【はだくるEp5 《秦野のんびり低山ポタリング》】SURUGA Cycle Journal Vol.160
秦野市さんとのコラボ企画「はだくる」。名水の里、ヒルクライムの聖地とさまざまな魅力を持つ秦野市の素敵なスポットをデイトナポタリングバイクでめぐります。
今回のはだくるは、秦野のまちの歩みを物語るまちなかエリアから、自然豊かな低山エリアまでをのんびりめぐりながら、秦野のさまざまな表情を楽しむポタリングに出かけます。
ナビゲーターは秦野市職員の砂賀さん(左)と目黒さん(右)の同期コンビです!
今回のスタートは、小田急秦野駅北口前の水無川に架かる「まほろば大橋」。橋上にガス灯と白い時計塔がそびえ、遠くから見てもレトロな雰囲気を感じます。
塔の上部には秦野の四季を表したステンドグラスと、5人の子どもの像があしらわれています。
塔の周りの地面には、名水スポットの「弘法の清水」、「ヤビツ峠」など秦野の代表的な場所が刻まれた銘板がありました!
高欄(こうらん:橋の柵)には、秦野市を代表するお祭りである「秦野たばこ祭」と、山登りを楽しむ人々の姿が表現されたプレートがあり、実は秦野を代表するイベントやスポットなど、まちの魅力を教えてくれる橋なのです。正時になると、カリオンの透き通った音とともに子どもたちの像が回りだし、楽しく時を告げてくれます。
それでは、デイトナポタリングバイクに乗って、次のスポットに向かいましょう!この辺りは交通量が多いので、注意して走行します。橋上は押し歩きで渡ってくださいね。
秦野市には、かつて軽便鉄道(けいべんてつどう:一般的な鉄道よりも規格が簡便で、安価に建設された鉄道)が通っていました。1906(明治39)年、湘南馬車鉄道株式会社が秦野駅(大正12年からは名称を台町駅に変更。現在の本町三丁目)から、吾妻村(現在の二宮町二宮)間の9.6kmに、幅2尺5寸(76.2cm)の軌道を敷設した馬車鉄道の運行を行ったことが始まりです。その駅があった場所には、現在石碑が建てられています。
こちらは台町(だいまち)の商店街沿いにある石碑。「台町駅」があったといわれる場所です。
イオン秦野ショッピングセンターの近くには「秦野駅」がありました。
貨車には葉たばこやたばこ製品、木材、綿糸など、この地域の産品が多く積まれ、産業の発展に大きな役割を果たしました。
秦野市内には、軽便鉄道に関する石碑が4箇所にあります。昔の秦野の生活を支えていた鉄道に思いを馳せつつ、残りの石碑も探してみてください。
続いては、国の有形文化財に登録されている「宇山商事店舗兼主屋」にやって来ました。
旧矢倉沢往還(やぐらざわおうかん:江戸の青山から矢倉沢関所を抜けて駿河に向かう道)沿いに建てられた商家で、米穀販売や燃料の販売を担ってきました。
建物前面にのみある土間や、奥行きの深い庇(ひさし)など、関東地域の町家の典型的な特徴が残っており、歴史的景観を伝えています。
周りを見回していると、秦野駅周辺の商店街には、このような古くからの建築物がところどころに見られます。ちなみに、以前のはだくるでご紹介した国登録有形文化財の「五十嵐商店(Cafeいがらし)」さんもこの近隣にあります。
古い商店や歴史的文化を残した建物が市民に守られてきたからこそ、古き良き街並みが今も残っているのですね。
さて、ここで商店街から少し離れ、1本裏道に入って「亀屋菓子店」さんを訪れました。
昔からある老舗和菓子屋さんです。こちらの人気商品は「バターどら焼き」。
ふわふわのどら焼きの皮と、入っている優しい甘みの餡子、塩味がアクセントになるバターがマッチして、和菓子なのに洋風な雰囲気も感じる味です。
1つ129円と、お手頃な価格なのも嬉しいところ。ちょっとしたおやつや、お土産にもぜひ!
