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プロゲーマーを引退することになりました

こんにちは、Surreです。
先日投稿した記事でもお伝えした通り、RAGE Shadowverse Pro League 21-22をもってShadowverseプロを引退することになりました。

NTT-WESTリバレント解散と今後について|Surre|note

Shadowverseを始めた当時や、プロゲーマーとして活動してきた4年間を振り返りながら、今後の活動についてお話したいと思います。

■Shadowverseの主な実績

・RAGE Shadowverse Wonderland Dreams 優勝
・WirForce Shadowverse 日台韓対抗戦 優勝
・RAGE Shadowverse World Grand Prix 4位
・RAGE Shadowverse Pro League 2019 1st season 優勝
・RAGE Shadowverse Pro League 21-22 1st season 3位
・RAGE Shadowverse Pro League 21-22 2nd season 優勝

■自己紹介

1991年10月23日生まれの30歳。山形県生まれ山形県育ち、地元大好きです。
子供の頃は2歳から始めたピアノ漬けの毎日で、コンクールや発表会で大舞台を経験することが多く、そのおかげで今も大事な試合等であまり緊張せずにプレイできるのかな?と思っています。練習で拘束されるのが苦痛に感じてしまい、中学を卒業するあたりで辞めてしまったのですが、今でも音楽は大好きです。

前職は建設業に従事していましたが、RSPL発足を機に心機一転、専業としてプロゲーマーの道へ。埼玉県に拠点を移し、プロの世界で4年間戦ってきました。
プライベートでは父として、妻と共に生まれたばかりの長男の子育てに奮闘しています。

趣味はゲーム、麻雀。Shadowverseに限らずカードゲームが大好きです。自身が負けず嫌いということもあり、何よりも勝つこと(結果を残すこと)を重視して遊んできました。なかでも長い期間プレイしたのは『デュエルマスターズ』『遊戯王』の2タイトルで、公式・非公式問わず色々な大会に参加してきました。大きな声では言えませんが、楽しみすぎて私生活を疎かにしていた時期もあり、両親にはだいぶ迷惑をかけました。

□Shadowverseとの出会い

Shadowverseに出会ったのは、古くからの友人でもあるhiroyaくんが初代RAGE Shadowverseで3位に入賞し、その試合を観戦したのがきっかけです。
当時は第3弾カードパック「Rise of Bahamut / バハムート降臨」が発売されたばかりだったと思います。

この環境で開催されたファミ通CUPでは後にチームメイトになるふぇぐくんが優勝しており、「自分もあの場に立ってみたい」という思いが強くなっていきました。

□RAGE初出場でまさかの優勝

RAGE vol.5に当選し、念願のRAGE初出場が叶いました。予選は東京・大阪の2会場で行われ、合計約5000名もの人が参加していました。
雰囲気に圧倒されつつも、出場するからには負けたくないという思いは強かったです。持ち込んだデッキはドラゴン/ネクロマンサーの2クラスで、得意なデッキジャンルということもあり、プレイにはある程度自信がありました。

初めてのRAGEでしたが、Day1はツキにも恵まれ4勝1敗の成績でDay2へ進出。Day2の6回戦では当時憧れていたRAGE初代優勝者である"ま"さんとの対戦で勝利し、流れを掴んで無敗のままファイナリストに残ることができました。

ファイナリストの皆さんと。RSPLで共に戦ったあぐのむ選手も同期でした。

初参加でファイナリストに残ることができたというだけでも望外の結果でしたが、巡ってきたこのチャンスをものにしたいと強く思っていました。幸いにも予選からGRAND FINALSまでは1か月ほど期間が開いており、じっくりと対策を考えることができたので、仕事の合間を縫って練習したり、家に帰ってからは友人に練習に付き合ってもらったりと、優勝するために最善を尽くしたつもりです。

