかが重要です。『超自立型』と言えるかもしれません。職人肌と言われる人も多いようです。
これは神経症ともつながる部分があると感じます。私の場合は字数がそろっていないと気が済まないなど無駄なこだわりと思われることも多く、そのために多くの労力を費やしてしまうこともあります。研究職についているわけでもないので日常的にそういったこだわりが多いと曖昧なものやきっちりそろわないことで多大なストレスになっていることがあります。本人は自覚がないので、他人から見ると『そんな細かいとこまで』と言われることもあります。できることなら病院の中で暮らしたいなんて思っていたりします。
かげ口が苦手
サービス業にとても向いている性質だとも言われていて『相手が快適と言ってくれることが快楽』となっています。なので、かげ口やゴシップがとにかく苦手です。一見するとよさそうですが偽善的にみられることも多く誤解される場面が多々あります。双極性Ⅱ型の人はかげ口言う時間にその人がどうやったら改善するだろうかと考える時間の方が長くて幸せを感じるのです。
とくに女性はかげ口やゴシップでコミュニケーションを図ることもあると思います。私にはそういった気質はないので付き合いづらい人として判断されることが多いです。常に改善点を探っているため『押しつけられている』と感じる人や、『弱みがみせられない』と感じる人も多いようです。母親からは警察と話しているようだと言われたこともあります。本人は自覚が全くないのですが、わかってもらえないことが多いのでストレスを抱えています。
休むことができない
成果が出やすい性格なので『休む』という選択肢がなかなか取れません。療養するときも人に会ってしまうと持ち前のサービス精神が自動的に発動してしまうので負担になることがあります。自分が調子が悪いことを相手に伝えることも苦手なので上手に隠してしまいます。『誰にも会わない』ということを指示される方も多いそうです。
私が症状が悪化してきたときに、人と距離を取ろうとした結果『墓地』に通っていたことがあります。墓地は見晴らしがよく静かな場所にあるためとても精神的に安定しました。どこのだれだかわからぬ方のご先祖様に挨拶したりしていました。『ライブハウス』など真っ暗で誰が誰だかわからないところも非常に気が楽でした。友達をつくりにいっていたわけではないので話しかけられて友達が増えていくにつれストレスがたまってきたのでそう長くはもちませんでした。現在はオンラインサロンや配信などネット環境で基本的には完結する人間関係がとても楽です。コロナのときは誰にも会う必要がなかったので私としてはとても過ごしやすかったです。心霊スポットなどは人はいないのですが人気(ひとけ)が多すぎるため近づくことができません。
【得意なこと】
・誰にでも気を配る
・責任もって仕事をする
・問題解決
・成功するまで挑戦する
・一人でもやり遂げる
・ゴール設定をする
・相手のいいところをみつけて褒める
・ルールを柔軟に解釈して結果を出す
・誰かを幸せにする活動
【苦手なこと】
・ゴールがみえない状態
・かげ口やゴシップ
・中間管理職
・結果が出ないのにルールを守り続ける
・他人を巻き込んだ活動
・失敗のままで終わらせること
・意味もなく休むこと
・誰かの不幸を願う
治療方法について
休養療法
『身体と頭と気をつかわないこと』が基本的な治療です。双極性Ⅱ型の人はほっとくとずっと仕事をしてしまうため、自覚的に休みをとる必要があります。本の中では『プチ入院』という名称で二時間くらいなにもしないということがおすすめされていました。とにかく人と関わることや頭を使うことは想像の10倍はストレスがかかっているので自覚することが大切です。
かわいい猫の動画を見る、一人でできる作業系のゲームをする、数十回読み込んだ漫画を再読するなどはギリギリよいとされていました。最近取り入れてみてよかったのは『誘導瞑想』や『棒読みの声をきく』もよかったです。
どういう状態かを把握する
休養には『どういう状態が躁状態、あるいは鬱状態なのか』を把握する必要があります。『気分・やる気・頭と体の動き』を観察し、勉強することも休養をうまく能動的にとれる要因となってきます。
行動をレベル別に分ける
『一気にやる』ということが得意な気質なのでとにかく知らぬ間にトップスピードで暴走していることが多いです。対処法として行動をレベル別に分けるということが書かれていました。私も取り入れているのでゲームで例えて考えてみます。(書籍の中でもゲームで例えられてあってうれしかったです)
レベル10 ヴァロラントのランクをまわす
レベル9 ヴァロラントのアンレートをまわす
レベル8 ヴァロラントの射撃場に入ってボット撃ち
レベル7 ヴァロラントの配信を見る
レベル6 やり込んだデッドバイデイライトをやる
レベル5 雑談配信をみてコメントする
レベル4 初心者向けに基本を教える
レベル3 海外の配信をぼんやりみる
レベル2 パズルゲーをする
レベル1 あきらめてねる
『コストの高い活動』と『コストの低い活動』を分けるといいそうです。
『コストの高い活動』
⇒複数作業の同時進行×タイムリミット×途中でおわれないもの
例:自炊してご飯をたべる、お風呂にはいる
『コストの低い活動』
⇒単純作業×時間がかからない×途中で終わってもいいもの
薬物療法
精神安定剤などうつ症状になってからの服用ではなく、予防として『気分安定剤』を使用することが多いそうです。薬は副作用があるので、主治医とよく相談することを勧めています。とにかく誰にでも気を遣う性格なので前もって調べてからいくのもよいかなと思います。抗うつ薬はあまり相性が良くない傾向にあるようなので処方された際は気を付けるのがいいようです。
今後どうしていくか
書籍の中から簡単な部分だけを抜き出して、実体験もふまえて書いてみました。薬物療法というよりも休養療法といって過言でないくらい、休むことがとにかく治療の最優先とかかれてあって納得しました。
こうやって真面目にnoteにまとめてしまっていること自体が気質なような気もしますが、自分を説明する名刺代わりだと思えば気も楽になりました。
今後は自分のできる範囲で『周知していくこと』が課題として思いついていますが、私ひとりがやり遂げるというよりもいつかなんかわかってくれたらいいなと星に願いをかけるくらいの気持ちでいようと思います。
おまけ:関連動画や作品紹介
TEDEd:双極性障害とは何か? - ヘレン・M・ファレル
アニメーションを使ってわかりやすく説明されています。
英語では『bipolar disorder』という名称だそうです。
アニメーションを使ってわかりやすく説明されています。
英語では『bipolar disorder』という名称だそうです。
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第三話「ありのままの私を受け入れて」
躁うつ病を抱える主人公の苦悩が救われる作品。リアルすぎてちょっとみててキツイ部分もありましたが、友人に打ち明けるシーンは涙が止まりませんでした。30分程度の長さなですみやすかったです。
躁鬱病が再発しにくくなった方法、理由【双極性障害】
えっちゃんねるの悦子さんが『つらい部分』『治療方法』を具体的にお話しされていました。通常時や躁状態にも自分をモニタリングするというのはとても参考になりました。発言を変えるというのはすぐ出来そうです。
最後までお読みいただきありがとうございます、今日もいいことありますよ!