お話好きな奥さんが優しく迎え入れてくださいます。
続いては「亀屋菓子店」さんから自転車で約3分のところにある「曽屋水道記念公園」にやって来ました。
1890(明治23)年に給水を開始した秦野の水道の歴史を今に伝える公園です。
ここで登場するのが「秦野水道の歴史 お散歩マップ」です! 当時の曽屋水道の給水区域周辺をマップにしたもので、スマートフォンで二次元コードを読み取ると、カメラ上に秦野水道ゆかりの写真が浮かび上がります。
曽屋水道創設の立役者である梶山良助、梶山とともに工事担当代表を務めた川口直次郎の写真が浮かび上がってきました!マップに沿って散策しながら、かつての秦野の街を覗いてみましょう。
「秦野水道の歴史 お散歩マップ」は市役所本庁舎1階ロビーや秦野駅観光案内所などで配布されている他、秦野市公式ホームページからも閲覧できます。
詳しくはこちら↓
さらに、曽屋水道記念公園は「秦野丹沢ハイキング スタンプラリー」のチェックインポイントでもあります。
秦野丹沢ハイキングスタンプラリーとは、自然の中で癒しを感じたり、雄大な表丹沢の山々を眺めながら、各コースのチェックインポイントを回るデジタルスタンプラリーです。専用の「ヤマスタ」アプリを使って、指定されているポイントでチェックインをすると、アプリ上でスタンプをゲットできます。スタンプの柄はスポットによって異なり、どんな絵柄があるかは押してからのお楽しみ!ぜひ実際に足を運んでみてください。
※2023年度の秦野丹沢ハイキングスタンプラリーは、2023年12月14日まで開催されています。
さて、続いては「曽屋水道記念公園」から自転車で6分ほど。「自然観察施設 くずはの家」に到着しました。
まちなかに比べて気温が低く感じます。木陰が多く、涼しくて散策にはぴったりです。
くずはの家では、年間を通して生きもの観察や自然素材のクラフト教室などのイベントが開催されています。
ちなみに、以前のはだくるでは森林セラピーを楽しみました。くずはの家周辺の「葛葉川ふるさと峡谷」は広大な敷地に緑豊かな自然が広がっています。木の葉の音や生きものたちの声に耳を傾けながら散策してみてください。
この可愛いどんぐりたちは、秦野市キャラクターの「どんぐりん」です。
くずはの家もスタンプラリーのチェックインポイント。これで2か所目!ばっちりスタンプも獲得し、緑豊かな景色に癒されました。
さて、ここでランチタイムにしましょう。商店街に戻り、横道に入ったところにある小さなカフェ「きょうのおやつとコーヒー」さんにやって来ました。
元々八百屋さんだった建物をリノベーションした、植物性の素材で作るおやつとオーガニックコーヒーのお店です。
一歩中に足を踏み入れると、たくさんの焼き菓子やパン、秦野産の有機野菜などが並んでいました。なるほど、八百屋さんの名残を感じました。
クッキーやパンなどのおやつもたくさん種類があって迷いますね。
おやつやドリンクだけでなく、カフェメニューもあるので、イートインスペースで自家製パンのホットサンドをいただきましょう。
たかきびのトマトソースとチーズのハーモニーがたまらない「ベジサンド」と、自家製とりハムとまろやかなソースがマッチする「チキンサンド」の2種類を注文しました。
できたてアツアツのホットサンドは中からチーズがとろ~り!外はカリカリ、中には具がぎっしりです。ホットサンドは単品の他に、「お野菜のお惣菜」やピクルス、グリーンサラダが付いたプレートセットも選べます。
席は1階はダイニング、2階は広間になっています。お好きな場所でおやつとコーヒー、ランチを楽しんでください。
路地裏を押し歩きしながら、続いてやってきたのはパンケーキ専門店の「Breeze Cafe」さんです。
マスターがおひとりで経営されている小さなお店です。スイーツ系だけでなくしょっぱいオカズ系パンケーキも豊富で、無限の可能性を感じるパンケーキのメニューに目を惹かれます。
どれも美味しそうで目移りする…!悩みましたが、1番人気の「チョコバナナパンケーキ」を注文しました。
注目は生クリーム。ベタつかない爽やかな甘さと軽い口溶けが特徴で、運ばれてきて5分以内には溶け始めてしまうほどの繊細さ。今まで出会ったことのない感覚です!