そして迎えたGRAND FINALSは今でも鮮明に思い出せるほど印象深い試合の連続で、何度も危うい場面に直面しました。しかし、練習の甲斐もあってか自分でも予想できなかった初出場で優勝という最高の結果で締めくくることができました。

実はこの時壇上で初めてWorld Grand Prixの開催発表を聞くことになり、優勝したことでその権利を獲得することができました。World Grand Prixの結果は4位と惜敗に終わりましたが、各国代表選手との戦いや交流は今でもとてもいい思い出になっています。

また、RAGE優勝特典であるCMの撮影、日本代表としての日台韓戦への出場、著名な方々との共演など、普段の生活では味わえない貴重な体験をさせていただき、とても充実した日々を過ごしていました。

日台韓戦にて。左からSurre、Enjuさん、ふぇぐくん、まさん
WorldGrandPrixにて、スペシャルアンバサダーの武井壮さんと


□RSPL発足、プロゲーマーSurre誕生

2018年3月にRSPL発足の発表があり、瞬間的に「絶対にプロになるぞ」という思いが芽生えました。当時既に結婚していたため、妻の承諾を得るのが課題になると思いましたが、「上京できるの!?」とぶっ飛んだ返事が返ってきたことを思い出します。

後々冷静になって会社員である今の生活を投げ捨てていいものか熟考しましたが、この機を逃したら次は無いかもしれないという不安と、「今の充実した生活をまだまだ続けたいこと」「趣味であったカードゲームを最高の形で仕事にできること」が決め手となり、Shadowverseのプロゲーマーを志すことに決めました。

参戦の発表があったのは、

・au デトネーション

・名古屋OJAベビースター

・よしもとLibalent

・レバンガ☆SAPPORO

の4チーム。1人1チームしか応募できないという制約があり、期限ギリギリまで頭を悩ませていました。

今だから言える裏話ですが、どうしてもプロになりたかったが故にどのチームが一番内定をもらいやすいか……なんてことを考えたこともありました。(auデトネーションさんは既にShadowverse部門の選手がいるし募集人数も少なそうだなぁ、とか。)

最終的には悔いが残らないよう、第一志望である【よしもとLibalent】へ応募し、晴れて内定をいただくことができました。平日の夜に知らない番号から電話がかかってきたときは首を傾げましたが、内定の連絡だと分かるとつい舞い上がってしまったことを思い出します。

この時点で既にリーグ開幕まで1ヶ月を切っていたこともあり、当時勤めていた会社での退職の手続や新居探し、引っ越し準備など慌ただしく過ごしているうちにあっという間に時間が過ぎていきました。

共に戦うことになるチームメイトはけんぴ、ふぇぐ、keisuke3の3名で、自分がリーダーに任命されました。

■4年間のプロゲーマー生活

Shadowverseプロが目指すのはもちろん「RSPLで結果を出す」ことです。

□長かった優勝までの道のり

初めにメンバーが決まった時、「このメンバーなら絶対優勝できる!」という自信がありました。しかしその自信とは裏腹に、開幕シーズンは4位、2ndシーズンは5位と、なかなか勝ち切ることができずにいました。

4チームで開幕したRSPLでしたが、次第にチームも増えていき、2019 2ndシーズンからは8チームで優勝を争うことになります。チームが増えることでリーグは盛り上がっていきましたが、反面で優勝できる確率も低くなっていき、焦りを感じました。

初めて優勝することができたのは2019 1stシーズンで、開幕から数えると3シーズン目になりました。シーズンセミファイナルでのミル選手との一戦は、未だに強く脳に焼き付いています。

RAGE Shadowverse Pro League 19-20 ファーストシーズン シーズンセミファイナル | OPENREC.tv (オープンレック)

試合は4:05:20あたりから

この試合は自分の実力の120%を出せた感覚があり、自分の成長を実感できました。何より、SNSやコメント欄での反応をたくさんいただいて、自分の試合がこんなに多くの人を沸かせることができたという事実が、その後のプロ人生においての自信に繋がりました。

