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恋をするって最高だ。東京女子流のViva La 恋心を聴いて 歌詞考察vol.1

恋する女性の奥ゆかしさと恋の楽しさ、奥深さを体験させてくれる名曲を発見した。

以前、フィロソフィーのダンスについて語ったが、東京女子流も同時期にその楽曲の素晴らしさに惹かれた。昨年その2組の対バンが開催されたのだが、都合が悪く参加することができなかった。1度きりのそのライブに行けなかったことを後悔しなかった日はなかった。しかし、そんな中で1年半ぶりに、同じ2組での対バンが発表され、これは行くしかないと思った。

先月、東京女子流7年ぶり6枚目となるアルバム「ノクターナル」が発表された。どの曲もとても語り切れないほど、素晴らしく良い曲ばかりだった。今回はリード曲である「Viva La 恋心」の歌詞考察をしていきたいと思う。素人の妄想解釈が9割ですが、ぜひ歌詞を見て、曲を聴きながら楽しんでいただけると幸いです。

「最低な想いをしたの 抱きしめて」

サビのこの一節で、「Viva La 恋心」に登場する女性が一体どんな人なのか、一瞬でわかってしまうようなそんな歌詞である。好きな人に対して”抱きしめて”と一言だけいう、もしくは無言で抱きついてもいいはずなのに、”最低な想いをしたから”という理由付けをしなければ、好きな人に近づくことのできない奥ゆかしさを感じた。
1番の歌詞の冒頭で、この女性は「寂しさとは長い付き合い 隣り合わせ」と言っていて、寂しい思いには慣れっこだという強がりをしているものの、それでも目の前に現れた温もりには抗えないという相反する気持ちが表れている。大人の裏腹な恋心の表現としてすごいと思った。

女性の恋に対する裏腹な情緒を表現している部分として、1番と2番の間に存在する次の歌詞も心を鷲掴みにされる。

海底 深く 沈む ような
大抵 這い上がれないよ…

1番から2番にかけて、「寂しさとは長い付き合い」で恋に対して消極的だった女性が、「君とならば 二人ならば 生きていける 願ってもいいの?」と少しずつだけど、前向きになっていく様子が描かれている。それから、1番の歌詞では、「君と交わり合う冷えすぎた体温 傘もささないままで 溢れるキャパシティ」に対して、落ちサビでは「心地いい雨の中 もう止まらない viva2人が」となっている。雨すらも心地よく感じてしまう前向きな気持ちへと変化している。その中で、「海底 深く~」の歌詞が1番と2番の間に挟まれることで、恋に消極的な自分と前向きな自分が同居し、それぞれの気持ちの狭間で逡巡する女性の心理がここにも表現されていると感じた。「大抵 這い上がれないよ…(でも、あなたと2人なら…?)」というこの恋に思わず期待してしまう気持ちを説明し切らず、奥行きを持たしているところも考察し甲斐がある。

そしてこれは推測にはなるが、おそらく本来なら「海底 深く~」の歌詞は、1番サビの「でも 止まらない Viva 問えば」の前に入るのではないかと考えた。その部分に歌詞を入れ替えて、読んでいくと、大抵這い上がれないほど寂しい気持ちになっているけれども、あなたと2人なら空にだって行けるほど幸せなんだとストレートに解釈できると思った。
しかしながら、あえて1番と2番の間に差し込むことで、恋に前向きな気持ちになりすぎず、なぜか気持ちを抑え込もうとしてしまう女性の心情のぐるぐるとした状況を表現されているのだと思う。

そして、この歌詞を考察していく中で、『この女性って、意中の男性と付き合っているのかな?』という疑問があった。付き合っているにしてはやけに暗い印象が漂っているし、付き合っていないにしては歌詞の後半でかなり前向きになっている。

この曲のタイトルを改めて見返してみると、そこに答えはあった。
Viva~というフレーズには、「~最高!」という意味がある。ということは、Viva La 恋心というタイトルを直訳すると、恋心は最高だ!という意味になる。つまり、女性自身は、付き合えているかどうかはどうでもよくて、今自分が恋をしているというこの情動こそが最高なんだ、今の自分のこの気持ちこそ素晴らしいと感じているのだと、僕は解釈した。意中の相手と何かをしたり、誰かに自慢したりとかそういうことが”Viva”ではない。好きな人のことを考えたり、「でも 愛しいの 只 想うよ」と相手の幸せをただ願う気持ちが全てなんだと思わせてくれる。そして、そんな自分を好きになれたらどんなに素晴らしいだろうかということまで言ってくれているような、そんな気がする。

曲の最後では、「大抵 這い上がれないよ…」だったのが、「大抵 這い上がれないのに…」と変わっていて、悲しみの奧深くからゆっくりと浮かび上がっている様子がこの物語の未来を何となく暗示していて、いい余白になっている。

最高の新曲を引っ提げて行われる来週のライブが今から楽しみで仕方ない。
ちなみに電車の中でこの歌詞の考察をしていたら、アルバイトに遅刻してしまいました。




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