ふわっふわの焼きたてパンケーキに生クリームをたっぷりつけていただきます!
季節のフルーツを使った限定メニューや、数量限定のフレンチパンケーキなど、見た目もあっと驚くようなメニューが多数あるのでチェックしてみてください!
さて、秦野市は多くの著名な芸術家を輩出しており、美人画でその名を馳せていた画家・宮永岳彦(みやながたけひこ)もそのひとりです。秦野市東中学校には、宮永岳彦がデザインした巨大なレリーフがあります。
宮永氏は、15年間にわたって秦野市名古木(ながぬき)にあったアトリエで創作活動を行っていました。このレリーフは、1985(昭和 60)年に新校舎が完成した際に造られたもの。大樹に愛らしい鳥たちやリスが集まる様子が描かれており、「集団における協調精神と慈愛」(お互いに協力しあう心・深い愛情)を表現しています。レリーフの下部には宮永氏のサインも刻まれています。
(今回は撮影のため、特別に学校内に入らせていただきました。普段は敷地内には立ち入り禁止です。)
校舎東面を飾るこの大レリーフは、正門の外から見てもとても存在感があります!秦野市には他にも宮永氏が手懸けた像や絵画があり、長年大切に伝えられています。
次のスポットを目指して、秦野市立東中学校の西側へ。正門は東側なので校舎の反対側を走っていると…遠くの山間に富士山が見えました!
くっきりとした輪郭で夏らしい姿ですね。雄大な山並みの風景も美しいです。山の間にはポコポコと送電塔が建っているのが見えます。
この道すがらに「波多野城址(はだのじょうし)」という史跡があります。
入口は本当にここであってる?と思ってしまいますが、ご安心ください。立て看板が目印です。
この場所は、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて成長した領主、波多野(はだの)氏の居館があった場所として古くから言い伝えられてきました。現在は石碑が建てられています。
石碑がある場所までは、田んぼの脇の道を歩いていきます。右側に見えるのが、さっき巨大レリーフを見に行った秦野市立東中学校です。
まちなかから少し離れると、緑豊かな山の風景が広がる秦野。ここからは山のエリアに入っていきます。移りゆく景色と共にサイクリングを楽しみましょう。
続いては「田原ふるさと公園」にやって来ました!
2022年10月にリニューアルオープンし、「ふるさと伝承館」の前に、秦野産木材で作られた農産物直所と、休憩スペースが併設されました。
直売所には秦野産のさまざまな朝採り野菜が並んでいます。8時45分からオープンしていますので、品揃え豊富な朝のお買い物がおすすめです!
ふるさと伝承館内の直売所では加工食品の販売も行っています。以前のはだくるで訪れた「村上いちご園」さんのジェラートを発見しました!
レモンミルク、かんきつミックスをチョイス。ちなみに、本当はいちご味も販売されているのですが、好評につき売り切れでした。
向かいに見える豊かな水田の風景を眺めながら、ちょっとひと休みしましょう。
また、直売所で販売されている「はだのブランド」認定品の「実朝漬」もおすすめです!秦野で収穫された野菜(キュウリ、ナス、大根、青しその実)を使い、醤油漬けにした漬物です。
田原ふるさと公園内に加工所があり、この近くに「源実朝公御首塚」があることから「実朝漬」と名付けられました。
田原ふるさと公園も秦野丹沢ハイキングスタンプラリーのチェックインポイントです。これでスタンプは3つ目!
ジェラートでクールダウンも完了!ここからは蓑毛方面を目指します。上り坂が増えてくるので、電動アシストをフル活用していきましょう!