翌週行われたシーズンファイナルではチームメイトに助けられ、見事初優勝を掴み取ることができました。

□届かなかった最後の一勝

シーズン優勝を果たし、League Championshipの権利を獲得。年度末に行われる最終決戦に向けて、練習の日々を過ごしました。

普段はスタジオで自分たちだけで戦うプロリーグですが、LCSは秋葉原UDXという素晴らしい会場で観客もいる中で行われました。普段とは違う対戦環境とこれから始まる大一番に武者震いしていました。

このLCSでも、思い出に残っている試合があります。

【リーグチャンピオンシップ】RAGE Shadowverse Pro League 19-20シーズン【シャドバ/シャドウバース/Shadowverse】【再アップロード】 | OPENREC.tv (オープンレック)

試合は2:20:00あたりから

AXIZのChino選手との一戦。自分の代名詞ともいえるコントロール展開で、不利な状況ながら勝つことができました。

試合中の選手には外部の音が聴こえないようなヘッドホンが装着されているのですが、勝利した際には地響きのようなものを感じ、会場の歓声が伝わってくるようでした。

試合は両チーム譲らず、4-4で最終戦に突入します。そして、この最終戦では自分が登板することになりました。

結果は敗北。自分の手でチームの負けを決めてしまった悔しさから、しばらく言葉が出ませんでした。

絶対にまたあの舞台に立ってやるぞと決心して迎えた21-22 2ndシーズンは、新メンバーの《きょうま》選手の活躍もあり、再度優勝することができました。

そして、2度目のLCSへの挑戦権を得ることになります。実はシーズンの途中でチームの解散が決定しており、このLCSが自身の引退試合になることも決まっていました。

目標であったLCS優勝、そしてプロゲーマー人生の有終の美を飾るべく努力を重ねてきましたが、結果は0-5で完敗。悔しい気持ちはもちろん、しばらく心に穴が開いたような虚しさを感じました。

最後は惜敗に終わることとなってしまいましたが、4年間のプロ生活はとても充実しており、多くのことを学べる機会となりました。

□プロゲーマーにとって一番大事なこと

ズバリ「味方を増やす」ことだと思います。例えばチームにスポンサーが増えれば選手の生活も豊かになりますし、応援してくれるファンが増えればそれだけ勇気を貰える数も増えてきます。

自分自身メンタルは弱いほうだと思っていて、ミスをして負けた後はしばらく引きずることも少なくありませんでした。そんな時はいつもTwitterでリプライをくれたり、配信でコメントをくれる方々の存在に助けられていました。

なので、自分はファンの方と直接交流できるファンミーティングの機会を特に大事にしていました。

2019年4月に行われたレバンガ☆SAPPOROさんとのプレシーズンマッチ

定期的に行われていたファンミーティング【火曜日のリバレント】では、平日ながら参加してくれたファンの方もたくさんいました。

チームメンバー全員お酒が大好きだったので、「ファンの皆とお酒を飲みながら楽しもう!」というコンセプトで【オトナのシャドウバース大会】という20歳以上限定でファンミーティングを開催したこともありました。

この場で仲良くなった友達とは今でも定期的にボードゲームをしたり、ついこの間も脱出ゲームに行ったりしています。

■引退の経緯

充実したプロ生活ではありましたが、もちろんその裏には苦い思い出もありました。

□思うような結果が出せない

最初に引退が頭をよぎったのは、21-22 1stシーズンの終わりが近付いてきた頃でした。このシーズンからルールが改訂され、前シーズンに比べると1選手あたりの負担が増えることになりました。

