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20年9月2日の映画、政治家って

通勤途中、とある会社の喫煙所の前をとおる。そこには身を寄せ合ってたばこを吸う男がぼそぼそと表情なく話している。その感じ、ここはマッチョな社風なんだろな、というのがわかる雰囲気。ひとり、タバコを吸わずに手持ちぶさたな痩せた男と目があった。

■「なぜ君は総理大臣になれないのか」
監  督 大島 新
出  演 小川淳也(衆議院議員) 
製作年度 2020年
状  態 映画館で観た

 衆議院議員、小川淳也のドキュメンタリー映画。朝の通勤時に、挑発的なタイトルがSNSで何度か流れてきて、そのままYouTubeで予告編を観る。世の中を良くしたい、という一心で政治活動をおこなう男が駆けずりまわる姿がうつされていた。わたしは、この愚直な男がどうしようもない政界でどう摩耗していくのだろうか、という意地悪な気持ちで、夜にこの映画を観ることを決めた。
 結果として私の意地悪な予想は裏切られた。32歳の初出馬の大きな理想を語る彼から、50歳近くになった現在、政界で目立った要職に就いたわけではなく、また現実に翻弄され苦労が顔ににじみでている。が、その情熱は消えていないのである。まだ真剣に理想を語っているのだ。その彼の表情は、正直、映画的には滑稽だ。でも、現実にこんな人がいるなんてまだまだ世も捨てたもんじゃないと感動もした。
 あと、映画のなかで、ちょいちょいジャーナリストの田崎史郎が顔を出すがつかみどころのない感じが不気味だった。

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