ヤビツ峠の入口とも言える蓑毛エリア。突然道路の真ん中の中央分離帯に鳥居が現れました。
これは「小蓑毛(こみのげ)の鳥居」と呼ばれています。上部に書かれているように「大山阿夫利神社(おおやまあふりじんじゃ)」の鳥居です。
古くから霊山(れいざん)として人々の信仰を集めてきた大山の神域を示し、現代に至るまで大切にされてきました。
神社はここからさらに北にあるのですが、なぜこんなに離れたところに作られたのでしょうか…。
デイトナポタリングバイクは、ペダルを強く踏むとそれに連動して強めのアシスト力を発揮します。山道をスイスイ進みながら、正面に広がる山間の風景を楽しみましょう!
上り坂を5~6分上っていくと、次のスポット「緑水庵」があります。入口に水車があるのが目印です。
緑水庵は、1930(昭和5)年に秦野市今泉に建てられた芦川佐吉氏の住宅で、1991(平成3)年に現在の場所に移築・復元されました。
当時の農家建築の特徴を表している建物で、葉たばこの乾燥やたばこの葉を伸ばす作業などが行われていました。
家屋の前にあるベンチで少し休憩。先程「田原ふるさと公園」で買っておいた「丹沢サイダー」をいただきます。
炭酸強めでスッキリ爽やかです!
家屋の周辺に植えられているのは河津桜やカエデの木。撮影日は7月上旬でしたので、すっかり葉が茂って木陰を作っていました。春、秋にはそれぞれ満開の桜や紅葉が見頃になるので、季節ごとに違った姿を見ることができます。
こちらもスタンプラリーのチェックインポイントです。
さて、緑水庵からさらに10分ほど坂を上っていくと、「蓑毛大日堂(みのげだいにちどう)」に到着しました。
緑がいっぱいの境内は、春には桜が咲き誇ります。境内にある本堂、本堂正面にある仁王門、蓑毛地蔵堂、蓑毛不動堂の4つが国の登録有形文化財になっています。
また、本堂の右脇には長い石段があり、上っていくと「御嶽神社」があります。
苔むした参道と静かな雰囲気に、不思議と心が落ち着きます。
<お知らせ(2023年8月時点)>
蓑毛大日堂は、現在仁王門の木造二王立像の修理を行っています。修理の期間は全体で4年間を予定しています。
像の修理に伴い、蓑毛大日堂仁王門の通路が閉鎖されています。お参りされる際は、仁王門右側の道から境内にお入りください。
スタンプラリーのスタンプもお忘れなく!今回のはだくるでは、ここが最後のチェックインポイントです。
今回は「蓑毛里山ウォーク」というコースのチェックインポイントをご紹介しました。秦野市内をめぐるコースは全部で6つ。各コースのスタンプラリーをコンプリートすると、指定の配布場所で記念缶バッジと達成認定証をゲットできます!(缶バッジは先着3,000個、なくなり次第終了です)
ぜひ、さまざまなコースで秦野めぐりを楽しんでみてください。
ラストは、秦野市街からヤビツ峠へ向かう途中にある景観スポット「菜の花台」に到着しました!
つづら折りになった坂道は勾配が急なところもありますので、上り下りの走行は十分に注意してください。
標高約570mのこの場所からは、晴れた日には秦野市内だけでなく相模湾から江の島、富士山も一望できます。標高が高い分、まちなかに比べて涼しく感じるので、頑張って上ったご褒美に暑気払いを!
木製のらせん階段を上った展望台からの眺めは格別です。空も丁度夕暮れ時です。
菜の花台は夜景スポットとしても有名で、秦野市街から三浦半島まで続く夜景がキラキラと輝く様子が見られます。
最初にめぐってきた駅周辺から、低山の眺めのいいところまで、秦野のいろいろな顔をまるごと堪能できた一日になりました。
それでは今回はここまでです。次回のはだくるもお楽しみに~!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?