このときの新ルールへの対応には苦戦を強いられました。あまり得意ではないデッキを担当することも増え、反省点ばかりが増えていくようになりました。

もちろん苦手を克服するための努力は惜しまなかったつもりですが、いざ本番となると練習したはずのパフォーマンスが発揮できず、次第に自信を失っていきました。

メンタルにトドメを刺したのが、勝てばまだ優勝の目が残っていた1stシーズン最終戦です。正しい択を採れていればチームの勝利を決めることができた場面で、ミスをして負けてしまい、チームも敗北してしまいました。

この試合だけでなく、シーズン通して足を引っ張ってしまった自覚があり、完全に引退を意識するようになっていました。

□セカンドキャリア支援プログラムの存在

引退の意思をチームにも伝えましたが、とりあえずもう1シーズン頑張ってみないかと説得され、2ndシーズンを迎えました。

2ndシーズンを戦っている中で真剣勝負の楽しさや達成感を思い出し、もう少し頑張ってみたいと思うようになりましたが、2021年12月にはチーム解散の一報を受けました。

頑張ろうと思った矢先でのこの知らせは衝撃的でしたが、Libalentに愛着もあり、他チームに移籍して戦っている自分は想像できませんでした。そのためチーム解散の決定と共に引退を決意し、転職活動に精を出すことになりました。

話は前後しますが、解散の報を受ける少し前にCygamesさんがプロ選手向けの【セカンドキャリア支援プログラム】を実施しているということを耳にしました。所謂転職エージェントサービスのようなもので、プログラムに参画されている企業一覧を見てみるとShadowverseやeスポーツに精通している企業ばかり。セカンドキャリアとして、自身のプロ経験が活かせる仕事に興味があったこともあり、プログラムに参加していました。

■今後の進路について

2022年4月より、株式会社Sekappyに入社することになりました。Shadowverseユーザーであれば耳にしたことがある人も少なくないのではないでしょうか。

Shadowverse Tournament Navigator(シャドナビ)

今やトーナメントシーンには欠かせなくなったShadowverse Tournament Navigator(シャドナビ)の開発であったり、

Sekappy COLOSSEUM(セカコロ)

Sekappy COLOSSEUM(セカコロ)として、現在ShadowverseやMTGアリーナでのオンライントーナメントを開催しています。

□なぜSekappyなのか

元プロゲーマーとしての経験を活かせる仕事は何かと考えた際、過去にカードゲームイベントの運営をお手伝いした経験もあって、「イベントの企画・運営」をしたいと思うようになりました。

実はSekappyさんとの面談時、「Shadowverseに知見があるメンバーが少ない」というお話を伺っていました。そこで、僕がプレイヤー視点で企画に携わることで、より皆さんに共感していただけるイベントを作り上げられるのではないかと考えました。これからはSekappyで、カードゲームならびにeスポーツの更なる発展のため、自分にできることを精いっぱい努力していきます。

もちろん、プレイヤーとしてもShadowverseは継続していくつもりです。現役時代には成し遂げることができなかった2度目のRAGE優勝を目指し、まだまだ若い子たちには負けない精神でやっていきたいと思います!

また、せっかくメンバー全員がカードゲーマーであるSekappyに入社するということで、色々なカードゲームに挑戦してみようと思っています。社内でのプレイ人口がとても多い『マジック:ザ・ギャザリング』や最近リリースされた『遊戯王 マスターデュエル』、4月リリース予定の『Shadowverse EVOLVE』など遊びたいカードゲームはたくさんあります。

■最後に

プロリーグという場を提供してくれた運営の方々、チームに迎え入れてくれたLibalentの皆さん、支えてくれた家族や友人、そして見守り続けてくれたファンの皆さん。4年間たくさんの応援をいただき本当にありがとうございました。
RSPLの場で戦うことはなくなりますが、Surreとしての人生はまだまだ続きます。徐々にオフラインイベントも復活していきそうな流れになっていますし、お会いした際はぜひ声をかけていただけると嬉しいです!

今後とも色々な情報を発信していきたいと思っています。ぜひ続報にご期待ください!

© RAGE © Cygames, Inc.


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